ウエディングベルは二度鳴らす 12

今回公平君が嵐となる?

集中できないままのあやふやな対応。

「大丈夫か?」

そう公平に言われて落ち着きがないって自分に気が付いた。

結婚式を挙げたばかりの新郎新婦は私の大学時代の知り合いで私にも出席してほしかったと・・・・

でも司法修習に加えて道明寺と結婚して忙しいだろうとなかなか都合がつかいんじゃないかと・・・

道明寺が大々的に全国生中継での愛の告白には感動したとか・・・

今一番幸せなはずに私に祝福してほしかったとか・・・

公平から私に告げられた伝言。

結婚して直ぐに司法修習で別居を余儀なくされた私たち。

私の司法修習クループは西田さんがしっかりと情報を集めて問題のない相手が選ばれた。

出来れば女子だけのグループで固められれば良かったんですがと真面目に告げた西田さん。

さすがにそこまでは道明寺も口出さないでしょうと思ったら、公平には嫉妬心まるだしの攻撃性を見せた。

そこからの流れの全国生中継の告白。

あれで私と道明寺の内緒のはずの関係はばれちゃったんだから。

未だに思い出すと身体中から汗を吹き出すような恥ずかしさがよみがえる。

「最近結婚されたばかりですよね」 の司会者の誘導尋問。

簡単に乗っかった道明寺ははにかんだ表情で「はい、まだ1カ月なりません」って穏やかに笑った。

昼時の食堂がざわついて「キャーッ」上がる黄色い声。

何時もならそんなにいない筈の女性の数が急激に増えていた司法修習所。

職員総動員で視聴している実態に驚愕。

次はなにを言いだすのか?

私の事には触れないでと願っていたら・・・

「奥様は確かお名前つくしさんでしたよね?」

司会者の言葉に完全に固まった私。

「ええ、そうです」

こぼれる様な笑顔でにっこりと道明寺がほほ笑む。

なんで認める!

隠しようがないことだから仕方ないけど質問させるな!

あの時は本当に画面の中にかち入りたい衝動に駆られた。

「新婚生活はどうですか?」

聴かれた道明寺は素直に

「週末にしか会えないので寂しんですよ」

その理由を弁護士になるためとか、司法修習生司法研修所なんて聞きなれた単語を道明寺が連発してくれた。

あれで私のことが全部ばれたんだから!

道明寺と結婚したこと内緒だったはずなのにッ!

それなのに極めつけは婚姻届を出してなくて、私と道明寺はさっきまで他人だってってこと。

こんなことある?

あの時の私の気持はどうすればいいのか。

ばれそうなところを公平がフォローしてくれたたのになぁ。

まあそれも道明寺が気にくわなかったってことなんだろうけど。

誰だ!

道明寺の目がマジで私を脅してる。

道明寺を気にする私の耳元で「ちょっとの時間でもいいから顔をだせないか」の公平の誘いの声。

「後で連絡する」

そう言ってきった携帯をポケットに押し込んだ。

今さら隠してもどうなるものでもないのに道明寺の目に触れない様に携帯を隠したい衝動に動かされてる。

折角の祝い事、祝福したいのはやまやまだけど、電話の相手が公平ってとこがネックだって思う。

道明寺に公平の声を効かれたわけでもないのに私の態度は道明寺に知られたくない相手だってバレバレ。

花沢類とは別の男性と一緒に役所にいることがばれちゃってるから感のいい道明寺を誤魔化せる保証はないもの。

ここは正直が一番!

嘘をついてバレルより本当の事を話す方が傷は浅くて済むと思う。

「公平からだった」

明るくにこやかになんでもないように頑張って声を作る。

「あいつがお前に何の用がある?」

用があるって時点で不愉快だって声。

「近くで、友達の結婚式をやってるみたいでね。夕方からパーティーするみたいで、来ないかって・・・」

だんだん声が尻すぼみに小さくなる。

言葉を選びながら呟いて、声を吐き出すたびに道明寺の顔色をうかがってる。

「行くつもりか?」

「道明寺はまだ仕事でしょ?」

恐る恐る道明寺の顔を覗き込む私。

見おろす道明寺の表情は完全に不機嫌。

「俺がいなきゃ、大人しく家にも帰らねぇのか?」

頭ごなしにおさえつける道明寺の態度。

ちょっとばかり悪いなって思っていたのにムカついてきた。

「道明寺の言うとおりに家で大人しくしてろっていうの!」

「お前が俺のそばにいるの何日ぶりだか分って言ってるのか?

このまま仕事が終わるまで俺の側に縛り付けててもいいんだぞ」

横暴な声は野獣の凄みを見せて口もとに冷笑を浮かべる。

一方的に押しつけられるのは好きじゃない。

むかついてきた。

怒りの勢いのままにポケットから取り出した携帯をリダイヤル。

「行くから」と、公平が携帯にでた瞬間に速攻で告げて電話を切った。