whitedayの夢のあと 4

つくしちゃんの心配は贅沢ってものですよね。

ほかの人が聞いたら自慢にしか聞こえない嫉妬されても仕方のない内容だぞ。

甘々のホワイトデーまであと少しです。

 *

「大丈夫か?」

壁を背中が伝って崩れ落ちそうになる牧野をグイッと腕で引き上げる。

「痕・・・ついてないよね」

潤んだ瞳で見つめながら俺が吸い付いた首筋を牧野の手のひらが隠す。

触っても柔肌に赤く色を付いたかどうかなんてわかるわけはない。

つけてねぇよ。

教ええる気はさらされなくて意味深に微笑んだ俺。

少しは悩めッ。

「これ以上キスしたら帰るから」

少し吊り上った眉は感情をそのまま素直に俺に見せる牧野らしい反応。

これ以上やると本気でホワイトデーも会わないと言いそうなやつ。

にがさねぇけどな。

拉致っても一緒に3日間は俺と一緒に過ごさせてやるよ。

ドアのノックの音。

その音に素早い反射で牧野は俺との間を取るように距離を取った。

俺の歩幅の一歩分の距離。

たいして離れてねぇぞ。

「失礼します。

今日の会食はキャンセルになりました」

そう言った西田は俺に書類を渡してちらりと牧野に視線を移す。

ほどほどに。

そんな言葉が西田から聞こえてきそう。

牧野を俺が久々に呼んだから気を利かせてスケジュールを調整してくれたのだとわかってんだよ。

渡されて書類には帰宅時間が予定より二時間は延長されてる。

俺に否と言わせるつもりはないって西田の態度。

どこまでも用意周到な秘書。

たまにウザったくなる。

「食事にいくか?」

返事より先に牧野のお腹からグッと音が聞こえた。

「腹で返事するんだな?」

「笑わないでよ。ここ最近悩んでいてあんまり食欲なかったんだから」

「お前らしいってほめてんだよ」

「お腹が鳴ってほめられてもうれしくない」

「いくのかいかないのかどっちだ?」

俺に食事を誘われるのを待ってる女どれだけいると思ってんだ。

「いくわよ」

拗ねた表情はそう言って唇を尖らせる。

休みまではこいつと過ごす時間はそんなにありそうもない俺。

つかの間の時間を過ごせる気分は悪くない。

「食事に行ってくる」

西田に告げて牧野の腕をとったまま執務室を出る。

無表情の西田が満足そうに微笑んで見送られてる気がした。

食事を終えて帰って来た俺に西田はどのくらいの仕事のノルマを示すつもりなのだろうか。

死なない程度ってやつだったりして・・・。

「あのさ、今日、道明寺に会う前女性社員が噂してたよ。

エレベーターで道明寺にありがとうってお礼を言われたって」

そんなこといったか?

今朝の俺はすこぶる機嫌がよくて何言ったかも覚えてねぇよ。

社員の顔もいちいち覚えてねぇし。

そのくらいでうれしそうに頬ほころばせるお前のほうが稀じゃねぇのか?

最上階から一階降りたエレベーター。

開いたドアの先のエントランスには昼休みの社員の姿が多く見える。

その視線が集まる中で俺の後ろを牧野が歩く。

牧野の手首は俺につかまれてまま。

強引に腕を抜き取った牧野は自分に集まる視線に焦る表情を見せる。

「逃げんな」

牧野の腕をつかんで腰に回す腕。

おまえが俺の婚約者だって知ってるやつは知ってんだよ。

逃げる様に早足で歩きだした。

それはそれでこいつらしい。

もっと俺はお前を自慢したいんだけどな。

「何が食べたい」

「なんでもいい」

ビルの外に出た途端に俺から離れて数歩前を歩く牧野。

俺の問いかけにも気もそぞろってやつだ。

暖簾のかかる横開きの扉の飲食店。

小汚い感じの店に他人の目から逃れるようなそんな仕草をみせて、てっとり早く隠れる様に牧野が先に入っていった。

会社から近すぎ。

俺を知ってるって感じに先客が驚いて俺たちを見てる。

席についても注がれる視線は全く減らない。

「笑わないでよ」

「会社の近くの店に入ったら社員が多いってのもわかりそうだろう」

隠れるつもりが全然隠れたことになってねぇし。

俺にませれば人目に付かない個室の部屋で食事もできたはずだ。

「えっ嘘っ!」

「代表!!!」

感嘆符付で聞こえた声。

そのまま見つめる視線。

何気ない日常や仕事の愚痴の会話から俺の話題に変換されてるのがわかる。

「どうする?」

「どうもしない、さっさと注文して食べる」

テーブルに置かれたB4サイズのメニュー表には定食980円が写真付きで載ってる。

安すっ。

焼き魚にコロッケにから揚げに生姜焼き。

牧野と知り合って初めて知った料理の名前。

結構うまい。

俺の口も随分と庶民になってきた。

頼んだメニューはすぐに俺たちの前に運ばれてきた。

から揚げの俺に生姜焼きの牧野。

当たり前のように互に箸を伸ばしておかずを突き合う。

作法なんてあったもんじゃない食事を覚えたのもこいつから。

食事を楽しむってことを教えられた。

「あっ!とりすぎ」

「それじゃこれやる」

「漬物はいらないから」

肉を一つ取っただけでこんなに騒いで膨れるやつが面白くて愛しくてしょうがねぇ。

ホワイトデーまで待たなくてもこいつと一緒ならなんでもどこでも楽しめる気がしてきた。

拍手コメント返礼

アイ様

ご連絡ありがとうございます。

無事にPW届いたようで限定公開の記事も楽しんでいただけたらと思います。

応援メッセージもうれしく読ませていただきました。

本当にいろいろあるんですよね。

皆様の励ましと応援があればこそ私も楽しく二次で遊ぶことができます。

今後もよろしくお願いします。

ひまあつ 様

代表のいちゃこらランチデート。

目撃した社員もtがのしかったことでしょう。

すぐにSNSで拡散されてそうですけどね。

このあとこの店が行列のできる人気店になったりして~

ゆみん様

坊やの出る幕♪

今はないなぁ~

ほのぼのしちゃってますからね。

激熱までは体力を温存しておきましょう。

>つくし仕込みの日常練習と、司仕込みの滴り落ちる甘露テクの鍛練、

>このふたりの未知との遭遇プレイ…新しい!!西田さんの操縦テクがまた素晴らしい、

>Xファイルのパロディ版、西田ファイルを映画化しなくちゃ(≧▽≦)うひ

主役は西田?

なる 様

この空気感がなる様の大好物♪φ(..)メモメモ

次回もルンルンしていただけるといいな♪

ゆきこ 様

エロ野獣からのほのぼのバカップル♪

もう♪司をエロ野獣だなんて表現するのはどこかのコマッタチャン達だけです。

あっ・・・

ほかにもエロ野獣降臨だと思ってるかたは挙手をお願いします~(冗談ですから~~~~~~)

つくしちゃんと別れてからは司の相手は西田さんオンリーになるんだろうなぁ・・・(^_^.)