生れる前から不眠症 26(完)

このお話・・・

佑君が誕生したら終わっていいはずなんですが・・・

そのまま更新しちゃってました。

時々つかつくとは違った甘さが欲しくなるんですよね。

だから終われなくて~

だらだらと来ちゃいました。

そろそろ子育て編のお話で新連載に!(^_^;)

つかつくと違って事件は起きそうもないからなぁ・・・

新連載は未定です。

*

「今日は、このまま朝まで二人で過ごしたい」

葵を前にして誘惑の言葉を告げるのに何の躊躇も要らなかった。

そっと伸ばした掌はテーブルの上に置かれた葵の手のひらを包み込む。

キャンドルの炎が揺れて葵の頬を照らす。

赤く染まったのはオレンジ色に反射するキャンドルの炎が揺らいでるだけのせいじゃないはずだ。

「佑は・・」

唇の動きを閉ざすために人差し指を立てて葵の唇に直にあてる。

「心配いらない、預けるって連絡入れたら大喜びしてくれそうな女性陣がいるから。

それに、これからは佑を置いて二人で出かける事も多くなると思うし、慣れてもらわないと困る」

「なんだか不安・・・」

「実は俺も不安。佑はおもちゃにされそうだもんな」

クスリと互いの口元から笑みが零れる。

実際ブラコン気味の妹達には葵が嫌ってもおかしくないようなことされて危険な目にもあった。

それでも今はそれなりにいい関係が築けてるって思う。

何かあったら俺は葵を全力で守る覚悟もある。

妹たちでも許さないという感情が生れたのは自分でも不思議な気がする。

そして生れたばかりのわが子を抱いた瞬間に芽生えた愛情。

腕の中に包んだ温もりは何よりも弱くて壊れそうで、それでいて神秘で・・・

閉じた瞳を縁どる睫毛に金色に輝く産毛の様な眉。

ぽしょぽしょの不揃いの髪の毛は7かすか濡れていた。

すらっとした鼻筋にうっすらな唇。

ギュゥと握られて手の平。

それぞれ5本の指にはしっかり爪が付いていて、伸びていて・・・

当たり前の姿は神秘的に思えて・・・

奇跡で・・・

感動で・・・

感謝で・・・

愛しさと守るものが増えた喜びを感じてる。

それでも・・・

たまには葵と2人でいたいって我儘も言いたくなる。

「少しの時間だけ恋人同士に戻らないか?」

コクリとうなずく葵を見届けて今日は佑を頼むと家に連絡を入れた。

月明かりの差し込むベッドルーム。

何も気にすることなく抱き合ったのは何時の事だろう。

随分前の気がした。

俺の愛撫をこらえるように唇を噛んで指先が強く俺の背中を抱きしめる。

刺激を受けて生まれる快感を堪える葵がたまらなく愛しい。

二人の喜びは完全に溶け合って混ざり合って一つになる。

いくら愛しても愛したりない欲望。

抱き合うたびにそれは強くなる。

夜が明けなければいい。

そんな思いで抱きあえるのはきっと世界中に葵だけだって思える。

腕の中で寝息をたてる葵が宝物のように大切に思えた。

ベッドから抜け出して出勤の準備。

本当は行きたくない気持ちのでベッドの中の葵を眺めた。

シーツからこぼれた背中のライン。

肩から腰のあたりまでの丸みを帯びたしなやかな曲線。

悪戯心で指先がそのラインをツッとなぞる。

「キャッ」

「いきなり、くすぐったい」

驚いた声は一瞬で艶を彩った。

「出勤する俺を誘惑しないでもらいたいよ」

「・・・脱がせたのあきらでしょうッ?」

照れてるのを隠す非難めいた瞳。

「仕事さへ、なかったらベットから出なかったよ」

葵の頬に振れた唇は少しの本音を簡単に漏らす。

「じゃ、仕事休んじゃう?」

「俺を誘惑するな」

出来ないこと知っててからかう葵の声。

泣き声で邪魔されないのもたまにはいいものだって思える。

久々の二人の時間はあっという間に過ぎた気がした。

拍手コメント返礼

ゆきこ様

もしかして・・・

佑君が好きだからあきら君も好きという方程式出来上がってません?

なんで俺が佑の次なんだ!

誰かさんと違って不機嫌にはならないと思いますけどね。(笑)

次回が始まるときは幼児期の佑や舞と翼に道明寺夫妻を加わって賑やかになりそうな気がします。