迷うひつじを惑わすオオカミ 11

この状況はセミナーではなく?

それとも恋愛争奪戦が始まるのか!

争奪戦がおもしろそうですが結果は決まってますからね。

西田さんが止めてたりして・・・(^_^;)

アイツに見つめられていた時間はほんの数秒。

魅入られそうな瞳はスッと離れて全体の会場を見渡していく。

その場をすべて掌握する存在感は流石でピリッとした緊張感を会場に漂わせた。

道明寺が壇上を降りて居なくなった会場に何処からともなく流れるため息は緊張から解き放されたためじゃなく何かしらの感動を参加者達に植え付けたみたいだ。

私と言い合ってる道明寺が好きだな。

そんな本音がぽつりと胸の奥に芽生えてる。

道明寺が私から遠く離れていくような不安な感情。

どれだけ自分の魅力をこの場に振りまけばいいのか。

最初に感じたやさしい眼差しで見られることもなく、私の存在を打ち消して道明寺ホールデングス代表のカリスマ性をこの場にのこしていった。

「決めた、絶対名前を覚えてもらわなきゃ」

塚原さんは何度もそうつぶやく。

それは私に対して協力を要請されてるような気がしてくるから心が乱される。

道明寺が私の目の前に来たときあいつはどんな態度を私にとるのだろうか?

いきなり抱きつくとか?

さっきのあの様子じゃそれはない。

何時もの横柄さならあのまま壇上から降りてきて私の側にやってきそうだもの。

シッカリ自分の仕事をしていったって感じだったものね。

道明寺がすぐに牧野って私を呼んだらなんて言い訳しよう。

「英徳の後輩と先輩だから面識あるの」

道明寺の前でそんな言い訳したら絶対あの横暴さで私を怒鳴ってくる気がする。

「誰が後輩だ!!!」

わーーーぁーーー無理。

もう道明寺が登場してから全然話を聞く気になれずにいた。

休憩時間に塚原さんから逃げるようにこそっと会場を出て廊下に置かれた長椅子に一人腰かけた。

なる様にしかならないよな。

道明寺が塚原さんの思う様に行くとは思えないしね。

そこは道明寺を信じてる。

なのに・・・

実際、塚原さんを道明寺に会わせたくないって落着けない感情を持て余してる。

「疲れたね」

目の前に差し出された缶コーヒ。

赤い缶に微糖の文字。

「出来たら甘いデザートが欲しいけどね」

コーヒーを渡して私の横に坐る木崎君。

律儀に「隣りいい?」って、聞かれていやとは言えない人なっこい笑顔。

「そんなに疲れてるように見えるかな?」

「まあ、朝からテンション低そうに感じたけど、このセミナーに乗り気じゃなかったとか?」

よく見てると言うか見られてると言うか・・・

返事に困った私はきっと木崎君の読みが正解だったと回答してるようなものだ。

「就職のことはあまり考えていないんだ」

意外そうな表情を浮かべられるのは就活難のいまどきの学生とかけ離れてるって事は分る。

「あっ、私弁護士になりたくて勉強してるから、就職より司法試験が大変なんだ」

じゃあ、どうしてセミナー参加してるのって木崎君が聞き返してくることを想定して次の答えを探す。

道明寺にわたしのセミナー参加がばれたら、あいつがやけに嬉しそうで・・・

これは駄目。

塚原さんに無理やりに!

それでも参加を決めたのは自分なのだから塚原さんを理由にするのはずるい気がした。

「誘われて断れなかったんだよね?つくしちゃんのやさしいとこ変わってなくて嬉しいよ」

「俺、塚原さんに感謝しないといけないのかな。会いたいと思っていた君に会えたから」

真直ぐに真剣に見つめられるのは道明寺じゃなくてもドキッとする。

心は木崎君に1%もあるはずないのに、好きだと言われて悪い気がするわけない。

いや・・・

まだ・・・

好きって言われてるわけじゃないから・・・

言われてるようなものでしょう。

鈍い私でもそう思う。

「あっ、ごめん、何年も忘れられずに会いたかったって言われたら重いよね」

「そんなことない」

思わず飛び出した言葉にしまったという後悔。

「付き合ってとかは言わないから心配しないで」

クスッと笑て流してくれた木崎君の前で、私はどれだけ困った顔を浮かべていたのだろう。

「私も木崎君に再会できて良かったかなって思う」

「憶えてくれてなかったからな・・・」

「それは木崎君が変わり過ぎてたからでしょう」

「そうか、だよね」

自然と朗らかな笑い声をどちらからともなく上げていた。

笑っていた木崎君の口元が固まって声が消えた。

私を通り越してその先を真直ぐに見つめてる。

見られてる?

