雨夜の月を愛しむ夜に 9

上空から見下ろす下界。

うっすらと西の空は夕焼けに染まり都内のイオンがまただきだす時間。

黙れと唇を塞がれた後からなんとなく言葉が続かない。

「きれいだろ」

外を指さしながら雨で空が洗われて空気が綺麗なんだとそんな注釈を付ける道明寺。

何時もより大人にの雰囲気で「お前に見せたかった」とつぶやくからますます発する言葉が見つらない。

ゆっくりと高度を下げるヘリが降りたったのは都内のビルの屋上。

そこから直で降りたマンションの一室。

ホテルの想定は一気に崩れた。

ホテルって思っちゃってる自体で何を想定してたのか・・・

ヤダなもう。

ここは意外そうな表情は道明寺には見せられない。

「ここだと誰にも邪魔されない。

使用人に傅かれる生活にはなれてないから、お前にはこの方が落ちつくかと思って、この部屋購入したから」

飴玉でも買ったような気軽さで道明寺がつぶやく。

「買ったって・・・」

「だからお前のために買ったんだ」

私の為って・・・

ポンとマンション購入されたって言われても驚くだけでうれしさはちっとも湧いてこない。

「ここに住むの?」

まさか・・・道明寺と?

それはまだ心の準備が出来てない。

四六時中道明寺といると心臓が持たない気がする。

会えないと会いたくなるのに、会えば心臓がうるさく心拍数を上げてくる。

抱き締められると離れたくなくって、道明寺の指先が私の身体をなぞるたびに身体の細胞全てを道明寺で満たしてほしくなる。

一緒にいる時間が増えちゃったらそれはそれで耐えられない気がするほど私は道明寺が好きなんだって思う。

「いや、お前と2人で過ごすための専用の部屋」

それはここに居住するつもりはないってことなのだろうか・・・。

それはそれで贅沢過ぎる。

一緒にいられる時間て、ほんの数時間ってことがほとんど。

ヘタしたら30分程度の時間ですぐに会ってとんぼ返りで会社に戻ったこともまる。

都内でこれだけの部屋いくらするのか知るのも怖い。

確かに道明寺の御邸には幾人もの使用人や出入りも多いから追いつかないのは確かだけどこの部屋も落着けないよ。

どうせなら1LDKの狭いアパートの方が私にはしっくりくる。

狭い方が近くに道明寺の体温が感じられていいのに・・・

そう・・・

うちの社宅の狭さが一番!

「あのさ・・・

わざわざマンションを買う必要なんてないんじゃないの?

ホテルでも十分だと・・・」

言い終らないうちに道明寺が私にグッと詰め寄ってきた。

道明寺の吐く息が私の唇に触れるほどに近い。

「お前と愛を交わすのに誰が使ったか分かないようなベッドじゃ嫌なんだよ」

愛を交わす・・・

一気に体中に火がつけられた様な濃厚な色気が道明寺に漂ってる。

何時もより・・・

すべてに・・・

バージョンアップして迫られてる気がした。

「部屋の中でも見てみようかな・・・」

俺の気を逸らすように牧野が身体をクルリと回す。

ぎこちない動きはまるでロボットみてぇ。

焦ってるのが分り過ぎる相変らずの反応がおもしろい。

会うよりも電波でつながってる時間の方が多い俺達。

俺に会うことより友達との時間を選んだ今回の行動に嫉妬したのは大人気ない事だと気が付いてる。

離れてる隙間を埋めてくれるダチがあいつらで、俺はかなり安心してるんだ。

それでも俺を優先しろよ。

牧野。

俺が何よりも考えてる事はお前の事なんだからな。

コマネズミのように動き回ってドアを開けるたびに感嘆の声を上げた牧野が目を輝かせる。

「ここの住まないってのも、もったいないよね」

「それじゃ、一緒に住むか」

「結婚まで、ダメに決まってるでしょ」

何度めかの本気の誘い。

何時もよりは勢いのない言葉で牧野の声がすぼまる。

以外にイケるか?

