ウエディングベルは二度鳴らす 9

昨日のシリアスなお話から頭を切り替えて今日は遊びます。

もち♪つかつくで~♪

婚姻届出せるかな?

「ちょっと!」

俺に抵抗する様に聞こえた声。

その声と同時に、引っ張っていた重量が重くなる。

そのくらい、たいした抵抗にはならねぇよ。

「あのなっ」

イラッとした感情をそのままに、うしろを振りかえった。

やけに重いと思ったら、今にもしゃがみ込んで床にしりもちをつきそう恰好のつくし。

「なにやってんだ」

「あのね、道明寺が私を引っ張って険しい顔で歩くから周りから注目されてるの」

注目されてるのは俺よりお前じゃねェのかよ。

何事かと俺たちを見ていた視線は一つや二つじゃない。

見渡す俺の視線と合った社員は、気まずそうに何も見てないと視線を外して慌てたようにエントランスの奥に消えていく。

人の途切れることのない道明寺HDエントランスから一瞬・・・・人が消えてしまった。

受付の女性社員は慌てた仕草で電話の応対の仕草を見せる。

ワザとらしい・・・っ。

「ここで、騒いだらもっと目立つぞ。

それに時間のロスはしたくない。

抵抗するなら抱き上げて連れて行くだけだ」

俺の言葉につくしがガシッとロボットの固い動きで立ち上がって俺を追いこして歩き出した。

耳まで真っ赤にしてる牧野を後ろから眺めながら顔がほころぶ。

きっと、顔全部を真っ赤にしてるよな。

そんなことでくすぐったく感じる胸の奥。

早くこの紙きれを提出して俺たちは夫婦になろう。

つくしの背中を眺めながら歩く俺。

俺をつくしの背中が気にしてる。

つくしが歩けばそれに合わせて俺も歩く。

つくしが止れば俺の足も止る。

数度繰り返した後に並んだ二人の肩。

コツンと振れるあう肩がじゃれ合う様に互いを押し返す。

「これで、三度目だよ」

そうつぶやいたつくしが上に眺めた役所の入るビル。

「二度目じゃねぇの?」

「一度もらった用紙を汚したから、その後、またもらったの」

役所の中はやたら人が多い。

受付の側には数字を表示する機械。

つくしは慣れた手つきでその機械の発行のボタンを押した。

発行された紙にはなにやら数字が読める

「この数字なんだ?」

「受付の順番、この数字が点滅したところに行くの。

さっきはそんなに混んでなかったのにな」

お前と付き合うと待たされることが多くてしょうがねェ。

「順番守れ」と言われる前に待つようにしつけられた気がする。

この俺様に待てと言えるのはそう多くはない。

パブロフの犬かつーの。

「ねぇ、婚姻届見せて?」

つくしの声にとりだした婚姻届。

今さら婚姻届破くとかしねぇよな?

受け取って婚姻届を眺める真剣な横顔。

「一番大事なものを忘れてるなんて私たちらしいよね」

「こんな紙切れ一枚の結びつきじゃねェけどな」

大事なのは俺が一番想ってるのはお前で、お前が想ってるのも俺で・・・

生涯離さない、離れないってこと。

こんな紙切れより効力あるぞ。

「あっ・・・」

何かに気が付いたようにつくしが戸惑いの表情で俺を眺める。

「抜けてる・・・

証人の欄」

「あっ・・・」

俺、あいつらに証人になってもらうつもりで呼んだんだった。

「プッ、ドジだなぁ」

嬉しそうにつくしが吹き出した。

ドジなのはお前もだろう?

気が付かなかったのは俺だけじゃねェよ。

「何時気が付くかと思ったけど、

ここに来るまで気が付かないって呆れるぞ」

声の方向には総二郎とあきらと類が並んで立つ。

「お前ら、気が付いてるなら早く言えばいいだろう」

つくしから用紙を取ったあきらがテーブルの上に用紙を広げる。

「牧野のとこはオレな」

「司の欄は俺だね」

あきらと類が並んでテーブルに向う。

「俺がただの見届け人とわね」

「牧野、贅沢だぞ」

告白でもしてるような低い甘い声。

総二郎!

