迷うひつじを惑わすオオカミ 28

最近・・・

本編の前の一コマ劇場を楽しみにされてる方が多いようで・・・(^_^;)

てことでまずは一コマでお楽しみください。

「書類お持ちしました」

ここは男なら私から目を逸らせるはずがないの満面の笑み。

ほらね。

代表でも私から目を離すことが出来ずにいる。

ピクリと上に吊り上った眉。

きっと、顔に力を入れないとデレッと頬が緩みそうだから必死なんだわ。

このあとはきっと私に気があることを知られたくなくて強気な態度見せるのよね。

「誰がお前を寄こした」

いやん~

私に会うときっと自分を見失っちゃいそうなのね。

代表!

私分かってますから。

「私が無理に秘書課の先輩にお願いしたんです」

私って気が利くからこまるぅ~

「出て行け」

「えっ?」

「え?じゃねェよ。

二度と言うつもりはないからよく聞いとけ。

二度と俺の前に姿を見せるな」

私の顔をすれすれを通りすぎた書類の束がうしろのドアにぶつかって落ちる。

もうっ。

私に当たらない様に物投げちゃって。

二度と言わないなんて心にもないこと言っちゃってるし。

私に冷たい態度をとる男性って私の気を引きたい心の表れなのよね。

「御用がありましたら何時でもお申し付けください」

少し首を横に向けてにっこりと笑みを作る。

代表の椅子が180度回転して私に背中を向けた。

照れてる顔を私に見せたくないなんて可愛いすぎます。

だ・い・ひ・ょ・う 。

チュッ

指を唇に当てて離して代表の背中にキスを送る。

気のせいか背中がブルッと震えてる。

感じ取ってくれたのかな?

私の投げキッス。

牧野つくしに私は勝った!

今・・・

背中に悪寒が走った。

パタンと塚原真美が部屋を出ていく気配に大きく息を吐く。

あの女はいったいなんだ?

俺が来るなと全面拒否の態度を見せても媚を売る態度。

ハエや蚊にたかれてる気分になる。

うっとうしさはこの上ない。

「トントン」

ドアを叩くノックの音。

またあいつが戻ってきたんじゃねぇよな。

数センチ単位で開くドアののろまの動き。

中の様子をうかがってる様子。

ここは幽霊屋敷か!

