ラストシーンは夢の中 9
さぁ~てとこの話この話。
この話は・・・なんだっけ?
船上のお話が二つ同時進行で書いてるからごちゃごちゃしてってます。
遊びに来てくれてる方もこんがらがってますよね。
早くつくしちゃんを船から降ろそう・・・(^_^;)
早くつきすぎた。
牧野の乗ったフェリーが寄港する港に先回りしたのはいいが、船がつく時間まであと3時間。
港を見下ろす高級リゾートに建つ五つ星ホテル。
一つ一つ独立して造られたコテージ風の造り。
風に運ばれて薫る塩の香。
その風がプールの水面を緩やかに揺らす。
「おい、司まだ時間があるぞ、少しは楽しめば」
呑気にプールサイドのテーブルに座り込んでる総二郎とあきら。
おめぇらほど暇じゃねェンだよ。
ここまで俺は数日待ってんだぞ!
あと3時間が待てないもどかしさ。
ヘリで船の上に降り立ったら30分程度でアイツに会える。
その方が早いし確実。
「出かける」
「出かけるって何処に?」
それを聞くのか?の視線であきらを見た。
「おい待てって」
あいつらがすぐさま俺を追い掛けてきた。
俺が歩くのをやめたのはこいつらが止めたせいじゃない。
俺の目の前を通り過ぎる一人の女。
黒髪をシニヨンに纏め、フリルの付いた愛らしい膝下丈の淡いイエローのワンピース。
チラリと俺に向けた視線はそのまま何も気が付かない雰囲気で真直ぐに前を見て歩く。
「え?牧野?」
俺より先に怪訝な声を上げたのは総二郎。
「あんな少女趣味の恰好を牧野がするか?」
ピラピラな乙女チックな服装は自分の母親と双子の妹たちで十分と言いたげにあきらの声。
恰好は確かにらしくねぇが顔立ちは牧野に似てる。
それに、牧野なら俺たちに気が付かない訳がない。
俺を見つけたら一瞬驚いて、そしてニッコリと笑みを浮かべて輝いた瞳を俺に向けるはずだ。
そして、あいつから俺に抱きついてくればいうことなし。
それは俺の妄想!切望!
今回は絶対あいつから俺に飛びつかせてやる。
って・・・どうする?
妄想は出来ても想像が追いつかない。
「そうだよな、牧野はフェリーに乗ってるんだしな。ここにいるわけないか」
当たり前の結論にすぐにたどり着いた。
「でも、似てるな?」
「デザインより機能性重視の牧野のいつものスタイルをさせたら間違うんじゃねぇの?」
総二郎とあきらはまだ気になってるように小さくなる女の姿をまだ見送ってる。
「俺が牧野を間違うと思うか?」
あいつの事ならあいつ以上に俺の方が知ってるよ。
キラキラと輝く大きな瞳。
生命にあふれた意志の強さを秘めた瞳が俺だけを映し出す。
その瞬間がたまらなく愛しくて、魅了されて離せなくなる。
「道明寺・・・」
耳元で俺を呼ぶ切なげな甘い声。
たまんねぇぞ。
会いてぇッ。
「念のため、調べとくか」
考えるそぶりをあきらが見せたのはほんの数十秒。
携帯をとりだして英語で早口に指示を出して直ぐに会話を切った。
俺たちはたんに牧野を迎えに来ただけだろう?
そこまで神経質になる必要あるのか?
今はたいした問題も起きてなくて会社も平和な運営。
何かの事件に巻き込まれてる形跡もないはずだ。
何か違和感がるとすれば類がここにいないってことくらい・・・だ・・・。
え?
何となく胸にクスぶる違和感。
あの類だぞ?
何事においても俺と牧野を優先してきた類。
あいつが俺たちと一緒に行動しないっていう違和感。
俺たちの中でただ一人まだそこまで真面目に仕事をやってない類。
仕事を理由にしてあいつがここにいなってことあり得るか?
ありえねぇだろう。
類がいなくなったのは牧野が船に乗ってると分かった瞬間からで・・・
そこからあいつとは連絡がとれるずにいる。
この寄港先には来るって言ってたよな?
「おい、類は今どこにいる?」
自然と凄みのある低音が総二郎とあきらを責め立てる様に飛びだした。
「類もそろそろ着くんじゃねェの」
僅かに言葉に詰まるあきらの挙動。
「お前ら、俺に隠し事してんじゃねェだろうな?」
確認というには甘すぎる脅しの効いた声を発した。
あきらと見合わせた総二郎の目に観念したような色が映る。
「ここまでだな」
「意外にばれなかったんじゃねぇの」
ばれてホッとしたって表情をすんじゃねェよ。
まさか!
類の奴!
俺より先回りしてんのか?
「牧野と一緒か?」
こいつ等が返事するまでもなく一緒だろうッ!
どんな理由があろうとぶっ飛ばす!
震えを押させる様に両腕で手の平を握りしめていた。
拍手コメント返礼
なる 様
あの子は誰?
次回直ぐに正体明かす予定にしています。
引っ張ると終わらないので・・・(^_^;)
仕事中こそっと誰も見てないか私が見張りましょう!
無理だってね。
気分はSP
しにょ様
戻っての確認ありがとうございます。
そうそう、ばれない様にバイトしちゃった始まりのお話♪
Rなお話は番外編と・・・( ..)φメモメモ
ゆきこ 様
今回野生の感が働かなかったのは司が気が付くと私が困るからです。
チャンチャンってオチ~
笑ってごまかす。