ウエディングベルは二度鳴らす 6

やっとこのお話も再開。

これまでのあらすじは♪

婚姻届けが提出されてなかったことに進に言われて気が付くつくし。

つくしは司法試験合格後の司法修習で司とは別居中。

会社の執務室に乗り込んだつくしは司を責めるが・・・

何故か婚姻届を役所に類と取りに行くことになったのよ~。

さてさてこれからどうなるの~。

「よっ」

役所の自動ドアを開けたところで目の前ににこやかに手を上げて私はその声に反応するように足を止めた。

その爽やかな笑顔は愛嬌があって他人の警戒心を解くのには十分な効果を発揮してる。

とはいっても私の場合笑顔を見せてもらわなくても警戒なんてしなくてすむ相手、松岡公平。

大学の同級で司法修習も一緒に受けている気心のしれてる友達って感覚。

優紀と名字が一緒だから。

そんな理由で気さくに声をかけてきた公平とはすぐに打ち解けた。

英徳の構内では道明寺に遠慮して私に声をかける男子学生は少なかったからレアな存在だった。

私が道明寺と付き合ってるって知らない人はいないって思っていたのに希少価値だったのが公平だったんだよね。

だから仲良くなれたって理由もあるんだけど。

司法修習所では唯一私が結婚したことを知ってる公平。

いろいろと助けてもらっちゃて、頼れる友。

その公平がなぜか私の目の前でにこやかにほほ笑んでる。

「珍しいところで会うな」

「ちょっと貰いたい書類があってもらいに来たとこ」

それは婚姻届ってことはなんとなく公平に見られるのは恥ずかしい気がする。

どうしたのって疑問を持たれることは想像できるもの。

「俺も書類もらいに来たとこ」

一緒に行こうって自然な誘い。

ここで付いて行かなきゃ、私の態度の方が疑問を持たれる。

公平の一歩後ろをついていく私が立ち止まったのはさっき婚姻届を渡してくれた女性の前。

「婚姻届けの用紙をお願いします」

公平の明るすぎる声に女性の視線は私に釘付け。

え?

あっ?

あなた・・・また?

そんな蔑みの視線を感じる。

「さっきの人とは違うけどこっちもいい男ね」

井戸端会議でも始めそうな雰囲気の声で女性はつぶやく。

「ねぇ、どっちが本命」

違うと言いたくて一歩踏み出した私の前に身を乗り出してきた女性がつぶやきながら、女性の右手は公平に婚姻用紙を渡してる。

「どっちも違いますから。私にも婚姻届を下さい」

公平とはべつだと印象付けるために私は急いで手を差し出した。

ここでどう思われようと婚姻欄に名前を書くのは道明寺 司以外にはいないのだから花沢類も松岡公平も違うつーの。

「つくし、婚姻届って?」

女性から用紙を受け取って足早にその場を離れる私を公平が追い掛けてきた。

「私より公平でしょう。結婚するの?」

そんな相手いる様な話は聞いたことがない。

「俺が?」

こくっとうなずく私に公平はクスクスと笑みをこぼす。

「修習終わらせるのが先決だよ。

それに仕事についたら仕事覚えることで手いっぱいでデートする暇もないだろしね。

結婚の前に彼女もいないの知ってるだろう?」

「だよね、彼女がいたら私と仲良くなんて出来ないよね」

好きな人の横に女性がいて楽しそうにしてるなんて思ったら気になってしょうがないもの。

道明寺の場合はそんな人いないのかな?

秘書課にはすごくきれいな人がいっぱいるけど、道明寺は仕事意外のことでは一切寄せ付けないバリアーをはっている。

執務室の道明寺は無口でいつも不機嫌な表情で口をひらけば怒鳴ってる割りあいが多くて道明寺の機嫌を損ねないようにするのが最大の仕事だと思ってる社員が多いらしい。

秘書さんに言わせると道明寺は見てるだけの目の保養でいい存在なのだそうだ。

もし・・・

公平と仲よくしてる事を道明寺が知ったら、私と同じように思ってくれるのだろうか。

あいつの嫉妬深いのは自分が信用されてないみたいで、時には傷つくって分ってるのかな?

視線がちょっといっただけなのに「俺以外の男にまだ興味があるのか」と眉を吊り上げる。

別道を歩いてたらなにげに視線がいくこともある。

別に興味があって視線が行っただけじゃくたまたま!

わたしの側に自分以外の誰かがいると拗ねて怒って怒鳴って・・・

そして熱い情熱がそのまま私を包み込んで愛してくれる。

案外私は道明寺が私に見せてくれる嫉妬がうれしくて安心してるのかもしれない。

道明寺がモテるのは半端ないんだから。

道明寺のそっけなさにホッとしちゃう自分もいる。

道明寺の前じゃ素直じゃなくて甘えるのも下手だけど、ありのままの私でいられるのは道明寺だけだから。

道明寺以上に愛せる人は二度と現れないって思う。

「心ここにあらずって感じだな」

また公平にクスッと笑われた。

その笑みにつられるように頬が熱くなる。

「俺は近く結婚する友達のための準備してやってるんだけど、つくしはどうして必要なの?」

「あ・・・私も友達のなの」

嘘をつくのがうまくない私は少し声が上ずってしまった。

私の言葉に公平は俯き加減に下に視線を落とす。

並んで歩くように役所の出口に向かって足を進めた。

「忙しくて、婚姻届を出すのを忘れてた・・・

なんて、ドジってたら面白いけどね」

公平が冗談ぽく言って私に顔を向ける。

公平の言葉が終わらないうちにギクッとなって足が止まった。

「ウソだろう・・・」

公平の表情からも笑顔が消えて真顔になって私を見つめてる。

一度開いた自動ドアが目の前でガタンと閉まった。

拍手コメント返礼

なる 様

つくしの周りは出来る男ばかり。

司が一番出来る男のはずなのに~♪

何故かつくしの前だとねェ・・・(^_^;)

F4集結してみんなで役所に出向いたら語り草になりそう♪

みさつき 様

公平ってだれ?と忘れられてなくて良かったです。

公平君の登場をお願いしますとのリクで久々の登場です。

カテゴリー間違ってましたね。

お知らせありがとございます。

チェック忘れた時に限って間違ってるんですよね。(^_^;)

ゆみん 様

公平君人気高そうですよね。

F4と違って手が届きそうなとこにいるイケメン君ですもの。

そして職業は検事。

変な女に捉まらないように見張らないとだめですよ~

うさこ 様

こんなところで公平君♪

外に出たら和也君。

数歩歩いたら亜門にぶつかって~

勢ぞろいさせちゃいます?

もうコメントに吹き出しちゃいました。