雨夜の月を愛しむ夜に 6

こんな買物してみたい。

支払いはもちろん司君で~。

いくら道明寺財閥の力でもショッピングモール貸切は現実には無理でしょうね。

開店前の四時間。

朝6時から10時までなら可能かしら?

嵐の番組のマネキン5を想像しちゃいました。

聞こえてくる音楽。

明るく店内を照らすライト。

陳列されたたくさんの商品。

ただ一つ違ってるのは俺たち以外に人影は見当たらないってこと。

「ねぇ、この服、可愛くない?」

「この柄って今年流行よね?」

マネキンの服に直ぐに興味を示した滋や桜子。

それを見立てるように総二郎とあきらが俺達の側から離れた。

落ちつかない。

視線の定まらない表情がキョロキョロと辺りを見渡す。

道明寺・・・

小さくつぶやいた牧野の指先が心細そうに俺の腕をつかむ。

呆れた表情は一気に未知の世界に迷い込んだ子供に変わってる。

「お前は見ないの?」

「いや・・・見たいんだけど・・・見たくないっていうか・・・見れないって言うか・・・」

「俺が買ってやるんだから何でも選べ」

「買うんだったら自分で買う」

俺を頼る様に握っていた牧野の指先にギュッと力が入る。

「あのな、おれが買ってやるって言ってんだから素直にウンと言えばいいだけだろう」

「買ってもらう理由はないから」

「大学の授業料も払ってもらってるし・・・

道明寺と一緒に行くぱパティーに来ていく服もアクセサリも必要以上に買ってもらってるもの」

始まった・・・

俺が何かこいつにプレゼントするたびにこいつから聞こえる理屈。

「聞き飽きた」

「えっ?」

牧野の腕を振りほどいて店の奥に入る。

牧野のサイズならすべて覚えてる。

ランダムに牧野に似合いそうな服を手当たり次第にとって店員に渡した。

「これ、全部」

服と一緒に渡すクレジットカード。

「ちょっと、道明寺それ全部買うの?」

「俺が好きで買うんだからお前は文句言うなよな」

総二郎やあきら、外野がニンマリと俺を見てニヤついてるのが分る。

ほっとけ。

「司、それお前が着るんじゃないよな?」

店員に預けた服にちらりと視線を落とすあきら。

「牧野以外にプレゼントするってわけ・・・ないか」

総二郎、お前はそばにいる優紀の相手しとけばいいだろう。

こっちの服が似あうとか言いながら俺達のことを気にする必要なし。

「牧野に似あいそうだと思うけど」

俺の肩を持つ類の声。

類もそう思うって事はそれだけ牧野のことを俺と同じように知ってるってことだ。

いや、そんなはずはねぇか。

牧野の事全てを知ってる男が俺以外にいるはずがない。

「司、夏なんだから水着とかどう?」

「つくしが普段持ってない様な大胆なやつ」

ビキニの派手な柄のパステル調の水着を着たマネキンと肩を組む滋。

海辺で大胆ンな切れ込みの水着を着て照れくさそうにする牧野を思わず想像。

良いかもな。

「なに、想像してんのよ」

「イテッ」

脇腹に牧野の肘が入る。

「こっちの下着なんてどうですか?」

隣りの店で桜子が手を振る。

「自分の脱がせたい下着を贈るっていうのもアリだからな」

俺より前に総二郎が下着の店の中に入っていく。

てめッ!

誰に贈るつもりだ!

「道明寺の触れた下着なんてつけないからね」

熟れたカキが眉を吊り上げて俺のシャツの袖を掴んでる。

「俺が選ばなきゃあいつらがお前の選ぶぞ」

「それにいつもお前の下着脱がせてるの俺だろうが!」

今日二度目のブローが脇腹に決められた。

前のめりになりそうな身体を必死で支える。

手加減なしかよ。

俺の元に駆け寄ってきたのはSPの千葉と相葉。

「触るな」

両脇から助けようと伸びてきた腕を拒む。

「お前ら」

ジロリと睨んだ俺に二人の身体がピンと跳ね起きる。

「なにも見てません!!」

その声に反応するようにまわりから遠慮ない6人の笑い声が聞こえてきた。

拍手コメント返礼

みわちゃん 様

葉っぱコンビ本当にビクッとしてるでしょうね。

ここでつくしに逃げられて困るのは葉っぱコンビだろうな。

そしてT3とF3はつくしと司をからかって楽しんでるんでしょうね。

なる 様

「いつも脱がせてる」って言われたらねェ、つくしじゃなくても逃げ出したくなりますよね。

こんなセリフをテレもせず言えるのが司なんでしょうけどね。

このやりとりがなくなったら面白味は半減ですよね。

マリエ様

一度は夢見ますよね。

こんな買物してもらった何でもします!

相手が司君なら!

「必要ねェし、つくし以外に使う金は一銭もねぇ」

現金じゃなくて使うならブラックカードで~

ボキッ!バキ!

殴られるだろうなぁ。