ラストシーンは夢の中 15(完)

当て馬・・・

当て馬・・・

なんか司が言い間違えそうな言葉にならないかと思いながら思いつかず。

意味を知らないことにしちゃえと書いてしまった前回。

さぁ!この流れをどう使おう・・・

全く考えておりません。

でも・・・

外野は盛り上がってるのよね。

どうしましょ(^_^.)

そう思いながら完結です。

考え込んだままの表情はまっすぐに海を見つめる。

その視線の先には牧野の乗った豪華客船が今も停泊中。

あの船が入港するのをどれだけ俺が待ったかなんて考えもしててねだろう。

双眼鏡で見つめながら肉眼で確認できるまで俺はこのホテルのバルコニーから離れられずに待ち焦がれた。

俺にこんな思いをさせるただ一人のやつ。

自覚してねぇだろう。

風になびく艶やかな黒髪。

乱れる髪を牧野の指先が邪魔だと言うように耳に掛ける。

牧野の横顔を見つめなら手を伸ばせば抱き寄せられる距離に小さな幸せとうれしさを感じてる。

「なぁ、突然いなくなるよな」

「萩原さんには何もしないでよね」

同時につぶやいた声は重なってまじまじ俺を俺を見つめる。

こいつ・・・

俺がお前のことばかり考えてたのにお前は他人の心配かっ。

あんな奴らのことなんてこれっぽっちもおぼえてねぇぞ。

「少しは、俺のこと考えろよ」

目の前の両頬を指先で左右同時につねり上げる。

「いたっあ」

「てめぇは俺がどれだけ心配したかわかってるのか」

わずかにつねった赤い痕が残る頬。

それはすぐに元の肌の色にともどる。

両方の手のひらでそのままは包み込んでまっすぐにあいつの瞳を覗き込む。

じっと俺を見つめる瞳は愁いを帯びて甘く俺を誘う。

「ごめん・・・」

唇の動きが手のひらに伝う。

そのまま牧野を引き上げて落とすキス。

牧野の息が唇から唇へと流れ込む。

やわらかい唇の感触にふれあわせるだけの軽いキスのつもりが、こらえきれなくなって貪るキスには激しさを増していく。

このくらいじゃ、ぜんぜん足らねぇ。

無防備にキスを受け入れる牧野。

「んっ・・・」

鼻から抜ける甘い声。

絡みつく舌先が官能を呼び起こす。

お前じゃなきゃこうはならない。

「だめっ」

下肢に這わせた指先を拒むように牧野の指先が重なった。

「ダメじゃねぇよ」

「見られる・・・よ」

ホテル最上階のベランダ俺たちを見咎めるってのは鳥くらいのものだ。

「誰が見るっていうんだ」

首筋に這わせる唇。

唇の刺激に反応するように牧野は頭を後ろに仰け反らせる。

「だれって・・・

雲・・・そう、雲っ」

俺を引き離すようにそう言った牧野が両腕で俺の胸を押しやる。

雲?

確かに青い空に浮かぶ雲。

飛行機雲がまっすぐに青空に線を引いてる。

雲からも飛行機からもめ見えるわけがない。

言い訳じみた拒絶もかわいくてしょうがねぇ。

「牧野ッ」

わずかに離れた距離はすぐさまさっき以上に俺たちを引き寄せる。

「ダメだって、離してって言ってるの」

「ダメだ、俺を待たせた罰」

「誰も待ってって言ってないわよ」

「俺に黙ってバイトして、連絡が取れなくしたのはどこのどいつだ。

それも俺と一緒にいるとか言って親に嘘ついたんだよな」

わざと冷たさをにじませた声で牧野に迫る。

「それは・・・だから・・・ごめん」

言い返せずに気まずそうにつぐむ唇。

「一つだけ、方法がある」

「え?離してくれるの?」

息を吹き返してきらきらと光る瞳が俺を見つめる。

こんなところはどうしようもなく素直。

お前、これでいつも騙されるんだろうがぁ!

単純。

やっぱひとりにはできねぇよ。

「俺のベッドに行くって言えばいい」

耳元でささやく声。

「ここに、このままいるのとどっちがいい?」

有無を言わせない断定的答え。

俺はどっちでもいいけど。

優位な気分のまま牧野の腰に腕を回した。

「・・・ベッド」

「はぁ?聞こえねぇ」

耳に手を当てて牧野の口元に近づける。

「だからベッド」

絞り出すように牧野が叫ぶ。

「ベッドがどうした?」

意地悪だと睨まれてもここはお前自身から引き出したい誘いの言葉。

「ベッドに・・・連れてって・・・」

ギュッとしがみつくように牧野の指先が俺のシャツをつかむ。

表情を見せないように俯く顔。

見えなくてもすげー真っ赤に熟れてるんだとわかる。

今更照れるような関係じゃねぇだろう。

この初心さがたまんねぇんだろ。

いじめたくなるのは俺のせいじゃねぇからな。

抱き上げた牧野がギュッと俺の首に手を回してがみいた。

「意地悪」

耳元に聞こえたその声までも赤く色づいて俺の肌に甘く触れた。

                                          (完)

拍手コメント返礼

メガネちゃん様

今回の坊ちゃん冷静です。

え?

司君が安心できないのは私だから?

つくしじゃなくて?

私の背後でね背中を押してくれるドSな方々がいらっしゃるから~♪

さぁ次にいきましょう。

その前にこのお話のこの後邪魔者が登場したりして?(^_^.)

ゆみん 様

今回はつくしちゃん素直♪

迎えに来てうれしかったなんて付け加えられたら~

司君歯止めきかないぞ~

それを止めるのは誰だろう的なことは考えないようにします。

なる 様

この甘々感。

幸せな二人ならずっと見ていられるって感じですよね。

うさこ様

ぎくっ!

夢を見てない・・・

あはは、確かに♪

夢を見る間もなく夜が明ける♪とか?

夢見せなきゃダメですよね。(笑)

ゆきこ様

続きはお☆様?

いえいえ、邪魔者が入るってパターンもありますよ。(笑)

「道明寺・・・携帯鳴ってる」

「でなくていい。無視しろッ」

「でも鳴り止まないけど」

つくしの身体から自分の身体を浮かして司が音の鳴る方向をにらむ。

いい時に邪魔するな。

そんな舌打ちがベッドの上で響く。

携帯に表示された文字は西田。

見た瞬間に司は携帯を床に投げつけた。

「あの野郎ッ・・・」

ムカついたままの声が低く口元から漏れる。

でなくても内容は呼び出しだとわかる。

ふふふ♪

 こんな落ちも用意できますよ♪