迷うひつじを惑わすオオカミ 13
司とつくしのご対面はいつ?
司と楓さんで、つくしを取り合いになってる事まだつくしちゃん知らないのよね・・・
知ったらどうなるのかなぁ・・・
通された一室。
部屋の正面には白いボード。
デスクが数個並ぶ30名は入れるであろう小会議室。
4対1の割合で女性が占める秘書課見学セミナーツアー。
秘書課じゃなくて見学の目的は道明寺だろうと見当がつく。
コツコツと足音を響かせて入室してきた女性。
軽めのメイクが醸し出す ナチュラルなセクシーな美人、スタイル良し、ニッコリと浮かべる自然体の微笑。
流石は道明寺HDの社員。
そんな評価がセミナー参加者の表情に広がる。
「容姿も評価の一つよね」
私の横で私なら合格だと言わんばかりの自慢な笑みを塚原さんが浮かべて見せる。
道明寺が選ぶなら好みは違うって思う。
アイツの好みは私だし・・・
女性を好きだと判断する基準が、思いっきり道明寺を睨んで説教してグー殴った私。
目の前の上品な女性社員に道明寺が興味を持つとか・・・あるのかな?
自分と比べて安心してる理由がこれって寂しい。
「秘書課の仕事として、いくつかのグループに別れて数名で各役員の秘書の仕事についてもらいます」
「それって、だれに付くか分かんないってこと?」
「代表に付かなきゃ意味ないよね」
こそこそと小声で周りから聞こえる声。
道明寺に付かなくてもいいんだなんて喜んでデスクの下で拳を握ってガッツポーズを作ったのは私だけらしい。
「コホン」
小さく聞こえた咳払いにピタリと私語が止った。
「単なるセミナの数時間の見学が組まれたのは異例ですから、私たちの仕事をこれ以上増やさない様に見学してくださいね」
笑ってない瞳で微笑を浮かべる。
やさしい口調のわりには邪魔するなと釘を刺されたようなもの。
道明寺目当ての女子学生がいるって理解してる学生の指導担当者。
道明寺に必要以上に近づこうすればどうなるか・・・
あいつの機嫌が悪くなるのは私じゃなくてもまじかで一緒に仕事をする社員なら切実な問題提起。
あるんだよな・・・
不機嫌な道明寺が怒鳴り散らしてる時に出くわしたこと。
まったく手心なんてなし。
1%の不満が一気に120%になって吹き出してくるからまわりにるものはたまったもんじゃない。
それに対応できるのは西田さん位のものじゃないのか?
西田さんが私を見つけると助かりましたって言われるけど、道明寺が不機嫌な状況のまま私に譲与される私も迷惑。
私も道明寺の不機嫌な時は遠慮したいつーの。
ホント機嫌が悪い時は我儘になるんだから!
あっ・・・、機嫌がいい時も我儘かぁ・・・
わけられたグループは3名一組。
塚原さんと木崎君。
離れられなかった・・・
お母様との関係を聞かれて何とか誤魔化したけど、木崎君が変に思ってる事は間違いない。
私に声をかけるお母様を見られたのが塚原さんだったらもっと大変だったとは思う。
「知り合いなら、その伝手を最大限に生かして紹介して!」
なんてことかるく言われちゃいそうだものな。
見られたのが木崎君で良かった。
このまま誤魔化して別れればたぶん木崎君に道明寺と私の関係を言う機会は訪れるはずはない。
無事に明日まで過ごせますように。
人目を引くイケメンよりデブの剥げた中年男性でも私はかまいません。
心の中で必死に祈る。
何時の間にいたのか後ろから前に登場した社員数名。
見られてる気がしたのは錯覚じゃなかった。
私の真ん前には西田さん。
秘書課室長登場。
道明寺と違って威嚇してるわけじゃないけど、その独特な存在は学生を黙らせるには十分。
ピリッとした空気が漂う。
それは学生だけじゃなく横に退いてるさっきの女子社員からも感じられてる。
やっぱり、西田さんはタダものじゃない。
西田さんに私が会う時は道明寺がいつも一緒にいるから流れる空気の変化は道明寺がすごすぎて気がつかなかっただけだと気がついた。
「それでは、後は指示された指導者について行動してください」
パラパラと椅子から立ち上がって動き出すセミナー参加者。
「君たちは私が案内します」
目の前にスクッと一歩足を踏み出して西田さんの姿が拡張してきた。
やっぱり・・・
西田さんか・・・
メガネの奥の瞳は贔屓なしに私たち三人を映し出してる。
この後は道明寺に会うんですか!
会っちゃうよね!
会うんですよね!
西田さんは道明寺の第一秘書だもの!
私と道明寺の関係ばれちゃいますよね!
頭の中の私は完璧に西田さんの襟首を握りしめて詰め寄ってた。
現実の私は吐き出したい言葉をゴクンと唾と一緒に飲み込んだ。
拍手コメント返礼
Gods & Death 様
そろそろ紫外線対策に必死になる季節がやってきました。
今日はお天気は雨~
西田さんも出来る男ですよね。
楓さんに見込まれてますからね。
ただものじゃないはず。
旦那さん大ナタを振ってバタバタタイプですか?
思わず時代劇を想像しちゃいました。
うちの旦那はマイペースだからなぁ。
純粋培養のお坊ちゃんタイプ。
私が主導権を握っちゃってます。(笑)
かよぴよ様
西田さん~
どっちに連れて行くの~
いえ・・・
私が決めるわけではありません。
最良の結果が得られるお手伝いをするだけです。
・・・で?
その最良の結果が誰の為かということが問題だと思うのです・・・。
まちゃこ様
塚原さんと木崎君が離れたら面白くなくなっちゃいますからね。
二人のあんぐりと口を開けて驚く顔が見たいんですよね。