一秒ごとのLove for You 26

つくしちゃんおとなしく待ってるかな・・・

つくしちゃんに付いてるのは葉っぱコンビ。

ここで司を捉えたミスの挽回を千葉君出来るのでしょうか?

スピンオフ物語SP物語もUPしてます。

開けられた部屋の扉。

書かれた文字は295室。

294室の右隣の部屋。

後ろ髪を引かれるように部屋のドアに手を添えたまま左のパタンと閉められたドアを見つめる。

道明寺と公平の二人が吸い込まれて消えいった部屋。

真っ暗な出口の見えない深い鍾乳洞に迷い込んでいったような不安感。

二人は無事に出口にたどり着けるのだろうか。

私の後を追いたい気分が消えることはなくて、部屋の中に足を踏み入れる事が出来なくて留まってしまってる。

「どうぞ」

ちょっぴり焦った様子で千葉さんが私を見つめてる。

さっきまでの強制的な感じが少し薄れてる。

それは道明寺が見えなくなったからなのかもしれない。

私を警護中に変質者と間違えて道明寺を押し倒した千葉さん。

もう二度とヘマはできないって気持ちもわかる。

道明寺がなんの罰を与えることもなく許したのが不思議なくらい。

高校時代私を襲った男子生徒を屋上から逆さづりにしたことある道明寺。

元をただせばあれは私に赤札を貼った道明寺にも原因があると思うんだけどね。

千葉さんの失態も根本的には道明寺が悪い。

千葉さんは自分の仕事を全うしただけだもの。

ここで私が抗ったら千葉さんの立場が危ぶむことも分るから素直にへやの中に入った。

面識のないSPなら、私は絶対隣りのドアをうるさくノックしてる気がする。

隣りの部屋と対称的に置かれたツインのベッド。

ドアを閉めた千葉さんがホッと大きく息を吐いたのを背中で感じた。

私より千葉さんの方が心臓がどきどきしてるんじゃないのだろうか。

ちょっぴり道明寺と公平のことを忘れた瞬間は一瞬。

何も聞こえてこない静かな部屋。

薄暗く部屋の中を照らすライト。

相葉さんがシャーとカーテンを開いて外からの光が部屋の中を明るくした。

目に付いたコップをもってベットに上る。

そして壁にコップを当てて耳を貼り付ける。

全然、何も聞こえなかった。

昔ドラマでこんな恰好で隣の音を拾って聞いていた場面あったからやったのに。

じっと私を見つめる視線が左右から突き刺さる。

目が点ってホントになるんだ・・・。

二人の視線は同時に天井に流れる。

なにも見てません的な雰囲気まで同時に示されるのって無性に恥ずかしい。

慌ててベットから下りてベッドの端に腰を下ろした。

道明寺が私を追い出すからこんな恥かしいことしちゃったじゃないか。

二人で口論だけですめばいいけど、道明寺がキレて暴力を振るったらどうしようとか最悪の展開が頭をよぎる。

物が壊れる音が聞こえてこないかとひやひやしてる自分がいる。

もうどうして私を追い出したの!

落着けなくなった。

「開けろ」

ドアの向こうから声と一緒にドンとドアを叩く音が聞こえた。

私が追い出されてから数分しか経ってない。

短時間で終わったのなら話し合いは冷静で終ったのだろうか?

それとも道明寺が一発殴って公平が床に伸びちゃってるとか!

確かめなきゃいけない衝動が私を突き動かす。

立ち上がって出口に無意識に駆けだしていた。

ピンと張っていた綱にひっかかっるように動きを抑制された身体。

道明寺の腕に捉えられた衝動のままに後ろに跳ねかぇされてよろめいた。

その一瞬に私の肩をガシッと道明寺の指が鷹の爪の様に食い込んで止めた。

「どこに行く」

じろっと睨み付けた視線は獲物を捕らえた猛獣の瞳の鋭さ。

「公平が倒れてないかと思ったの」

「俺より、あいつの心配か」

その声は氷を張る湖の冷たさをただよわせる。

「道明寺は元気にここに戻って来たでしょう」

「公平が道明寺に何かするって考えられないから」

このまま黙り込めば何も言い返すことが出来なくなる雰囲気に必死に立ち向かう。

「手は出してねェよ。話し合っただけだ」

「俺が信じられねぇなんて言わせねぇぞ」

何処にも行かせないと私に教えるように道明寺の腕が私を抱き込むように私を包み込む。

「俺以外の奴を信用し過ぎだろ」

耳元に触れる道明寺の声。

冷酷な響きが180度向きを変えて甘く、熱く耳に息を吹き込む。

道明寺の指先が私の後ろ髪を梳くように射しこまれて後頭部を包み込んでくる。

それはまるで私を愛しむ様な愛撫。

閉じかけた瞳がガチャッとドアの開く音で目覚める。

相葉さんと千葉さんが部屋の中から出ていくのが見えた。

気を利かせた?

この状況でも見られてるの恥ずかしいけど二人を追いだした形になったのも恥かしすぎる。

「あのさ・・・離してくれない」

長身が私を覆いかぶさる様に抱いてるから身動きが取れない。

「駄目だ」

さっきより密に拘束されてしまった。

「ひゃー」

くすぐったい感触に思わず小さく声を漏らす。

道明寺の唇が首筋をなぞる様にやさしく触れてきた。

拍手コメント返礼

hide 様

おはようございます。

拍手ありがとうございます。

楽しんでもらえてる様子がコメントからうかがえて大変うれしくなりました。

一番気になるのはレイニーとのこと、まだほんのさわりですがここからいろんなこと想像しちゃってますの御付き合いをお願いします。