SP物語(一秒ごとのLove for You スピンオフ 3)
久々にSP物語行きます!!!
千葉君相葉君の葉っぱコンビ。
前回の失態を挽回するために頑張ってます。
ミスは許されないの緊張感あふれる心のつぶやきをどうぞ~。
この話は『一秒ごとのLove for You 26』の番外編となります。
私語は厳禁。
シーンと静まり返ったホテルの長い廊下。
部屋番号294号室の部屋の前に背中を貼り付けてあたりに目を光らせる俺達二人。
言葉を交わす気にもなれず背中が全部ダンボの耳になってる気がする。
部屋の音が漏れて聞こえるはずもない。
検事と弁護士の密会が隣の部屋に筒抜けの安普請で行われるはずはない。
ここに代表が混じるから緊張感が半端なく周りの空気を重くする。
つくし様は無事だろうか・・・
小さくつぶやいた独り言。
俺が代表を取り押さえた思い出したくもない場面が浮かんでは消えた。
この仕事に付いて一生忘れることのできない失態。
飛ばされずにいまだに代表の護衛が出来るのは奇跡に近いと思う。
飛ばされた方が心の安息は得られそうだが、たぶん護衛を外れたらがっくりくる自分がいると思う。
代表夫妻の護衛。
思わぬ姿が見えて楽しんでる。
変装してGPS片手にウロウロと落ち着きなく変質者となる代表。
彼女が気になる様子は俺より代表が年下だってことを思い出させてくれる。
道明寺HD代表の大人びた威厳のある雰囲気が緩んで年相応の若者に変わる瞬間は何とも言えない感情を俺に植え付ける。
温かく見守る兄の心境に似たものがあるかもしれない。
って、俺、末っ子だけど。
ガチャッとドアが開く気配に背中に緊張が走る。
代表の機嫌を祈る先輩の視線と俺の視線が重なった。
グゥッと背中に感じる人の気配。
俺達の前に押し出されたのはつくし様。
よろけた身体を助けるように反射的に華奢な肩を手の平が掴んだ。
わぁぁぁすいません。
ワザとじゃないです。
でも今放したらつくし様はよろけて床に倒れてしまう。
不可抗力。
下心は毛頭ありませんから。
聞かれる前から心臓が飛び跳ねてる。
代表が渋い顔を作るのは今までの体験上数度アリ。
視線をあげるの怖ぇよ。
「私だけ、追いだしてなにする気?」
俺のことなど気にする素振りも見せず代表に強気な顔を見せるつくし様。
何時もならありがとうとかすいませんとか照れくささと戸惑いを見せる。
その初々しさが好きなんですけど・・・
ちょっと物足りない。
それだけつくし様も余裕がないってことだよな。
「連れて行け」
ジロリとつくし様を見下ろした瞳はそのまま俺達にくぎを刺す。
勝手に触るなとか触れるなとかの威嚇じゃなく逃がすなって命令を感じ取る。
そう感じ取ったのは相葉先輩も同じらしく、躊躇することなくつくし様の背後からガードの体制を取る。
触れてもいですか?
そんな質問は今回は必要なしで、代表は俺達に目を向けることなく部屋の中に消えた。
294号室。
右隣の部屋が予約をとった部屋。
カードキーを差し込んでガチャッと開くドア。
俺の後ろについてくるのが灰原さんだったら・・・
この場合男二人と女性一人で部屋に入るより見た目は健全だよな。
どうして今日のペアーが先輩なのだろう。
少しの妄想で俺は緊張から逃れられる気がする。
ん?
何時までたってもドアが閉まる気配がない。
まさかここでつくし様!
俺達に抵抗しないですよね?
代表が気になるとか?松岡が心配なんて言わないでほしい・・・
「どうぞ」
早く部屋に入って下さい!
それで俺達も一息つけちゃいます。
ここで大人しく代表が来るのを待たせるのが俺達に与えられた任務です。
遂行できなきゃ今度こ無事じゃいられない。
コツコツと足を前に進めるつくし様にフッ吐息を吐きながら部屋のドアを閉めた。
相葉先輩が部屋に光りを入れる様にカーテンを開ける。
少しか澄んだ様に見える空。
まだ俺の心も晴れてない。
ボスッ。
壁際に置かれたベッド。
その上にちょこんと正座するつくし様。
何かを見つけたように一旦ベッドから降りてテーブルに近づく。
手にはありきたりのコップが握られてる。
喉が渇いたのなら冷蔵庫から何か飲み物を・・・なんてことを考えてたら、ベッドの上にもう一度正座する姿が見えた。
え?
