DNAに惑わされ 29
ジュニアの話が進まない・・・・(^_^;)
パパママたちのお話が盛り上がっちゃってるの~
でもこっちも進めないとなぁ。
どうするつもりだったか忘れてしまうからなぁ。
よろしくお付き合いをお願いします。
プールサイドのテラスで摂る朝食。
何時の間にか眠って迎えた清々しい青空。
椅子の背もたれにもたれたままグッと腕を伸ばして背を伸ばした。
視線の先に吸い込まれそうな空の色に浮かぶ雲。
カラリとした風は心地よく頬に触れる。
同じ風が雲を西に運んでいく。
あの雲を鮎川を眺めてるのだろうか。
ぐっすりと眠れたのは久しぶりの気がする。
それは時差に慣れてないだけのせいじゃなく、一晩中鮎川の寝息を耳元に感じてたせい。
好きな子が側にいて熟睡できるほど僕は大人じゃない。
自分の感情をコントロールしてるのが鮎川のような気がしてちょっと照れくさくなった。
「おはよう」
にこやかな声に機嫌よく僕も「おはよう」と返す。
「つくしちゃんから迷惑おかけしますって恐縮がってたのよね」
「可愛い甥子と過ごせるんだから迷惑じゃないのにね」
両膝をテーブルについた上に顎を乗せたまま微笑する椿さん。
アラフォーを過ぎてるはずなのに余裕で伯母様とは呼べない若さがある。
母さんも若く見られるけどそれとはまた違った印象の若さ。
「そんなに長くは居られないけどね」
「このままうちに居座ってくれてといいんだけどな」
冗談とも本気とも取れない笑み。
「彼女がここに住んだら駿も残るよね?」
直ぐに返事をかえせない僕に椿さんの手のひらが伸びてきて頭を撫でる。
それは10年前によく良かったねと僕をほめる仕草。
父さんみたいに頭をグラグラ揺らす乱暴さがない分照れくさい。
小さい頃も成長した今でも止めてよって言えなかった。
「父さんは何か言ってた?」
「司は好きにさせろって感じだったかな」
これが舞だったら飛んでくるんだろうけどと椿さんがおどける。
まあ、両親とも僕のすることを黙認してるわけだ。
不愛想な父さんの言葉の奥に、こっちのことは任せろって僕を応援してくれてる気持がわかる。
なんか、父さんに任せないといけない事ってあったかな?
「もう少ししたら出かけるから」
そう言い置いて席を立つ椿さん。
ああ、そうか鮎川の家に行くんだ。
鮎川はよく眠れたのだろうか。
別居状態の両親を元に戻すのが今回の目的なんだと話す鮎川は心なしか寂しそうで儚くてか弱くて。
「子供に迷惑かけ過ぎ」
そう言って作った笑顔はぎこちなくて思わずギュッと鮎川の手のひらをにぎっり返してた。
本当はあの時抱き締めたかったんだと思う。
昨日鮎川を送った道を太陽の光りが降りそそぐ中を引きかえす。
海沿いの道は南国の色あいが強くて、薄着の琥珀色したカップルが街の中を歩く。
大らかな気分になれるのはきっとこの気候の影響。
長袖のシャツから半袖に着換えた僕もこの風景に溶け込んでる。
直ぐに開いた門を通って入り口に横付けされた車。
自動ドアの向こうのエントランスには直ぐに鮎川の姿が見えた。
「おはようはもう遅いか」
僕を出迎えた鮎川はそうつぶやいて僕の横にいる椿さに頭を下げる。
「この辺り駿は初めてよね」
二人で出かけたらって僕を催促する椿さんの視線。
「駿を案内してやってくれる?」
躊躇する僕の背中を押して椿さんが鮎川に僕を押しつけた。
そのまま僕らをエントランスから追い出して椿さんは軽やかな足取りで建物の奥に消えた。
「強引なのは血筋なの?」
「そうかもな。デートしてくれる?」
差し出した僕の腕を鮎川が取る。
少しはにかんだ笑顔を見せる鮎川に自然と僕の頬も緩んだ。
少し歩いて抜けると目の前に広がるプレイベートビーチ。
白い砂が太陽の光に反射してキラキラと光る。
「脱いじゃえ」
ミュールを脱いで片手に持つ鮎川に習う様に僕もスニーカーを脱いで裸足で並ぶ。
輝く様な白い砂浜に僕と鮎川だけの足跡が続いてた。
視界に映るのはどこまでも続く青い海と空。
海と空の曖昧な境界に吸い込まれてしまいそうだ。
つないだ手はそのままで僕ら二人しかいないビーチが宝物のように思えてきた。
「昨日夜遅くパパから電話がかかってきたんだ」
内容はあんまり聞こえなかったらしいが、一度日本に帰ることになったからって鮎川がホッとした表情を漏らす。
「一安心ってとこかな」
僕の手を離した鮎川はくるぶし程度の高さに寄せる波を受けながら波と遊んでる。
「気持ちいいよ」
僕を呼ぶ声に鮎川の側に駆け寄る。
「エイ」
突然両手ですくった海水が僕に振りかかかってきた。
鮎川もこんな子供じみたことするんだな。
「やったな」
鮎川の真似をして海水を救った。
逃げる鮎川を追いかける波打ち際。
本気で追いかけないと鮎川に追いつけそうもない。
「待てよ」
「やだッ」
「ひどっ、服がびしょびしょ」
「お互い様だけど」
髪の毛まで濡れて頬に滴り落ちる水滴。
どこまで本気で水を掛け合ったのか。
無邪気になり過ぎ。
「これで、鮎川のお母さんに会うの気が引けるな」
走ってはねた飛沫はズボンもシャツも濡らしてる。
「はしゃぎすぎだよ」
鮎川が背伸びをするように踵を上げて僕の唇に軽く唇が触れた。
塩っ辛い海の味と海の匂いがした。
拍手コメント返礼
akko 様
海と言えば砂浜の追いかけっこ。
定番ですが書きたくなるんですよね。
ヨーキー様
この女性陣の横のつながりが駿君にどう影響するのか!
楓さんはどうなんでしょうね?
まだ登場の気配なしですけどね。(^_^;)
うちは8歳になるミニチュアです。
最近凶暴で絶対私をボスと認めてない雰囲気です。
ヘルニアに尿管欠結石と病気モチで・・・
本当に健康は犬も人間も大切ですよね。