ANSWER 9

司にばれちゃって、舞ちゃんは佑君と離れたこの時間、つくしちゃんは家で末っ子の育児に専念中なのかな?

つくしが登場しないのも寂しいなぁ~。

思わずこんなショートを書いてみました。

「おい」

急いで出た携帯から不機嫌な声。

まあ機嫌が良くても横暴なんだけど。

「もっと早く出ろよ」

うわ~、ヤッパリ機嫌悪い。

以前なら反抗的に返した言葉も「ごめん」と謝る低姿勢。

「何かあった?」

今日は会社がらみのパーティー出席で子供達も出払って家に残ってるのは末っ子と私の二人。

お腹を満腹にした澪はすやすやと寝息をたてている。

「何かあったじゃねェよ」

ようやく寝付いたばかりなんだから、そんなに大声出さないでよ。

「お前、知ってたか?」

「なにを?」

「なにをってあれだ、あれ!」

あれってなによ。

あれと言われて気がつくほどツーカーな結婚生活はまだ送ってない。

大体司の要求は膨大過ぎて私の思考じゃ対応できないこともあるですからね。

返事をしない私にしびれを切らしたような舌打が聞こえた。

「舞がだな・・・」

「舞がどうかした?」

言いたくないのか言葉を濁す司の態度にピンときた。

佑君が好きだって事バレタかな?

「だから、舞だよ」

確かめたいくせに聞きたくないって態度が分り過ぎる。

言葉でも舞に彼氏が出来たかなんて聞きたくないんだ。

「おい、笑えることか?」

司の狼狽えてる様子が見えないのが残念。

「お前、母親だろうが、舞が心配じゃないのかよ」

もうほとんど愚痴に近い。

「佑君なら優秀マーク付けられると思うけどな。

私と、司が付き合ってたときより安心だと思うけど」

「あのな、俺が危険だったみたいに言うなよな。

どんだけ我慢させられたと思ってるんだ」

もうッ!なにを言いだすのか。

私が言いたいのはそんなことじゃない。

佑君なら舞を大事にしてくれるってとこ強調したいだけなのにッ。

司の側に誰もいないかとそっちが心配になってきた。

「帰ってきてから話は聞くから」

「おい!こら!

まだ話は終わってねぇぞ」

携帯から届く怒鳴り声を無視して電源を切った。

今夜は長くなりそう・・・

足を踏み下ろした衝撃は直に私に返ってきた。

パンプスの踵が折れたんじゃないかと思う様な強い衝撃が直に足首に伝わってくる。

「ダセッ」

やられるわけないだろうとニンマリと私を見下ろしてる琥珀色の瞳。

日本人にしては少し色素の薄い瞳の色あいが柔らかく微笑む。

なんだか子供じみた自分の対応が恥ずかしくなってきた。

反撃をかわされるってみじめな気分。

優しさがあるならここは嘘でも足を踏まれてもいいじゃないのって自分勝手な欲求。

夜の街に一人取り残された寂しさを感じてる。

「怒ったり、泣きそうになったり・・・」

「忙しいやつだな」

泣いてなんかないわよ!

まだ・・・だけど・・・。

全てを見透かされてるような感覚に捕らわれて言い返せなくなってる。

「ほら」

目の前に差し出された手のひら。

え?

とまどってる私の腕を掴んで強引に手をつながれた。

引き抜こうと抗った手の平はギュッと握られたまま離れそうもない。

少し汗ばんできた手のひらが密着度を増してるように感じてる。

「転ぶなよ」

佑の手のひらより大きくて長い指先がしっかりと私の手を取っている。

「転ぶわけないじゃん」

フッと笑った声が耳元をかすめる。

歩いた先は地下鉄の入り口。

「地下鉄に乗ったことがないとか言わないよな?」

「小さい頃はよく乗ったわよ」

一般的家庭の生活。

ママにしっかり体験させられてる。

地下鉄もバスもタクシーもバンバン乗れる。

最近はパパが危ないと過保護で利用する頻度はほぼゼロだけど。

バーゲンに付きあったことも何度かある。

最近は澪のミルクにオムツ。

おひとり様2個までに購入要員として付き合わされてるんだから。

「お金、貸して」

先輩がポケットから出したコインを受け取って販売機に並ぶ。

「へぇ、本当に乗り方知ってんだな」

こんなことで感心されても困る。

それでも悪い気がしないから私も単純だ。

帰宅途中のサラリーマンで満員の電車。

揺れる電車の中で両足をひらいて必死に踏ん張る。

電車にパンプスって結構、難しい。

「イテッ」

小さくつぶやく声に歪む頬。

「ごめんなさい」

さっきは不向きまんまんだったのに偶然に踏んだことに慌ててしまってる。

「わざとじゃないから」

「分ってるよ」

「大丈夫か?」

先輩の腕が両脇から伸びて私を庇う様に立ってる事に気がついた。

「あと二駅だな」

駅名を確認しながら時間を確かめるように腕時計をちらりと見る先輩。

この人・・・

やさしいのか優しくないのか判断が難しい。

何となく、この場に一緒にいるのが息苦しくなって落ち着かない。

目的の駅に止ってホームに降りた瞬間に何かに解放された様に大きく息を吐いた。

「あっ、どうして私の家知ってるの?」

フッと思った疑問。

「英徳で、おまえの家知らないやついるのか?」

背中が行くぞって言ってるみたいで改札を出ていく先輩を追ってしまってる。

私・・・

どうしてこんな奴の言うこと聞いちゃってるんだろう。

それでも一人で夜の街を歩く心細さには勝てる気がしなくて・・・

ただ・・・

黙ってその背中を追う様に歩いてる。

「この辺だよな?」

振り返らないままに聞こえた声。

見覚えのある街並み。

見えてきた門。

その前に佇む人影。

「だれ?」

私達に気がついてゆらりと揺れた黒い影。

街灯の照らす光が佑を浮かび上がらせていた。

拍手コメント返礼

ゆきこ 様

ごめんなさい~

最初に謝っときます。

まだ佑君の良さが出て来てないの~

やっと来たと思ったら影だけだし・・・・(^_^;)

次回に奮発してもらうということで~。

色んなバージョンありますよね。

私を迷わせないで~(笑)

さち 様

そうなんですよ。

佑君どんな気持ちで待ってたのか。

そこを考えるとウルッと来ちゃうんです。

そこに二人で帰ってくるだもの~

舞!手をつないでる場合じゃないぞ。(この時はもう手を離してる設定ですが・・・)

次回は佑君サイドのお話ですよ。

理子 様

確かに親子二代の三角関係。

それに気がついてるのは佑君だけだったりして・・・(^_^;)

舞ちゃんをしっかりつなぎとめておかなきゃね。

頑張れ佑。

アーティーチョーク様

いよいよいろんなところでバトルが開催されちゃいますね。

どうなるのかな~

双子と佑の設定は佑が数か月後に生まれた設定に決めました。

ごちゃごちゃしてたので迷わない様に誕生日を決めたんですよね。

物語の中でもごちゃごちゃごちゃしてたんで申し訳ないです。