Rainy Blue 4

日本とNY。

離れてる二人。

それぞれに、それぞれの異性の影が近づいて・・・

どう重なるのか?

つくしには類君が付いてるから心強いんですが、司君には西田さんがいるから大丈夫な・・・はず・・・

PWの御連絡。

本朝8時までに申請された方は返信してます。

届いてない方は再度ご連絡をお願いします。

遅くても明後日にはあいつに会える。

腕時計の針に落とした視線は午後1時の時間を示す。

日本は真夜中のはずなのに来るはずのない俺からの連絡を待っていたようなあいつの声。

嬉しそうな、はにかんだ声は言うつもりのなかった言葉が自然とでてきた。

「こっち来るか?」

すげー物欲しそうな声を出してた気がする。

あいつの声が途切れた今も手の平の中に握りしめた携帯をみつめてる。

内緒で取った待ち受けのあいつの写真。

NYに飛び立つ前の貴重な時間。

二人で過ごした夜。

「今日は・・・ここまでじゃ・・・ダメ?」

胸元に引き寄せたあいつが身体を強張らせたまま呟いた甘い声。

戸惑いを浮かべた瞳で見つめられてこれ以上手が出せなくなった。

ずるいよな。

俺が強引に事を進めることの限界を最低限に設定させてしまう。

「つづきは今度な」

そう、言ってあいつを抱き締めたまま眠った夜。

俺が平常心で眠れるわけがない横でクーと安らかな寝息が聞こえてきた。

「安心しすぎだろ。襲うぞこら」

軽くキスした唇は何も気がつかないままに息をフッと漏らした。

後でからかうつもりで撮った間抜けな寝顔。

無防備すぎるその寝顔を誰にも見せるつもりもなくなって携帯の待ち受けに設定した。

俺以外は知らない牧野の寝顔。

表情が変わるはずのない無防備な寝顔が俺に笑いかけてる。

そんな気がして自然と頬が緩む。

「コンコン」

聞こえたノックの音。

靴音も抑えた様な西田の静かな歩みが俺の前で止まる。

「西田、牧野をNYに連れてくる手配を頼む」

「本気ですか?」

訝しる視線を浮かべたまま西田が俺をみつめる。

「牧野がこっちに来ても仕事に支障はきたすつもりはないから心配するな」

「そんな心配はしてません」

お前の一番の興味は俺にどう仕事をさせるかってことじゃねぇのかよ。

「夕べ・・・部屋に女性を泊めましたよね?」

昨日は俺の側にいなかった西田がもう昨日のことを把握してる。

「・・・相変らずだな。そんなに人を監視して楽しいか?」

最上階ワンフロアーが住居のいくつものある部屋の一室を貸しただけ。

女を連れ込んだ様な言い方は癪に障る。

「心外ですね。将来道明寺を背負って立つ司様に悪評が立たない様に心を砕いてるのです」

「ただ、泊めただけだろう」

「遊びなら結構と私に言わせたいのですか?」

西田には珍しくずけずけと土足で踏み込んでる荒々しさ。

牧野と話した甘い余韻を完璧に打ち消してくれた。

「遊んでねって言ってるだろう」

マジに西田の襟元を掴んで首を絞めたくなってきた。

「それを世間が信用するとでも?」

俺のデスクの上にパラパラと落ちた写真。

肩を抱いてマンションの入る男女の写真。

俺と・・・牧野田 蓮華

どう見ても若い男女が同じ部屋に帰っていく甘い雰囲気。

足を怪我していてよろけそうになっていたあいつを支えた。

牧野田の肩に触れたのはこの時一度きり。

嘘っぱちの関係を作り変えるには十分すぎる絶妙のタイミングの写真が出来上がっていた。

「この写真をつくし様が目にしたら悩まれますよ」

「まだ女性を家に置いてる状況でつくし様をNYに連れてくるのですか?」

スリの被害でパスポートもお金もなくしたと説明されて、金ならやるって言ったのに施しは受けないと航空チケット代をためるために雇ってくれって泣きつかれた。

お金を受け取らない潔癖さと俺に媚びない態度が牧野と重なって追い出せずにいた。

「牧野なら俺を信じてるから大丈夫だ」

牧野ならこの状況で追い出す方が俺を責めるんじゃねェか?

「楽観視できる司様の思考が私には理解できません」

完全に俺を非難してる西田の態度。

こんなに威圧的な態度で俺に修正するようにと迫る西田は初めてだ。

「あいつは俺を信用してる」

一歩も引けない意地の張り合い。

西田の言いなりになるつもりは全く俺の頭の中から消えた。

拍手コメント返礼

メガネちゃん様

おはようございます。

某所は読むだけでも大変なことになってることありますものね。

まだこのお話はオリキャラがどう動くのかが謎ですからね。

お楽しみに♪

まちゃこ 様

流石はタブロイド紙の本場。

すばやいぞ~。

信用してるけどこれはべつですよね。

司君読みが甘い!

mizuta 様

今回の西田さんはいつもと違う。

そこに気がつけ司君!

書いていてどうするんだと叫びそうになってる私がいます。

続きを早く書かないとイラッとしそうですよ。

Gods & Death 様

恋愛経験がないとねぇ・・・

それに俺様な性格だと・・・こんな態度もありかと思っちゃうんですよね。

みわちゃん 様

つくしが来る前に片付けないとヤバい事になりそうなのは分りそうですけどね。

今回は西田さんもつくしちゃんの味方だぞ~。

なる 様

そうそう遠距離恋愛の危うさ分っていたら西田さんの言うこと聞いた方がいいと誰でもわかるのになぁ。

てな、展開で危機感をあおる展開になっちゃってます。

つくしちゃんがこのまま司の元を訪れたらねぇ、ただじゃ済まないよ~。(^_^;)