イブに恋して囁いて(舞&佑)

さぁ~

やっとここまで来たぞ♪

クリスマスまではあと残りは四日・・・

長い・・・

*

「すず~」

「舞~」

俺と翼の前で熱い抱擁を交わす二人。

「元気だった?」

昨日学校でも会ってる二人。

どうせ抱きつくなら俺だろう

そんな感情をそのまま顔に張り付けてる翼は未だに頭の上に角をのせている。

「翼、着がえてきたら?」

「しばらくは俺はピエロでいいんだよ」

そのまま翼は槇の側に歩いて行く。

身体を太目に見せる茶色い着ぐるみ。

おしりにはクルリと巻いた短めのシッポ。

トナカイのシッポってあんなのだっけ?

ブタのシッポにしか見えない。

初めて道明寺の屋敷に招待された槇は緊張気味に顔を強張らせてる。

舞にしても翼にしてもそんな槇の緊張を解きほぐそうとしてるのは直ぐにわかる。

僕ら同級生4人は大人たちから離れたところで一塊になる。

なんら高校の教室と変わらない光景がそこに出来上がってる。

そのうち机や黒板が見えだすんじゃないんだろうか。

去年と違ってみんなラフな格好で集まってる内輪のパーティー。

淡いピンクのひざ丈のカクテルドレスが舞を大人びて見せた聖夜の夜。

今年は細めのジーンズV字のカシミヤの白のセーター。

舞のスタイルがくっきりと分るライン。

胸には僕が贈ったネックレスが光る。

シンプルさがやけに艶めかしく感じるのはどうしてだろう。

去年よりもっと舞の側にいたくて、触れたい思い。

好きだと告白すれば楽になるって思えた。

両思いになれれば幸せだと思えた。

今、舞が笑顔を向ける槇や翼にまで嫉妬してる自分がいる。

舞のすべてが全部自分に向けられないことへの嫉妬。

我儘間な思い、感情を持てましてしまってる。

今日はすべてを忘れて楽しまなきゃいけないのにな。

楽しめないよ。

「佑」

やっと舞が俺の名前を呼んでくれた。

それだけで、くすぐったくなる感情。

直ぐに顔に出ちゃってる気がする。

「ねぇ?楽しくないの?」

「どうして?」

「眉間がこんなになってる」

舞が僕の顔真似だと言う様に自分の眉を寄せて顰める。

「そんな顔、してたかな?」

「してたよ」

嘘はつかないからって少し膨らむ頬。

「俺のこと忘れてるんじゃないかと不満に思っていた」

「忘れるわけないじゃん」

聞こえなくなりそうな小さな声で口を尖らせる舞。

何かを気にするように視線を動かして舞の瞳が僕を捉える。

「この位置じゃ見えないみたいだよ」

大きなモミの木がちょうど邪魔になって俺たちの姿を大人の視線から隠してくれてる。

舞も僕も翼も気になるのはただ一人舞の親父さん。

父さんは心配せずに楽しめっていってくれたけど忘れる事は無理だって思う。

睨まれても怒鳴られても舞と一緒にいたいって気持ちが勝ってるのは否定できない。

危険を冒すヒリヒリ感がドキドキもの。

結構楽しめるものじゃないかと思ってる。

「舞・・・」

僕らを隠すツリーの陰の窓辺。

寄りかかった身体の中に舞を引き寄せた。

舞の背中を胸元に感じとりながら肩から回した腕は舞の胸元で交差する。

少し頭を下げて頬に触れる舞の髪の毛。

ふんわりとした感触に鼻先をくすぐるシャンプーの香。

「どうしたの?」

そんな表情で舞が僕を見あげてきた。

「小さい頃よく、こんな風に佑をおんぶしたよね。

今は無理だよね。

佑、いつのまにか私の背を追いこして大きくなっちゃったしね」

おんぶ?

そんなつもりで抱きしめたわけじゃない。

無邪気に笑う顔は子供の頃そのまんまの舞。

触れたくて、自分の側に引き寄せた甘い感情は行き場を無くしてしまってる。

「舞、それ、佑に悪いぞ」

思いきり聞こえた笑い声は斜め前45度先にいた西門のおじさん。

「さすが、牧野の娘だよな」

父さんまでそういって笑い声を漏らす。

「折角、類が司の気を逸らしてやってるのにな」

父さんの視線の先を追い掛けて覗いた先で、舞の妹の澪を間に類おじさんと舞の父さんが何やら言い合ってる感じだ。

「まあ、頑張れ」

西門のおじさんに声援を送られて、なんだかおかしさがこみあげてきて、自然と笑い声が漏れたきた。

「なによ?何が可笑しいの?」

「別に、なんでもない」

無邪気過ぎる舞がますます好きになった気がしてきた。

拍手コメント返礼

ゆきこ 様

ここにきて舞ちゃ~んそれはねぇ~佑君かわいそうよ~

まあ、つくしの子供ってことであり得るとF4も納得しちゃいますけどね。

トナカイのコスチューム提供は滋ちゃんですよね♪

次はないを準備してくれるかなぁ~

みわちゃん 様

佑応援隊は最強ですよね。

司も叶わない布陣。

と、思ったら、最強の敵は舞の鈍感さ♪

さぁ、ここをどう崩すか、

それは遠回しの攻めじゃなく直球よ!

司のようにいって欲しいですね。

いけるかな?佑クン。

アーティーチョーク 様

嫉妬してるの翼~君です。

佑君冷静に翼君を見てるの~

さて、この後はどうなるでしょうか。