身体を斜めにして壁に寄せながらその壁にカポっと張り付くコップの淵。
「先輩・・・あれって・・・あれですよね?」
「ああ、昔のドラマでは良くあったよな」
「先輩。つくし様は本当にあれで会話が聞こえると思ったのでしょうか…」
「真面目にコップの底に耳を当ててる姿を見たら彼女は真剣だと思うぞ」
聞き取れない素振りでコップから耳を離してはもう一度コップの底に耳を貼り付ける。
プッーーー
笑い声をつくし様に見られない様に顔を横に向ける。
相葉先輩は顔を下に向けた。
肩・・・震えてますよ。
「すげー和む」
そんな先輩のつぶやくが笑い声に紛れて聞こえた。
張りつめていた空気が緩やかに流れ出すのを感じたのかつくし様ががコップから耳を外して俺達に存在に気がついたように視線を向ける。
キョトンとなった表情が真っ赤に色付くのが見えて、また吹き出しそうになるのを堪えながら天井を眺めた。
「何か聞こえました?」
そんな確認したい気持ちを必死に漏れそうにになる笑い声とともにお腹の中に飲み込む。
腹、痛てっ。
壁際から離れてつくし様はベッドの端に腰を下ろす。
「開けろ」
その時聞こえたドアの向こう側から響く声。
それはアリババの「開けゴマ」の呪文より威力を感じる。
その声に直ぐに反応して先輩がドアを開けた。
相葉先輩が動いた拍子につくし様はベッドから立ち上がり出口に飛びだした。
「どこに行く」
そのまま部屋から出られるはずもなく代表に身体をぶつけた形で止められてしまってる。
ワシに鷲掴みされたウサギが見えた。
「公平が倒れてないかと思ったの」
え?そこはまず代表のご心配をお願いします。
つくし様の気持も判らなくはないが、ここで公平はやばいってッ。
「俺より、あいつの心配か」
やっぱりキターーーーー。
その声は氷を張る湖の冷たさをただよわせる。
「道明寺は元気にここに戻って来たでしょう」
「公平が道明寺に何かするって考えられないから」
それは確かに!
この場での代表が危険な目に合うことは0に近い。
「手は出してねェよ。話し合っただけだ」
「俺が信じられねぇなんて言わせねぇぞ」
代表の腕が優雅に動いてつくし様を包み込むのが見えた。
「俺以外の奴を信用し過ぎだろ」
冷淡な声は俺達にも熱をもって艶をただよわせてるのが分る。
これ以上見れない。
見たら目の毒、身体の毒。
先輩と同時に部屋の中に背中を向けて出口に視線を向ける。
「 代表… 俺たちの存在を忘れていませんか?」
「つくし様しか見えなくなるのは何時もの事だ・・・」
相葉先輩がドアノブをまわして開くドア。
身体を横にして通れる隙間で俺達は部屋を飛び出した。
「なぁ、この部屋って一泊で借りてあったか?」
相葉先輩の声に視線を合わせる俺。
「さぁ?」
「・・・・・・」
同時にエレベーターに向って駆けだす。
「一平お前はここにいろ」
えっ?
部屋の前に立ってるのも辛いものが・・・
先輩の背中を見送ってなにげにドアに耳を寄せる。
おい!
こら!
駄目だろう!
その前に・・・小さな音も、声も、漏れてはこなかった。
やっぱ、聞こえねェよな。
つーか。
聞くな!
拍手コメント返礼
ぷにゅ 様
スマホ仮名乱ありがとうございます。
PCが壊れたら私、悲鳴を上げるだろうな。
小さい画面は目が疲れて長く見れないんですよね。
年を感じる今日この頃です。
mizuta 様
千葉君は相葉君と言う感想を良くいただきますよ。
相葉さんはだれだろう?
ドラマの中の配役はそのまま妄想してますけどね。
Rainy Blueなかなか進みませんが、司君の取った行動はお仕置きものですからね~
妄想全開!
一緒だとニンマリしちゃいました。
メガネちゃん 様
某所でSP物語が盛り上がりましたからね。
そして昨日のメイドさんのお話・・・
自分で爆弾投下しちゃいましたが、それが楽しくてしょうがない。
お話のストックいくつできてるんでしょうか。
早く公開したいけどこれ以上連載は無理だ~
ゆうん 様
こちらこそ妄想を誘うコメントありがとうございました。
主役以外の目線のお話楽しめるんですよね。
気がつけばスピンオフのお話3話目になってました。
1秒ではSPが欠かせない存在になってます。
マリエ 様
爆笑ありがとうございます。
見たら目の毒、身体の毒
でも覗き見たいと思う本音もチラリ。
千葉君も男ですからね。(笑)