whitedayの夢のあと 5

whiteday企画のお話も5話まできました。

そろそろ・・・

そろそろ・・・

そろそろ・・・

あれですよね?

あれって?あれのこと?

たぶん、あともう少しのはず・・・

それとも恒例の生ころがしに突入か!

「温泉まで行ってそれはねぇだろう」

by 司&いちゃこら応援隊様御一行

 *

「まっすぐ帰れよ」

小学生じゃないって。

そう文句を言いそうになった私を見つめる長い睫に縁どられたアーモンドアイがきらきらと輝く。

「送れなくて悪いな」

そう言って微笑む笑顔は優しすぎて甘すぎる。

こんな風に笑顔を見せられたら見下すように尊大な態度をとられても帳消しになってしまう。

熱くなりかけた頬は隠しようもなくて・・・

じゃねという一言が言えずに俯いてしまった。

「代表がさあ、そこの定食屋さんにいたんだって」

「それも女性といっしょ、あの雰囲気はきっと彼女だね」

「いつものきらびやかなイメージがホンワカしててね、かわいいの」

道明寺の姿は柱の陰になって今はまだ見えない。

きっとあと数秒のちにはおしゃべりしてる彼女たちも道明寺の存在に気が付くはずだ。

かわいいって俺のことか?

私に問いかける瞳が私を見下ろす。

お前といるとろくなことにはならねぇ

そう言われてるように道明寺の右の眉がピクリと上に吊り上った。

私が悪いんじゃないから!

先に人のおかずに箸を伸ばしてきた道明寺だもん。

「もう帰れ」

聞えた横柄な声。

そのまま背を向けた道明寺はまっすぐに歩き出す。

「あとで連絡する」

振り返って聞こえた声はエントランスの中で大きくこだました。

「代表・・・っ」

私たちの噂をしていた女性たちは立ち止まって困惑した表情を浮かべてる。

同じ時間にあの定食屋さんにいたのなら同じ時に会社に帰ってきてもおかしくない。

本人に聞かれてたなんてこれ以上に気まずいものはなって思う。

道明寺もばれないようにさっさと執務室に戻る配慮を見せるべきなのよ。

って…配慮って言葉には一番縁遠いのが道明寺か・・・。

まっすぐ私を見つめたままの瞳。

口元はこれ以上にない極上の機嫌のよさで微笑みを浮かべてる。

こんな笑顔を見せられた日には女性なら誰でも魅せられる超一級品の微笑み。

軽く右手を上げた道明寺。

「きゃーっ」

落ち込んでた彼女らにもきらびやかな色が復活してた。

これ以上目立つな!

道明寺が目立つと私まで目立つ。

そんなに高くない身長を背中を丸めこんで顔を上げずにその場から早足で歩く。

そのまま小走りで道明寺HD本社ビルから逃げ出した。

目立たず隠遁生活の三日間なんて道明寺には無理だろうな。

本人が目立つつもりはなくてもあのオーラーを隠すのは無理だもの。

ホワイトデーの三日間もこのままじゃ思いやられる。

でも・・・

道明寺と一緒に旅行は久しぶり。

楽しくないっていったらうそになる。

いっぱいわがまま言って甘えようかな。

ホワイトデーだもの。

いいよね。

楽しみ。

「そろそろ機嫌直せよ」

3月13日 ホワイトデー前日。

迎えに来た道明寺と一緒に車の後部座席に二人で座ってる。

あのねっ!

連絡するって言ったのは道明寺。

私じゃない!

会社で別れてからどれだけ私が道明寺からの連絡を待ってると思ってるの!

電話がダメならメールくらいよこせ。

忙しいは理由にならないから!

「迎えに来たんだからいいだろう」

今日まで連絡もなく突然やってきて「行くぞ」ってなに?

休みが取れなくなったとか、もしかして病気とか考えてたんだから。

「いきなり来て、行くぞはないって思う」

「休みを取ったことは言ったぞ」

「連絡するって言ってたのは嘘なんだ」

「ちいせーことグダグダいうな」

「あのね。私が準備できてなかったらどうするつもりだったの!」

喧嘩腰な気分は全くおさまらない。

ごめん。

一言謝ってくれればそれだけで私の気持ちは収まるはずなのにこの男は絶対自分の非は認めないんだから。

「準備してたじゃねぇか」

勝ち誇ったようににんまりした表情は私の横に置いてる旅行鞄をちらりと眺めてる。

「それはそうだけど・・・だけど!」

「黙れ」

道明寺が人差し指を一本立てて私の唇に触れる。

「喧嘩して過ごすつもりか?」

私の頬に触れた道明寺の手のひらはひんやりと冷たい。

それは外にしばらくいたような冷たさ。

3月にしては気温の低い冬に戻ったような冷え込みの朝。

「車の中にいたんじゃないの?」

「お前の家まで歩いてきた」

朝まで仕事で車を呼ぶ間も待てなかったと道明寺が話してくれた。

私の家に向かうように指示していた車と同時に道明寺も家の前に到着したらしい。

急に子供っぽい行動をとる道明寺はどうなんだろう。

世界有数の大会社のTOPとしてはあり得ない計画のなさだぞ。

早く会いたいからって歩くより車のほうが早く着くに決まってる。

「お前が絡むと落ち着けなくなるんだよ」

呆れた表情の私にふてくされた声。

ぷっと吹きだした私の声にそっぽを向いた道明寺。

照れくさそうな表情が車窓に映し出されてる。

「笑うな」

ケラケラと笑う私の首に巻きつけてきた道明寺の腕。

重ねた頬はほんのりと暖かな熱を持つ。

いつの間にか私の機嫌も直っていた。

それから数時間後、私たちは目的地の温泉宿に着いた。

 

拍手コメント返礼

メガネちゃん 様

二人の喧嘩はいちゃこらの調味料♪

この後温泉ではどうなることや~

この二人素直になれば大丈夫なんです!

でも物語を作る私が天邪鬼で~

でも今回は応援トーク愚連隊もいちゃこら希望してますからね。

☆まで行くべきか行かざるべきか・・・悩むぅ~

なる 様

定食屋で司とおかずを奪いっこしてる女性を覚えていた損はないですよね。

将来どれだけの存在になることか!

旅行には行けたけどこの先は?

何が待ってるかなぁ~