逆襲のファンタジー 9
これで大体の登場人物は出てきたと・・・
いえいえ、ハイ!!
桜子と滋ちゃんが最初に登場してから行方不明です。
二人で楽しんでるんだろうなぁ。
いったいどこで何やってるの~。
たぶん二人は一緒にいるはず・・・
「翼がいなくなった」
最初に連絡を入れたのは、さっき別れたばかりの総二郎。
俺達の近くにいるはずの総二郎の側に翼がいないかとわずかな期待。
四方に伸びた石畳。
道が結びつく広場でグルリとあたりに視線を送りながら携帯からの総二郎の返事を待つ。
「なにやってんだよ」
明らかに舌打が混じったため息を返された。
「総二郎の近くには翼いないか?」
「俺が見つけたら速攻でお前の所に翼を戻す」
優紀ちゃんとデートしろって俺が送り出したのだからそれもそうだ。
「嫁さんに見惚れてて翼から目を離したってとこじゃねェよな?」
携帯の向こうで総二郎がニンマリと笑みを浮かべてるのが見える。
「からかうのは後にしてくれ」
「優紀ちゃんなら翼の行動パターン分らないか?」
「つくしでも無理だって思うだって」
一呼吸の間をおいて優紀ちゃんの言葉を総二郎が代弁。
「とにかくまだ、そう遠くには行ってないと思うから探してくれ」
さっきみたいに座り込んでアリを眺めて距離が進んでないことを願う。
焦って探すと小っちゃく身体を丸めて座り込む幼児は花壇や建物に紛れて見落とす可能性もある。
花壇の花を押し分けて探すなんて佑じゃあり得ないぞ。
翼何処だ!
叫びそうになる声を飲み込んで定まらない視線は浮遊。
「牧野つくし様。3歳の男の子翼君がお待ちでございます。
サービスカウンターまでお越しください」
場内の明るいテンポの曲に混じって聞こえたアナウンス。
牧野・・・つくし?
牧野は良くある名字。
名前がつくしって牧野と一緒じゃん。
そう思った考えは3歳の男の子と翼の名前で吹き飛んだ。
サービスセンターに保護されたのなら一安心だ。
かきわけた花の中に顔を突っ込みそうになるくらいに全身の力が抜けそう。
待てよ・・・
親の名前を聞かれて翼は道明寺と言わずに牧野って言ったってことだよな。
俺達がいまだに牧野って言ってる影響か?
「あきら」
息を切らせてやってきた総二郎。
「聞いたか、今の?」
「ああ」
ゆるゆると立ち上がった俺は憂鬱な返事を総二郎に返した。
『牧野つくし様。3歳の男の子翼君がお待ちでございます。
サービスカウンターまでお越しください』
さっきと同じ内容を繰り返すアナウンスが追い打ちをかける。
これ以上アナウンスはいらない気分。
「まずいよな」
アナウンスの聞こえた方向から視線を外さない総二郎。
あのアナウンスを止めたいと思う気持ちは俺達一緒だよな?
『お前らが牧野って呼ぶから、翼が間違って覚えるんじゃねェか』
翼を迷子にさせたことより牧野つくしの間違いに食って掛かる司が頭をかすめる。
もともと道明寺と牧野のことを呼ぶのもなんだか笑えて、つくしっと呼ぶと司がキレる。
つくしちゃんとか、さん、とか付けるのも今さらだ。
結局知り合ったころから呼んでる牧野で定着させてしまったのは司!お前の影響大だろうがぁ。
そんな理由は我儘大王のあいつには理由にならねぇよな。
「ここはあいつより先に翼を迎えに行く必要があるな」
「それより司がこの放送に気付かなきゃ平和でいれる」
「あいつ、牧野つくしには敏感だぞ」
「モスキート音で発信されても感知しそうじゃね?」
「司が気がつかなくても駿が気付きそうだしな」
会話を続けながら互いに顔を見合わせる。
互いに司に気づかれてないことを祈りながら、聞こえてるはずだと確信してる俺達。
「とにかく急ごう」
葵と合流してサービスセンターを目指した。
モスキート音 年齢とともに聞き取れなくなる周波数の音ですが、手軽に自分の耳の年齢を確認できるHPもあります。
私は年相応でした。
娘が帰って来たら限界の21kHzに挑戦させてみたいなぁ。
このモスキート音、若者にたむろしてほしくない場所や長くいてほしくないお店、万引き対策で流してるお店もあるそうですよ。
一度も気がついたことないなぁ。 ← 当たり前!
拍手コメント返礼
メガネちゃん様
翼君の心配より牧野に反応しちゃってるからなぁ。
本当なら翼から目を離した失態に目を向けるべきなんですけどね。
この事は忘れてそう。
司に振りまわされるのF3は楽しんじゃってますからね。
たぶんこれからもあるぞ~。
ゆきこ 様
総二郎とあきらの絡みはつかつくの次に好きかなぁ。(笑)
誰が一番最初に翼の元にたどり着くか!
中距離走になるか障害物競争になるのか、どっちが楽しいかな。
直ぐに何もなく翼にたどり着くのか。舞とか佑があのアトラクションに乗りたいとか、着ぐるみから離れないとか子供らいい我儘頻発させるとか・・・
たどり着くまでくたくたになるのは誰だ~。
かよぴよ 様
我儘大王♪
迷子の翼君より獰猛な司君がを心配するのもわかりますけどね。
いよいよこのお話も終わりが近付いてます。