お前に証人されると浮気しそうで落ち着かねぇ。

あきらは今落ち着いて本命一筋だし。

類には俺は大きな借りがある。

牧野を諦めてもらったっていう借り。

類には俺の証人になってもらうのが一番しっくりいく気がした。

「これで、OKだぞ」

書きあがった婚姻届を眺める牧野の和らぐ笑顔。

恥じらいを見せる様な微笑の初々しさ。

こっちの方が照れくさい。

呼び出しのランプで受付に向う俺たち二人。

差し出した婚姻届を係りのおばさんがジッと見つめてて動きが止まる。

不備があったか?

早くしろよと急かせたい心境。

俺とつくしを交互に眺める視線は一回じゃ止まらない。

なんだ?

このおばさん?

穴が開くほど見つめられるのはそんなに珍しい事じゃない。

「あなた、これで三回目よね?

それも三人とも違う相手と・・・」

三人?

つくしが役所に来たのは類とだろ?

三人って一人は誰だっ!

「誰が本命?

それとも詐欺じゃないわよね」

上目使いで眺める視線は疑いの眼差しをつくしに向けてる。

「あの二人は友達ですから!

それにさっき一緒にいた一人はあそこにいます」

息せき切った話し出したつくしは類を指さす。

役所内は俺たちに気が付いた若い女性の取り巻く輪が徐々に狭まってる。

このまま騒がれたらやばいぞ。

「あら、いい男が増えてるじゃないの」

おばさんの警戒心を煽ってねえか?

「おい、これ以上グダグダいって処理しないんなら都知事呼び出すぞ。

それで動く気が起きないんなら総理でもいいぞ」

「道明寺、バカなこと言わないで!」

食って掛かってきたのはつくし。

権力をを使うのを極端に嫌がるのは相変らず。

「俺たちの結婚を邪魔する奴を許せるか」

つくしに向けて放った言葉の鋭さのまま受付の中に視線を向ける。

奥の席から飛びだしてきた禿げ頭がぺこぺこと何度も目の前で頭を下げるの見えた。

「申し訳ありません、直ぐに処理させます」

「でも課長、この子違う男性3人連れてきてるですよ。

可笑しいじゃないですか」

何もしゃべるなと視線で制する上司の指示は無視しておばさんの口は止まらない。

この上司は俺が誰だか分ってる態度。

総理を呼びつける言葉も嘘じゃないと理解してるはずだ。

それより類じゃないもう一人の男の存在。

人を疑わない無防備さ。

知らないやつの声かけられたホイホイとついて行ってんじゃねぇぞ。

「それでは頂きます」

婚姻届けを受け取ってもらえたつくしがホッと息を漏らす。

俺は納得してねェぞ。

「もう一人の、男って誰だ」

つくしの襟元を掴む勢いでイラついたままの声を発してた。

拍手コメント返礼

絵梨 様

つくしちゃんのピンチには何故か男性が絡んでくるんですよね。

それは司の独占欲が強いからなんでしょうけどね。

たまには嫉妬せずに様子を見る司を・・・

それじゃ司じゃないかあ(笑)

お節介なおばさんが登場するのもなぜだろう・・・

ゆみん 様

公平だよと明るく言っちゃいましょう。

司の機嫌今以上に悪くなるでしょうね。

それより詐欺師に間違わられてますよ~弁護士さん♪

なる様

キュン度てんこ盛りと言われちゃうとますます頑張りたくなりますね。

司クンが頑張ってくれないと意味はないんですけどね。

もう一人に男の存在に気が付かない方が平和だったのにね。(笑)

うさこ様

加川さんと姉妹だと思っちゃいますよね。

そうだとここからもカン違いのお節介が見たいような気もします。

課長の言うことなど無視して正義感を振りかざすの~

F3はしばらく傍観決め込んで楽しみそうですしね。

akko

12話の「ないしょ~」で登場したオリキャラ加川さん

根強い人気者で思い出していただいた方多いようです。

本当に被るキャラですよね。

この際もっとお節介いてほしいような気もします。(笑)

かえまま 様

司も第三の男の事なんて気にしなきゃね。

つくしちゃんとお祝いできちゃうのにね。

ダメだなぁ。(^^)

あらP 様

F4勢ぞろいで役所人だかりが出来てたりして?

なに?

有名人が来てる?

それも婚姻届提出中!

誰よ!---っ

カメラまで来てたりしてね。

今ここに存在しない公平君。

再登場となりますかどうか、お楽しみに。