迷うひつじを惑わすオオカミ 20
つくしちゃんは頑張ってるけど、司君のたくらみは・・・
どうだろう?
上手くいくはずないと思ってる方の割合が多いと思うんです。
その前につくし以外にやさしくする司なんて司じゃない!
見たくないですよね。
なのになぜこの設定にしたのだろう・・・
では続きからどうぞ♪
あいつ等のことを思い出す暇も俺に与えず仕事に追われてる。
新米秘書を泣かせた後は怖がって誰も近づかねェし。
普段から西田がいなきゃ仕事が進まないって問題じゃないのか?
西田はまとめた資料だけを俺の机に残して、執務室の隅で二人のセミナー参加者を相手に指示を出してる。
カタカタと与えられたことをPCに打ち込む単純作業。
自分の仕事を減らすために回してるわけじゃねェよな?
俺の存在を無視する様な西田の態度気にくわねぇ。
西田の横で塚原がにっこりと笑みを俺に返す。
見てたのはお前じゃねェよ。
西田だ。
怒りで顔が紅潮して熱を持つ。
その俺に対して塚原までポッと頬を赤らめた。
カン違いすんなブス。
「代表、次の会議の書類です。目を通してください」
出来上がった書類を持ってきたのは西田本人じゃなく塚原。
「あっ・・・」
目の前に差し出された書類。
受け取った拍子に指先がかすかに触れ合う。
指が触れた瞬間に引っ込めた腕はそのまま恥かしがる素振りを見せて後ろに指先をか隠す。
今頃の中学生もそんなもん恥ずかしがらねぇだろう。
意識過剰だろうが。
「触られちゃった」
デスクに戻ってもう一人のセミナ参加者の木崎に小さく耳打ちする声が聞こえた。
俺がわざと触れた様な言い方するな。
ボキッ。
いつの間にか握りしめてしまったペンが手の平の中で二本に折れた。
牧野を俺の元に取りも戻す作戦。
俺が塚原を利用するのは無理かもしれねぇ。
やさしくなんて出来そうもない。
神経が逆なでされてあの女を本能で嫌ってしまってる。
「代表に気に入られちゃったみたい」
この女・・・
俺に聞かせる様に言ったんじゃねェだろうな?
思わずかみしめた唇。
かすかに口の中に広がる血の味。
切れたじゃねェか!
親指の腹でなぞる唇。
僅かに滲んだ血の色。
それを手の平で吹きとる様に握りしめた。
自分の都合の言い様に解釈できる性格も特技の欄に記入できるぞ。
このままで行けば俺は何時もの俺でいても勝手に解釈してくれそうだ。
「コーヒーおもちしました」
カタンと目の前に置かれたカップから湯気が上がる。
その湯気の向こうに今日何度めかな媚を売る笑み。
ちょっと首をかしげて造る笑みで介入できると思われてるのが俺の癇に障る。
「あの・・・」
「なんだ」
書類に目を落としたまま顔も上げるつもりもない。
何時もならとっくの昔に執務室から追い出してる。
これ以上話しかけられたら俺は我慢できるだろうか?
耐えろ。
拗ねる牧野
嫉妬する牧野
落着けなくなッた牧野が耐えられなくなって俺の元に飛び込んでくるという筋書き。
まだ生きてるはずだ。
「この書類100部コピーとって秘書課に回してくれ」
話しかけられると切れそうになるからどうでもいい仕事を与えた。
「ハイ」
クルッと身体を回してスキップしそうな感じ出歩きだした。
「仕事頼まれちゃった」
ルンとした気が塚原を包み込んでもう一度振りかぇって俺を見つめる熱い瞳。
「木崎君に手伝ってもらっていいですか」
西田に断りを入れて二人で執務室を出ていく。
「代表・・・大丈夫ですか?」
二人を見送ったあと西田が呟いた。
「なぁ、どうすればあんなに都合よく解釈できるんだ」
意外そうな瞳がジッと俺を見つめる。
「代表も似たような特技をお持ちだと思ってましたが・・・」
俺はあそこまでひどくねェぞ。
俺の場合は能力と知識と財力で思い通りの結果を出してるだけだ。
一番思い通りにならねェのが牧野!あいつだけどな。
つーことは・・・
今度も・・・上手くいかねェとかあり?
「私はこれで・・・」
俺に背中を向けた西田。
扉の前で靴音が止る。
肩がわずかに数秒上下に揺れてピタッと止まって部屋を出てった。
西田が笑うようなことあったか?
クソッ!
拍手コメント返礼
みわちゃん 様
嫌悪感を抱いた司でも塚原さんは大丈夫なような気がします。
カン違いしたまま突っ走ってもらった方がおもしろいですからね。
コピー100部じゃまだ気がつかないみたいだから次回は1000部かなぁ・・・。
Gods & Death 様
塚原さんの嫌われ感が大事なんですよね。
悪役はしっかり憎まれて何ぼの仕事ですからね。
最後は時代劇張りの爽快さで司にしめてもらいましょう。
mizuta 様
おっしゃる通り司は本能のままに突っ走るのが一番ですよね。
それがつくしにもあってるのになぁ。
司がつくしにブチュー
この爆弾は大きいだろうなぁ。
見たい!
かよぴよ 様
みなさん司がどう塚原さんをやり込めるのかを楽しみにしている感がヒシヒシと伝わってきます。
このお話の見どころはそこですよね。
なる様
>塚原さんに イラッと来ているのは おそらく 司くんだけではないはず。(笑) 全国の 数えきれない つかつくファンが パソコンやスマホの前で もやもやしているのが 見えるようです。
そうでしょうね。
司だけじゃなくどれだけの方をイラッとさせることが出来るか!
このお話の成功はそこにかかってると思います。
マリエ様
「代表も似たような特技をお持ちだと思ってましたが・・・」
西田さんが一番知ってますよね。(笑)
笑っていただけて良かったです。
まちゃこ 様
モテ期は勘違いから始まる。
名言ですね。
カン違いのままで終れば幸せでしょうけどね。(^_^;)