特別な夜は特別に 2

「誕生日は一緒に過ごそう」

言ったんだ。

宣言したんだ。

俺。

牧野に自信満々にだな・・・

この俺様が言い切ったんだぞ!

西田に泣き言を言えるわけねぇから心の中に不満がくすぶる。

それなのにッ!鬼だ!

西田お前が今日ほど鬼に見えたことはない。

「今日が仕事収めですから、すっきりして新年を迎えましょう」

俺もすっきりしてーよッ。

仕事じゃなく牧野でな!

「これが終われば、新年が明け手仕事初めまではゆっくりできるじゃないですか。

日付が変わる前には帰れますよ」

すっきり、さっぱりと西田はそうきり捨てる。

あのなっ!

牧野の誕生日だぞ。

それも婚約して初めて迎えるあいつの19才の誕生日。

最後の10代を誕生日を心に残る時間にしたい。

それも俺の手で・・・

「坊ちゃん、自分の誕生日の事は考えてないですよね?」

「俺がここまでしてやってるんだから牧野からも相当なお返しがあってもいいはずだとか・・・

邪な考えをお持ちとか・・・?」

西田と俺の間に数秒の沈黙が流れる・・・。

そんなシマシマなこと考えてるわけねェだろうッ!

言う前に、説得力はありません的な白い目が俺を見つめてる。

「さっさと仕事終らせてやる!」

怒鳴ってデスクの上の書類を広げた。

別館にて番外編Upしてますのでそちらもお楽しみください

「今日も、待たせられるって思わなかった」

花束とケーキの箱を抱えた俺にあいつは少し泣きそうな表情で小さく笑みを作る。

拗ねるとか・・・

怒るとか・・・

そっちの方がどれだけ楽かしれない。

なにも言わずに華奢な身体を抱きしめた。

「もっと早く帰るつもりだったんだけどな」

「後10分遅かったらぶん殴れたのに」

俺の胸元で両手の掌がギュッと指を掴む。

「本当ならお前が喜ぶこといっぱい考えてたんだけど全部だめになった」

「それって、おいしい料理に豪華な部屋を準備とかじゃないでしょうね?」

「それは基本だろうが、日本を離れてゆっくり二人で静かに過ごすつもりだったんだ。

今からでも行くか?

俺はこれから仕事休みだし」

「あのね、私の都合もあるだけど」

「お前は俺に合わせてればいいだろうが」

言うと思ったって小さくうごいた唇。

そのままフッと笑みをこぼす。

「あっ、花束ありがとう」

「いや、これは西田から」

「えっ?」

ぽかんと開けた口が閉まらなくなってる。

「でも、カードには道明寺のサインがあるけど

誕生日おめでとうってありきたりな一文だけど道明寺の字だよね?」

「普段、あいつがいろいろと贈り物準備してるんだよ。

その中の一つだと思って書いたんだよ」

お前にあいつが選んだものがプレゼントな訳ねぇだろう。

あいつがだなお詫びですって悟りきった表情で俺に渡しやがった。

そう思うなら早く俺を開放しろって言うんだよ。

「急いできてくれたのは分ってるから責めないけど・・・

私の誕生日祝ってくれるんだよね?」

仕事が忙しいとか、大変だとか、疲れてないかとか・・・

こいつが俺の事を心配して遠慮してるのが分る。

もっと我儘言えよ。

お前の誕生日だろう。

スラックスのポケットの奥の小さな箱。

NYの街なかでふらっと入った宝石店。

陳列された棚の中でそれだけが特別な輝きをみせていた。

派手じゃなく豪華でもないのに存在感だけはやけに強くて。

牧野に似てるなって直観。

どんな大きなダイヤの石より輝いてて欲しいって気持ちがあふれてた。

きっとお前に似合うはず。

シルバーのファッションリングの中央に輝くピンクダイヤ。

俺からの婚約指輪にしちゃ、ちやっちいが、このくらいの方が牧野は喜んで受け取るって思う。

どのタイミングで渡せばお前は一番感動してくれるのだろう。

「俺以外の誰が祝うんだ?