その思いは無理に強調せずに牧野の後をゆっくりと歩く俺。

「ジャグジーまであるんだ」

手垢一つ付いてない磨かれた窓ガラスから見おろす地上には昼間と見間違う様にネオンが輝く絶好の景色。

この部屋に入ってすぐに温水器のパネルのスイッチ入れた。

浴槽からはすでに湯気が上がってる。

「一緒にいるか?」

「えっ!いきなり!」

いきなり押し倒されるよりましじゃねェのかよ。

ククッと笑う俺にムッとした表情を牧野が浮かべた。

「怒るなよ」

「どうして私が怒るの!」

照れ隠しに声を張り上げてるのは分ってるからいじめたくなる。

牧野の前を通って風呂場の中に自分から入る。

「ちょうどいい温度だ」

「ささ先に入れば、私でて行くから」

真赤になってどもる声が可愛くてしょうがねェ。

真赤に熟れて色付く肌もくすぐったい感覚を俺に与える。

シャワージェルのボトルから中身を入れてジャグジーのボタンを押す。

お湯は撹拌されで泡で浴槽を白く埋め尽くす。

「映画のシーンでよく見るよね」

興味をもった牧野が浴槽の側に来て覗き込む。

「これなら見えないから問題ないよな」

「見えないからって、恥かしさがなくなるわけじゃないんだから」

浴槽のヘリに腕をついたまま振り向いた牧野。

その不安定な立ち姿の牧野を抱え込んで浴槽に放り込む。

浴室の床にきめ細かい泡を飛び散らせる。

「なにするのよ」

浴槽から顔を出した牧野は泡だらけの顔で俺を睨む。

「これで、風呂に入りたくなったろう?」

ムッとした表情は戸惑いに浮かべて、そして・・・恥かしそうな笑みを俺に向けた。

そのまま顔半分湯船に沈めて顔を隠す。

見えない浴室の中から牧野の服が俺目がけて飛んできた。

「こら!投げんなッ」

「びしょ濡れじゃない」

そしてまた服が飛んでくる。

これってブラ・・・ッ。

浴室内には、はしゃいだ俺達の声が響いてた。

このお話あと一話で終了予定です。

その前にお☆様は・・・どうなるかなぁ・・・(^_^;)

私の気分をのせてくれる方はいらっしゃいますかぁぁぁ~(笑)

拍手コメント返礼

ゆきこ様

は~い

お風呂でちゃこら♪

ばちゃばちゃ遊んで終わるのはお子ちゃまですよね。

そんな終りはきたいしてないですよね。

さぁて、今回はお星様付けずにいどこまで行けるか挑戦してみようかな。

ここまででも結構色っぽい仕上がりになってると思うんですよね。

ヘタすると、12月はお☆様祭り三昧になっちゃいそうですものね。

なにを書くべきだったか忘れそうなのでクリスマスからのリクのまとめお願いいたします♪

Gods & Death 様

2人だけで誰にも邪魔されずに過ごす部屋。

贅沢~

つまりは逢引仕様。

片づけ・・・

せっせとつくしちゃんが片づけ♪

他人には触られたくないいだろうなぁ・・・(^_^;)

ゆみん様

つくしちゃんスタンバイOK!

珍しく司君の攻略成功の匂いがするのね~。

>西田さん?等身大看板が【大成功】のプラカード持って立ってるとか?

もう♪ムード壊す爆弾じゃないですか~

それ見たらつくしちゃん怒って帰りそう♪

西田さんのプラカード、想像したら笑が止まらなくなりました。

責任取って下さい~(笑)

still・・・様

書き始めは梅雨でしたからね。

しっとりとした気持で書いちゃったんですよね。

季節で書くイメージが左右されちゃいます。

ここまで愛されちゃったらなんでも上げちゃたくなりますよね。

つくしの場合原価タダですからどんどんいっちゃって欲しいなぁ。

akko

このスケールは司ならアリですもんね。

夢のセレブな生活♪

私も日常からの現実逃避にしちゃってます。

うさこ 様

もう♪

両手を上げて御願いされてるような♪

てんぷらお得盛り合わせを堪能した後は総ちゃんワインをかたむけ類君のピアノ演奏に耳を傾けての~

あきらくんとチークですかぁぁぁぁ。

後は壁ドンで御願いされれば私オチマス。(笑)

さぁ~

今日もピーだらけになっても責任は負いかねますので~~~ヽ(^o^)丿

なる 様

大人の雰囲気に持っていきながらいつもの雰囲気になっちゃうふたりがかわいいの~

誰も使ってない真っ新のベッドできらめく夜を堪能していただきましょう。