背中に突き刺さる視線。

振り返るのに覚悟が必要な張りつめた空気が漂う。

「めずらしい、ところで会うわね」

ひゃー。

道明寺とは違う緊張感。

反射的に背筋をピンと張る。

「セミナーに参加させてもらってます」

直立に立ち上がって勢いよく180度身体をまわした。

「そう・・・」

ちらっと私を通り越して木崎君を一瞥。

コツコツと通りすぎる足音は通りすぎてるはずなのに心臓に大きく響く。

道明寺のお母様。

道明寺ホールデングス会長の威厳は健在。

「知り合い?」

「まあ・・・」

お母様をちらりと見ながら木崎君が気にするそぶりを見せた。

「誰?」

うっ・・・聞かないでほしい。

見送る私の視線の先でSPの一人が私の元に引き戻ってくるのが見えた。

「後で、部屋に来るようにとの会長からの伝言です」

言い終えてダークスーツの長身はお母様の元に戻って行った。

「会長って、道明寺楓!?」

木崎君がお母様から視線を私に戻して驚きの声を上げた。

そりゃ、驚くよね。

私も驚き過ぎて声も出ない・・・です。

拍手コメント返礼

みわちゃん 様

楓さん登場♪

思わぬ伏兵の登場?

たぶんここで登場するのは司だとほとんどの方が思ったはずだと思うのです。

楓さんの動き一つでどうなるかわからなくなってきたと思います。

公平君もね・・・

気にしていただきありがとうございます。

あっちも早く書きたい!!

ゆきこ 様

LINEでトークしてたらこちらにコメント~

ありがとうございます。

昨日のコーラーネームトーク本当に気になりますね。

今日も娘に名前探しといてと言われて・・・(^_^;)

今日はどの店に行こうかな。

木崎君もびっくり♪

会長と知り合いならセミナー受ける必要ないと思ってもおかしくないしなあ。

つくしちゃんは司より楓さんの方がいいのかなぁ~

どうでしょう?

ドキドキ感は半端ないでしょうね。

早く帰りたいだろうなぁ。

かーちゃん 様

ですよねぇ~

ここで登場すると思うのは司。

ちょっと司に意地悪したくて~

というのは冗談ですけどね。(笑)

まちゃこ 様

えーーーっ

つくしだけじゃなくまちゃこ 様も心臓もたない!!!

それはたいへんだーーーーー

直ぐにでも更新しなければ!!!

でも連載が多くて思うように進まない。

アズ様

突然ですが会長きました。

会長キターーーーーーー

社員がツイートしまくりとかあるのしょうか?

はるとん様

ここにF3もT3揃えば完璧なんでしょうけどね。

Gods & Death様

司とか思えば楓さん♪

意表を突かれたのはつくしだけじゃないはずと信じて登場させてみました。

もみじ 様

そうそう司より厄介かも~

高度な要求されちゃったりして(^_^;)

メガネちゃん 様

つくしの正体をばらすのは司じゃなく楓さん?

さぁ~どうでしょう~。

まだ道明寺の嫁とは認めてません

なんて言われないかなあ。

おとちゃん 様

気になりすぎのコメントうれしいです。

私も早く書きたい!

司はどうしてるのかな~。

やけに素直に退出してるしなぁ~。

つくしちゃんの正体を楓さんがばらしたら司よりも楽しいそうな気もします。

まずはさっさと邪魔なものは排除してほしい役目を担ってるのは意外に楓さんとかだったりして・・・

なる様

木崎君じゃなくてもびっくり。

続きが気になって眠れない!

すいません(^_^;)

私も続きを眠ってる間も脳が考えちゃってます。

夜中夢でUPしてました。(^_^;)

かえまま 様

この頃のつかつく良いですよね。

私も好きです。

楓さんがどう絡むのか!

それでお話の色あいは変わっちゃいますよ~。

思案中です。

メルちゃんのママ様

いい意味での予想を裏切った楓さんの登場。

何時もならここで木崎君に掴みかかる司の登場ですもの~。

違うシチュも楽しみたい!

ということで楓さんの登場でした。

mizuta 様

何言われるんだろう・・・

つくしじゃなくてもドキドキですよえ。

『いくつもの嘘を重ねても』一気読みありがとうございます。

すっかりどんな話だったか忘れてる私。

たまには復習しておかないとやばいかも(^_^;)