一秒ごとのLove for You 29
ここからは不穏なことは忘れて、題名通りの甘々度を上げるお話にしたいと思っています。
それじゃ司が良い思いをするばかりかなぁ・・・(^_^;)
ガバッ!
音をたてたのは起き上がった拍子に膝の上にずり落ちたシーツ。
目の前には明るい陽射しが射しこむ解放された窓。
小鳥のさえずりに聞こえてくるのは波の音だと気がついた。
飛行機に乗って・・・
シャンパンを飲んで・・・・
それから・・・
頭いたッ。
左のこめかみのあたりにズキンと痛みが響く。
ここどこよ!
飛行機の中じゃないのは確か。
ベットからゆっくりと降りて窓の方に向かう。
塩の匂いが風に乗って鼻先をくすぐる。
雲一つない青空はどこまでも果てしなく広がって海の青とつながった。
海に飛び出た桟橋の先にはクルーザーが一隻。
コテージの周りをヤシの木が囲む。
普段の時間の流れが緩やかに進んでる。
孤立したコテージには私以外誰もいない様な気さえしてきた。
道明寺!
道明寺はどこ?
「やっと起きたか」
私を振り向かせその声はみょうに機嫌がいい。
Tシャツと短パンにサンダル履きの道明寺が逆光の中から現れた。
「酔っぱらい過ぎだろう」
少し日焼けして赤くなった顔が優しく私に笑いかける。
「飲まなきゃやってられない状況に追い込んだのは道明寺だから」
「飛行機が着いても起きないってスゴすぎじゃねぇ?」
からかってるような道明寺の態度になにか裏を感じる。
もしかして・・・
今までのことを考えるとピンとくるものがある。
「シャンパンに何か入れた?」
「こんなに効くとは思わなかったけどな」
勝手に人を眠らせるなつーの。
ドンと道明寺の胸元を拳で責める。
簡単に掴まれた手首はそのまま道明寺の胸元に私を引き寄せた。
「酔っぱらってるときはあんなに甘えてきたのにな」
道明寺に掴まれた手首は左右に分かれて道明寺の腰に回す様に道明寺に導かれてしまってる。
離れた道明寺の腕は肩越しに背中に回って私を抱きしめた。
道明寺の胸板の厚みを頬に感じる。
甘えてきたって・・・
全然覚えてない。
私は何をした?
躊躇する私の頭の中は真っ白でシャンパンをがぶ飲みした記憶しか残ってない・・・けど・・・
「俺が、いなきゃ生きていけなんだろう?」
そんなこと言った?
触れあってる肌が熱を持つのが分る。
「覚えてないから」
グッと首をもたげた私の視線の先で漆黒の瞳が私を捉える。
「覚えてなければ思い出させようか?」
言葉よりも強く愛してるの囁きを強く印象付ける瞳がゆっくりと瞼を閉じる。
近付く唇は直ぐに目の前を通り過ぎて唇に感じる道明寺の息遣い。
「こんなことしてる場合じゃないでしょう」
手で遮りたいのに私の腕は道明寺の腰に回ったまま身動きが取れない。
必死で首を横に回すわずかな抵抗。
「こんなことって?」
「だから・・・」
「だからって?」
道明寺が私を求めてるって態度は分り過ぎるくらい分っていてる。
うれしいけど・・・
それは言葉で言えるものじゃない。
ワザと私に言わせたい意地悪な顔はニンマリと笑って追及してくる。
「命狙われてるんでしょう!」
恥かしさを誤魔化す様に張り上げた声に道明寺が大きく笑い声を上げた。
「お前さ、飛行機の中でも同じこと叫んでたぞ」
屈託ないご機嫌な笑みを道明寺は浮かべたままさっきよりも強く私を抱きしめるように腕に力を入れてきた。
「ここにいるのが一番安心だ」
耳元に触れる声は急に真面目になって熱く肌に触れる。
「帰る頃には片付いてるはずだから心配するな」
「俺達がここにいることは誰も知らないしな」
チャポン・・・
チャポン?
音のした方向には透明なガラスの水槽。
その中に沈む長方形の小さな物体。
これって・・・携帯・・・
何処かで見た覚えがある。
私の!
「これで誰からも連絡は取れない」
とれないって!
だからって、携帯を沈めて使えなくする必要なんてないでしょう!
沈んだ携帯を熱帯魚がツンツンと突っついてる。
「新しいの買ってやるから膨れるな」
買えばいいってものじゃないから。
反抗的になりそうな声を、言っても無駄って俺様な表情が打ち消してくれた。
結局道明寺の言いなりになってしまってる。
「邪魔の入らない2人の時間も今は必要だって思わないか?」
傲慢な雰囲気が一気に和らいで甘く私を包み込む。
命を狙われてるはずなのに・・・
緊迫感はまったくなくて・・・
こんな危機感でさえも道明寺は楽しんでるように思えて・・・
こんなことどうかしてる。
ここにいていいの?
道明寺の熱に触れるとそれを全部うち消してしまいそうになる自分がいる。
駄目だと道明寺を拒む声は、道明寺の唇が肌に触れる度に小さくなって、
燃える様な快感が私の拒む声をかき消してしまう。
今・・・
私の理性は道明寺に与えられる熱に溶けてしまった。
拍手コメント返礼
なる 様
この後・・・
壊された携帯のこと思い出す余裕はあるのでしょうか?
この空気感が味合えるつくしちゃん羨ましいですよね。
勿体ないからたっぷりとお届けしたいような気もします。
出来るかなぁ・・・ (^_^;)