だから抱きしめてる。

今からの時間お前の好きなようにしていいぞ」

腕をポケットに移動させて指輪の箱を確かめる。

「道明寺を好きにしていいってこと?」

「俺はお前のものだから」

「私は俺の物って言うんでしょ?」

クスクスとした笑いの振動がかすかに胸元のシャツを揺らす。

ゆっくりと動く牧野の指先が見えて、その指先はネクタイに触れて解く動きを見せる。

シャツと上着の間に滑り込んできた指先が肩に触れてシャツを脱がした。

「スーツのままじゃくつろげないでしょう」

牧野に脱がされた上衣をもって、牧野はしっかりハンガーにそれを掛けれて俺から離れた。

おいっ!

ここはだな!

そのままパサッと床に上着を落として、次はシャツのボタンに手をかけての手順だろうッ!

「なんか、慣れた手つきが嫁さんみたいだなぁ」

ドキッとなったのは牧野が甲斐甲斐しく俺の世話をやく姿。

そうだよ、このまま一緒に住めば・・・

ヤダって言うに決まってるかぁ。

分りきってる結果に諦めきれてない自分がチャンチャラ可笑しい。

「だって、以前道明寺専属使用人だったらね」

余裕たっぷりの表情で返された。

それは、こいつが高校生の頃のわずかな期間。

こいつが一緒の家にいるってだけでテンションが上がって浮かれてた俺。

今は、遠慮なく当たり前みたいに俺の部屋に来て、くつろぐこいつがいる。

「お風呂にする?

食事は食べた?」

食べてねェよ。

少しの時間も惜しむように仕事を終らせてきたんだだからな。

「お前は?」

「道明寺を待っていたから・・・」

つーことはお前も俺と一緒ってことだよな?

「一緒に入るか?」

「えっ?」

驚愕の表情を浮かべる瞳はそのまま黙りこむ。

なんて、表情するんだ。

それなりのことやっちゃってんだぞ俺達。

「今日は俺が隅々まで洗ってやるよ」

「それはいい」

「ダメ」

「洗うだけじゃすまないんだから」

後方飛び日本記録出たんじゃないか?

そのくらいに牧野が飛んで後ろに下がった。

「遠慮すんな。

お前が嫌がる事はしないから」

ずんずんと牧野を壁に追いこんでそのまま羽交い絞めで引きずるように浴室へ直行。

「もうっ私の誕生日でしょう」

「だから?」

「だからって、私が喜ぶことしてくれるんでしょう」

焦った表情がたまんなく可愛くていじめがいがある。

「だからやってやるよ。

力いっぱい朝までかわいがってやっから」

鼻歌を歌いそうな気分で俺はそのまま牧野を独り占めした。

眠った牧野の指にそっとはめた指輪。

朝、覚めて指輪に気が付く牧野を想像して温かな感情の流れが俺を包み込む。

驚いて、俺を見つめる牧野。

俺が幸せを感じる笑顔を見せてくれ。

俺の誕生日のお返しにはお前に俺を可愛がってもらうから。

誕生日のプレゼントは朝まで頑張った司君だったというオチで~

こんなspecialdayはいらないだなんてもったいない事言わないでねつくしちゃん♪

拍手コメント返礼

メガネちゃん様

ここで殴られても司君のことだから勢いで押倒しちゃいそうですけどね。(笑)

喜んだのはどっちだ~

うさこ 様

隅々まで洗ってあげる♪

もしかして以心伝心?

だったら嬉しいなぁ♪

いいとこ省略し過ぎですけどね。

子供が冬休みに入る前にかききれなかったのが痛いんです。

あ~

考えてたのは司が喜ぶパラダイスのはずだったのになぁ(笑)

still・・・ 様

つくしちゃん喜んでくれたんでしょうか?(笑)

ゆみん 様

坊ちゃん棒フェニッシュ迎えれられたのでしょうか?

それを知るのは司とつくしちゃんだけという飛ばし過ぎの結末で~

精欲も性欲制御できる装置は必要かつくしちゃんに聞いてみます?

年末になんちゅう話題だ~~~~~~

なる 様

司しか上げられないしつくしちゃんしかもらえないのよ~

欲しい人って挙手求められたら率先して挙手するのになぁ。(笑)

そうそう、つくし?司?どっちのプレゼントよという疑問は最後まで残りますよね。