不機嫌な気分はあと少しで限界を突破しそうだ。

「道明寺・・・」

遠慮がちに俺を呼ぶ声。

会社で俺のことを道明寺と名指しするやつは一人しかいない。

腕時計をちらりと眺める。

指定時間オーバー10分。

「ごめん、呼び止められちゃたから、ちょっと遅れちゃって・・・」

「1秒でも遅れたら分ってるよなって言ったよな?」

「だからそれは不可抗力というやつ!」

「呼び止められたって誰に?」

「私のことを知ってる重役の一人、確か名前は・・・」

別に重役の名前は聞かなくてもいい。

考え込む牧野を前に席を立つ。

デスクの前にたった俺は腕組みをして脚を交差させ身体をデスクの縁で腰を支えてる。

見つめる俺にようやく気がついたように牧野の視線が俺の視線と重なった。

「遅刻の言い訳は通用しない。

社会人の常識だろう」

「社会人って、道明寺が勝手に時間を指定しただけじゃない」

「俺の言うことは絶対なんだよ」

数歩歩けば詰め寄れる距離。

普通の奴なら俺の威圧に負けて後退するが、牧野をズンと大きく一歩俺の前に足を踏み出してくる。

「来いよ」

伸ばした右腕は牧野の左腕を捉えて引き寄せた。

反動でクルリとダンスで回る様に身体を回した牧野の背中が俺の胸元に落ちてきた。

そのまま牧野の腕を離した俺は両腕を牧野の胸元で交差させる。

羽交い絞めの状況に抗おうと牧野の身体が左右に揺れる。

「逃げれると思ってるのか?」

自由に動かせるのは首回りだけ。

その首を後ろにそって俺を見あげてきた。

「ちょっ!道明寺っ!」

牧野の視線から外れるように唇をそっと鎖骨に落とす。

「ひゃっ」

くすぐったそうな声が牧野の喉を振るわせる。

「本気じゃないよね」

「マジって言ったらどうする?」

「どうするって、抵抗するに決まってるでしょう」

スカートの裾をたくし上げて行く指先。

ピアノの鍵盤の上をすべる様に動かす指先がストッキングの上からも感じとる柔らかな肌の弾力。

「ヤダって・・・」

俺の指の動きを抑え込むように牧野の10本の指が俺の手首に絡みつく。

「さすがに、この状況を見せられたら塚原ってやつもここに近づく気にはならねぇよな?」

左の手が牧野の顎のラインを包み込んで斜めに首の角度を固定させた。

逃げられない様に指先に込めた力。

「待って・・・」

「待てない」

僅かに開いた唇から滑り込ませる舌先。

逃れようとする抵抗も、非難する声もすべて飲み込むように深くなるキス。

送り込む唾液が舌に絡みつく。

本当はここまでするつもりはなかったんだけどな。

お前が誘ってんの自覚しろ。

抗えば抗われるほど。

拒めば拒むほど。

逃げようとすればするほど。

追い駆けて、捉えて、自分の熱で、衝動で、壊したくなる。

「なに、考えてるの!」

きりっとした痛みに唇が離れた。

噛まれて切れた唇から口の中に広がる血の味。

唇をなぞった指先がうっすらと赤く染まる。

それは直ぐに止る程度の軽い傷。

「もっと、優しくしろよ」

「優しく出来るわけないでしょう」

乱れかけた服を必死で整えながら俺から飛びのく牧野。

びしょ濡れの雨の中に飛び出した子猫が強がって必死で毛を逆立ててる。

「本当に、誰か来たらどうするの?」

「俺はべつに見られても困らないけどな」

笑いを含んだ自分の声を心地よく聞いている。

「笑い事じゃないから」

照れてるのを隠す様なムスッとした声。

そんなお前の強気なとこ意外と気に入ってんだ。

「俺も最後までするつもりはねェよ」

ククッと零れる笑みはまだ止まりそうもなかった。

拍手コメント返礼

花より男子大好き 様

誤解を解くの大変そうな相手ですよね。

司じゃ無理かも・・・

みわちゃん 様

司の全く興味のわかない投げキッス。

一人悦に入るのは塚原さんだけ~

悪寒が走るのもわかりますよね。

NYと二本立て♪

いや~

ちがいすぎるお話が同時進行で私の頭の中はあたふたしてます。

Gods & Death 様

子供のエネルギーについて行くの大変ですよね。

うちの母も今の年令だったら孫の面倒見るのは無理だ~と言ってました。

孫の世話は60代までだそうです。

いや・・・もうその前に私が産むのが無理だから・・・(^_^;)

確かに塚原さんストーカー気質あるかも・・・

メガネちゃん様

一コマ劇場があるから本編が楽しめるんですよね。

塚原さんの考えにイラッとしながらやっっちゃえと思いつつ本編に行っちゃうって感じかな。

ぎゃふんと言わせてくれるのは誰でしょう~

bunnta 様

最後は塚原さんどうなるのか?

つかつくの甘々を見るよりこっちの方が楽しみだってりして・・・

絵梨様

一コマ楽しみにしていただき嬉しいです。

この強烈キャラは嫌われ度NO1ですが、必要なキャラに成長しちゃってます。

本当なら木崎君がばたつかせる予定だったんですけどね。

花沢類登場を密かに希望されてる方多いんです。

F3登場なるか!

mizuta 様

ここまで都合のいい解釈されると気持ちがいいかも。

脱帽しちゃいますよね。

どんなに塚原さんが迫っても司がなびくわけがないと前提があるから楽しめちゃうけど。

総ちゃんとあきらくんならホイホイ遊んじゃうのかしら?

かよぴよ 様

そうなんですよ~

撃沈させるよりどんな返しが来るか楽しみになってきてる読者の方増えてますよ。

さすがに私もそこまでは想像してなくて、焦っちゃってます。

まだまだ一コマ劇場が終われない予感・・・(^_^;)