逆襲のファンタジー 13

ゴールデンウィーク始まりましたね。

何の予定もないわが家です。

子供が小学校の頃はどう過ごすか計画をいっぱい立ててたのですけどね。

最近は旅行もしてないなぁ。

夢の国に連れて行けとは言わないからバーベキューくらいしたいなぁ・・・

「千葉」

「相葉です」

何度目かのやり取りの後、「もうどっちでもいいわよ」と 大河原財閥のご令嬢は言い放つ。

「あなた、西門さんに美作さんに花沢さんは知ってるわよね?」

いやな予感に踵を返す。

背中を向けた瞬間に襟首を掴まれた。

「外で目を光らせてあの3人はここに連れてきて!」

「俺、荷物持ってるんですけど」

「口が利ければ十分」

ニッコリと裏のある笑顔が俺をみつめる。

・・・ということは、迷子センターに最初に行きつくのは代表かつくし様ってことになる。

「ほら、親が迎え行った方が子供は安心するから」

本音はべつなことでしょう?

「なに、疑ってる目で見るのよ」

「ビデオカメラ片手に言われても説得力りませんよ」

「これは司とつくしの家族のありのままの姿を映しておこうと思う友情よ」

「そうですよ。このビデオの作品上映会はみんなで楽しめる仕上がりになるはずですから」

「それじゃ、相葉さんお・ね・が・い」

媚びた表情で唇が甘く囁きかける三条桜子。

自分をどうよく見せるか計算尽くした態度だと分かっていても言いなりになりそうな自分がいる。

バカだよなぁ。

そう思いながらも言いなりになって店の外にでた。

数分の時間差で店の中に引きこんだのは代表の親友、美作ファミリーと西門総二郎と松岡優紀。

二つ返事ですんなり店の中から迷子センターを眺めてる。

これから見物するのはブロードウェイのミュージカルでもラスベガスのショーでもない。

単なる痴話喧嘩のはず、楽しめる気持ちは俺でもわかる。

平和に解決するはずとラストの分ってる喜劇。

どう話を付けたのか、お店の入りにはcloseの札がかけられてしまて貸切状態。

夢の国のスポンサーでもあるのだから、なんでもで特別なんだろうな。

真面目に生きるのがアホらしくなる別世界の住人。

あれ・・・?

おひとりまだですけど・・・

そう思って見つめた先で舞様を真中に手をつないだつくし様と花沢物産御曹司が、通りすぎた。

急ぎ足の大人の真中で身体を浮かび上がらせて子供が運ばれていく。

嬉しそうな子供の無邪気な横顔とは対照的な切羽詰まった表情のつくし様。

あの放送を聞いたらそうなりますよね。

子供が迷子ってだけでも心臓には悪い。

もう代表が待ち構えてますよ~。

つくし様に向って駆け出しそうになる俺を「コホン」と西門様の咳ばらいが止めた。

そして美作様の鋭い視線は完全に俺の行動を阻む。

分りましたよ。

おとなしくします。

俺は今日は本当は非番でも良かったんだけど・・・

西田秘書を恨みたくなる。

「ここじゃもう限界ね。私たちは店を出よう」

カメラをまわしながら彼女達はうなずきあう。

パラパラと飛びだす人影。

「私はここにいますから」

子供がいるからと目を伏せる美作 葵。

それじゃとようやく店を出て迷子センターに向った。

「おしょろいでしょ。そんなに怖い顔しちゃだめだから」

扉に隠れながら中を見守る数名の影。

俺はしかたなく壁にもたれてる振りであどけない声を聴く。

怖い顔だと、舞様に指摘を受けてるのは多分代表。

何とも言えない表情で怒るに怒れない表情を浮かべる代表が想像できる。

「プッ!」

吹き出した声に思わず両手で口をふさいだ。