逆襲のファンタジー  番外編 その2

司にしては珍しい粋な計らい。

千葉君ホテル泊まれたのかしら?

そんな番外編です。

ホテルのスィートルーム。

ベットルーム3室。

驚かそうと内緒で部屋を予約してたが使えそうもないと判断。

千葉にでもやるか

軽い気持ちで司は一平君に渡しちゃったんだよね。

そんな設定

つくしが知ったら・・・

『あの二人付き合い始めたばかりじゃないの?

初デートっていてたし・・・

いきなりお泊りって・・・

そう簡単じゃないんだから!

灰原さん、直ぐに誰でもそうなるようなタイプには見えないし・・・

千葉さんも馴れてる感じでもないよ?

いきなりすぎるつーの。』

つくしちゃんも心配中

俺の視線の先で子供と競争して着ぐるみに抱き着いてる無邪気な笑顔。

子供は人目を引くかわいさで、「早く来て」なんて笑顔で呼ばれて幸せをかみしめてる。

灰原さん、良い母親になりそうだよな。

目を細めて見てる俺は理想の親子妄想中。

もちろん父親役は俺。

初デートがコブ付き。

そんな妄想でもしなきゃやってられない。

翼坊ちゃんの面倒を見る相手は他にもいたはずだ。

舞お嬢様は美作夫妻と花沢様グループで園内に、もう一組の西門様とつくし様の親友の彼女とさっさといなくなってしまった。

頼みの相葉先輩は大河原と三条のお嬢様にうまく使われてしまってる。

両手にそんなに荷物を持たされたら護衛は務まらないと心配になった。

夜のパレードは始まる前の集合時間。

ここから閉園までの2時間、デートさせてほしい。

やっと約束を取り付けた初デートなんですよ。

内心本気で落ち込んでる。

「今日は悪かったな」

え?

俺の聞き間違い?

悪かったなって・・・代表が俺に言った?

そばにいた無関係なス〇ッチの青い色の着ぐるみを捕まえて確認しそうになった。

意外そうな表情を浮かべてる筆頭はつくし様。

ほぼ代表の性格を知るそこにいた全員が同じような表情。

「これやるよ」

内ポケットから取り出した封筒を代表が俺に手渡す。

「特別手当、礼はいらねぇから」

ポンと軽くたたかれただけの肩がガクンと抜け落ちそうな錯覚で俺にのしかかる。

受け取っていいのだろうか?

この薄さだとお札が1枚?

給料はしっかり頂いてるしなぁ。

小切手とか?

俺の想像こんなもん?

取り出したのは一枚のチケット。

ホテル・・・ミ・・ラ・・・コ・・・

パーク内のホテルの名前の印字。

チケットを持つ手が振るえて文字がぶれる。

読めない・・・。

「代表に何もらったの?」

横から灰原さんがつま先を上げて肩越しに覗き込む。

「いえ・・・別に・・・」

慌ててチケットを後ろに隠した。

「ねぇ、それ私にも権利あるわよね?」

まあ…そうですけど・・・

初デートでホテルに誘うって俺の計画じゃないですから。

俺が準備したわけでもぢ代表に頼んだわけでもない。

頭の中で飛びかう弁解の弁。

冷や汗が出てきた。

「エイッ!」

考え事してる隙に横からチケットを取られてしまってた。

「これって・・・」

さっきまでの俺と同じような灰原さんの反応。

手が震えて言葉が出てこない。

そうですよね。

普通驚きますよね。

まだ付き合ってくださいの告白もしてないし、恋人同士にもなってないのにホテルのチケットを渡されても宝の持ち腐れ。

「これって、パーク内のホテルのチケットよね?」

「なかなか予約できなくて泊まれなくて大変なんだから、直ぐに準備できるのってさすがね」

それ・・・俺達がもらったんですけど・・・

宿泊ってところに興味を持ってほしい。

「泊まっちゃおうか?」

え?

今度灰原さん言葉に耳を疑った。

泊まっちゃおうかって・・・

それって・・・

俺と?

頭の中でシャイに照れてつぶやく灰原さんがリピートしてる。

いきなりって・・・

俺にも覚悟が・・・

そこまで発展する予定もないから何の準備もしてない。

良いのか?

「ディナーもついてるみたいだし、そう言えばお腹空いてない?」

そのまま二人で食べた料理の味なんて分るわけがない。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

案内されたのはスイートルーム。

代表にチケットをもらわなきゃ縁がない部屋。

「すごいね」

感嘆の声を上げて目をキラキラ輝かせる彼女。

子供みたいで純粋な感動を見せる無邪気な彼女が俺の心をくすぐる。

何時もとは違う彼女に振れてときめいてる。

このドキドキ感は高校生の頃に戻ったみたいだ。

リビングを真中に扉が3つ。

カチャリと開いた扉の向こうにはキングサイズのダブルベット。

ゴクンと喉が鳴った。

俺の横を通り過ぎて彼女はもう一つに部屋の扉を開ける。

「こっちは、ツインになってるみたい」

「灰原さんはどっちがいいですか?」

「こっちかな」

唇がちいさく動くのが見えた。

艶めかしく俺を誘う様に感じるのは今から起こることへの期待。

俺も男だ!

ここは自分の気持ちを告白して抱き寄せて!

え?

「それじゃ」

俺の横を通り過ぎた灰原さんは部屋の前に立ってにっこりと微笑む。

「私、この部屋使ってもいいよね?」

え?

「おやすみ」

目の前でバタンと閉まったドア。

え?

別々に寝るの?

ガクンと一気に体の力が抜けた。

代表・・・

もらえるものなら、豪華なスィートじゃなくスタンダードの部屋の方が良かったです。

拍手コメント返礼

やなぎ 様

お久しぶりです♪

常連さんのお名前を拝見するとテンションあがりますね。

千葉君ここで諦めたらダメだよ~

強引さ見せられないだろうなぁ・・・(>_<)

Gods & Death 様

ロイヤルスイートならお部屋もたくさん♪

想像ですよ~。

豪華なお部屋に泊まれたら彼氏と一緒じゃなくてもテンションあがるような気がします。

SPの仕事でスイートに慣れてるとかあるのかな?

メガネちゃん様

あははは、つくしちゃん並みの鈍感さ?

灰原さんのイメージはコナン君の佐藤刑事ですからね。

佐藤刑事は婚約指輪の意味も知らなかった御仁ですしね。

つくしちゃんの上を行くかも~

実は強引にくる千葉君をまってたりしてね。

かよぴよ 様

そうなんですよね。

夜景くらいねぇ~。

そしたらいい雰囲気に流れてね。上手くいったかも~

ということで千葉君にはディナーからそんな余裕がない状況にさせていただきました。

ヘビの生ころがしは司だけじゃなかったんだなぁ・・・(^_^;)