一秒ごとのLove for You 28

狙らってる相手は誰なのか?

その理由は?目的は?

以前の道明寺の傍若無人さで、赤札で泣かされた相手は数知れず。

その報復なら仕方がないってところもある。

自業自得とも言えなくもない。

それなら私は道明寺と一緒に誠心誠意謝る。

・・・って、道明寺に無理だわ。

仕事がらみの恨みに妬み。

自分の知らない所で他人の恨みをかうってお金持ちじゃなくても、有名でなくてもよくあることだもの。

ストーカーとか・・・

無差別に他人を襲うとか・・・

この場合は無差別じゃない。

ターゲットは決まってるもの。

この前もテレビやニュースを騒がせた事件があったよね。

一般人より注意して、警備もしっかりしてるのにそれでもきっと心配する不安は無くならないんだよ。

それなのに!

冷たいシャンパンをおいしそうにゴクゴクと喉に流し込んでる神経が分らない。

狙われること慣れ過ぎて神経がマヒしてんじゃないの!

なにがバカンスだよ!

「お前も飲めよ」

目の前に差し出されたシャンパングラス。

そのグラスを持つ手ごと払って落としてやりたい気分。

グラスの中で黄金の気泡が浮かんでは消えていく。

シャンパンを注いでるグラスはバカラのグラス。

値段が浮かんでそのグラスを落とさない様に受け取る私はまだ道明寺の価値観の遥か下にいる。

こうなれば酔ってやる!

グッと一気に黄金の泡を喉の奥に流し込んだ。

「おかわり」

俺の胸を突き刺す様にグラスを差し出すつくし。

「おい、大丈夫か?」

飲めと勧めたのは確かに俺。

あんまり酒は強くねェだろうが!

それに気圧の関係で飛行機の中では酔いが地上より速い。

「いいから」

目が座ってる・・・

グイッとグラスを胸元に再度押しつけられた。

「あのさ、道明寺は怖くないの?」

「なにが?」

ゆっくりとグラスにシャンパンを注ぎながら俺は酔っぱらいの面倒を見る覚悟を決めている。

シャンパンのボトルは一本空になった。

「なにがって、命を狙われてるんでしょう!」

酔いでほんのりと染まった頬。

とろりとなった瞳。

俺を見惚れてる様に思える錯覚。

酒の影響だと分ってはいるが、少し酔っちゃったって、程度って以外に色っぽさを感じるものだ。

迫んなよ。

言いたくなる。

命を狙われてるのは俺じゃなくてお前。

一人の犯人は捕まってるのだから芋づる式に共犯者もつかまるのは時間の問題。

松岡は必要以上の最大の防御でつくしの身の安全に保険をかけたかったんだと思う。

出来るなら犯人が捕まるまで屋敷に閉じ込めておくのが一番の方法。

お前の性格じゃ無理だろう?

そして、たぶん、一番お前を守りたいと思ってる俺をばかばかしい手の込んだ方法で舞台に上げやがった。

あいつが動かなくても俺はつくしが納得する方法で日本を出る算段はつけてた。

あいつがしゃしゃり出てくる必要はなかったんだよ。

俺の情報網見くびんなよな。

「道明寺が、怪我するのなんて見たくなんだからね」

グズッと鼻を啜る音。

つくしって・・・酔うと泣き上戸だったか?

「あのな・・・俺が一番怖いものって、お前って覚えとけよ」

「私?」

「道明寺が私を怖いって思ってるわけないじゃん」

キャハハと笑う声。

今度は笑い上戸か?

「いつも、怒鳴るし、怒るし、一方的に行動するし、私の意見を聞いてくれることも少ないじゃん」

つくしの手のひらが俺の頬をペシぺシと撫でるように軽く音を鳴らした。

今度は絡んできやがった。

「この、酔っぱらい、おとなしくしろ」

両頬を包んで上を向かせる。

「あのな、俺が一番恐れてるのってお前が俺の前からいなくなる事だぞ」

虚ろな瞳は必死に見開いて俺をみつめる。

俺が二重に見えてんじゃねェよな?

「道明寺、私も道明寺がいなくなったら生きていけない」

ゆっくりと落ちる瞼。

睫毛が微妙に震えて、つくしの指先がグッとシャツの袖を握りしめる。

「いなくなっちゃいやだからね」

呟いた声は小さくなって閉じられた唇。

ゆっくりと唇に近付けるように首の角度を落とす。

触れた唇からはシャンパンのアルコールの匂いと甘い味がした。

拍手コメント返礼

メガネちゃん 様

この後もカッコよく決められるかが問題なんですけどね。(笑)

Gods & Death 様

今回のお話は犯人の役割はたいしたことないので~

こっちのお話は司君にご褒美的なお話になると思います。

それに引き替えレイニーの方はねぇ・・・

みわちゃん 様

犯人探索は公平君で司はつくしで楽しんじゃう予想ありです。

まちゃこ 様

つくしちゃん少しはお酒飲めるけど弱い設定ですね。

それとも司がザル?