ウエディングベルは二度鳴らす 11

婚姻届を出すだけなのに・・・

ドタバタしちゃってます。

普通ここでもめないよな・・・(^_^;)

「道明寺!ダメ」

背中から回された腕は離れないと言う様にへその真中で両方の指をガシッと組み合せてる。

俺の背中に張り付いた顔は低い鼻がますます低くなってんじゃねェのか?

折角の俺たちの記念日。

不機嫌さを爆発させて台無しにするつもりはない。

このおばさんの上司はさっきからハラハラな表情で俺を見つめておばさんには荒立てるなのサインを送ってる。

ちっともそっちには気が付かない。

空気が読めてないのはこのおばさんただ一人。

ここでまたスムーズにいかないのも俺たちらしいってことか?

「あきら!」

「なんだ?」

そう嫌そうな表情見せんな。

トラブルを一番うまく収められるのはお前だろうがぁ。

年上キラーのお前にうってつけだろう。

あのおばさんはお前に任せる

「お前が何とかしろ。お前年上好きだろう」

「あのな、年上ならだれでもいいってわけじゃないぞ」

否定的な表情を見せながらもあきらは俺の手から婚姻届を受け取って受付へと向かう。

おばさんと対峙するつもりはねぇみたいに無視しやがった。

受付の3番目に座るのは30代の女性。

一言二言話しただけで目の前の女は頬を染めて照れくさそうに俺たちの婚姻届を受け取った。

あいつ、本気で口説いてんじゃねェよな?

何かまだいちゃもん付けたそうなおばさんはしっかり上司につかまえられて何か言われて押し黙った。

「逆らうな」

上司から聞こえた声は俺が拳銃を持って押し入ったような凶悪犯のイメージに聞こえる。

婚姻届だすのに脅してもねぇし、逆らうなもねェだろう。

「道明寺・・・」

緊張感から解放されたように俺の身体を絞めていたつくしの腕の力が緩む。

「あのな、これくらい冷静に対処、出来んだよ」

これでも道明寺HDのTOPだぞ。

「対処してくれたの美作さんじゃないの?」

ヒョコッと俺の横から飛び出してきた顔。

朗らかな笑みは無邪気な瞳を俺に向ける。

「これで受理してもらえたのかな?」

「大丈夫だろう」

つくしを逃がさない様に首にまきつける腕。

もう片方の腕は牧野の髪をクシャクシャに乱す。

「もとをただせば、お前が原因だろうが」

「え?」

意味が分からないとでも言いたげな上目使いの視線。

「俺以外の奴と婚姻届を出そうとするからややこしくなったんじゃねぇのかよ」

「私だって本当は道明寺と2人で役所に来たかったわよ」

俺の腕から抜け出たつくしが眉を眉間に寄せて不服そうな表情で俺を睨んだ。

「生涯・・・ただ一度の大事な届だもの」

数秒の間の後に拗ねた様な声。

「なんだ、我儘を言えばいいのに」

お前の頼みなら俺はいつでも会社を直ぐに抜け出すぞ」

後は西田がどうにかするだろう。

その後数倍の仕事を入れられるだろうがな。

「あのね。それで迷惑かけらる人がどれだけいると思ってるの」

説教じみたつくしの声は照れくさい色をのせて響く。

まわりの視線を気にするように落ち着かない視線。

もう・・・

耳まで真っ赤。

白い肌を薄く染める朱色。

漂う色香は純で初心で胸の奥でくすぐったさを刺激して愛しさを生む。

なんかすげー自慢したい。

俺の嫁さんだと。

「もう、こんなとこでイチャコラするな」

からかう様な総二郎の声につくしだけを見つめていた事に気が付いた。

「してねーよ」

しようとする一歩手前の段階だろうが。

「今の二人のやりとり見てたら牧野も詐欺師には間違えられなかっただろうね」

俺と牧野、二人の空気感を遠巻きにポワッ見つめていたような雰囲気が類の言葉で現実に引き戻せたように日常のザワツキに戻っていく。

その流れが微妙に照れくさい。

「最初に、言ってくれればいいのに」

にこやかな表情でつくしは受付のおばさんにポンと肩を叩かれた。

「悪く思わないでね。これも仕事だから」

違うだろう。

書類の不備がなければ受理だろ!受理!

「なぁ、迷惑なやつ排除する法律ってねぇの?」

「法律じゃなくても道明寺場合は力で排除してきたんじゃないの?」

今はしてねぇよ。

それはお前が一番嫌がるだろう。

「これで、安心して俺らも帰れるな」

にこやかな笑みをたたえる総二郎は周りに愛想をふりまくのを忘れない。

ここで弟子の勧誘してんじゃねぇよ。

確実に明日には茶道の門を叩く若い女性がいるはずだ。

いったん会社に帰る道すがら、つくしの携帯への着信音。

チラリと俺を気にするように向けてつくしは携帯に出た。

「ごめん、連絡できなくて・・・」

俺に聞かせたくない相手?

ウンとか、ハイとか相槌で答える声。

声の中に微妙な緊張感がある。

松岡・・公平・・・?

頭に浮かんだ相手に落ち着いていたはずの感情が燃え上がってきた。

拍手コメント返礼

うさこ 様

結婚式より婚姻届も忘れられない思い出になっちゃいますよね。

ラブラブになる前にもう一悶着♪

ゆきこ 様

簡単に女性を落とすあきらくん♪

このことはどうぞ葵ちゃんには御内密に~♪

そうそう、どこかあのお方が俄然張り切る様な公平君を書きたいものです。

なる様

意外と司の正体をしっても動揺しないかもですよ。

私が二人の婚姻届の手続きしたんだよと自慢してそうな毛の生えた心臓のおばさんの様な気がします。

おっしゃる通り武勇伝に繰り上がってますよ♪