迷うひつじを惑わすオオカミ 36

本当にこれで見納め塚原劇場。かな?

無くすには惜しいキャラに成長してしまったなぁ。

今回の木崎君はゆずもち様のコメントから毒舌キャラ仕立てでお送りします。

別館更新しました。

「塚原立てるなら自分で立ってくれ」

「えっ」

どうしてそんな冷めた目で私を見れるの?

もしかして、周りを気にしてる?

それなら大丈夫よ。

防犯カメラがどうとか、こうとかで騒がしくなっちゃって私のこと忘れちゃってるもの。

ホント失礼しちゃう。

そう思わない木崎君。

「全体重を掛けられるともたない」

私を支えてた腕が私を押しのけるように動く。

キャッー

いきなり突放されてバランス崩しちゃった。

「重い」

よろける私から身体を逸らすように木崎クンが立ち上がった。

「立てよ」

ソッポを向いた横顔は少し赤くなってる。

伸びきった右腕に手を伸ばして掴んだ袖口。

手の平が私の腕を掴んで引き上げてくれた。

クールな態度、ワザとだぁ~

舌打する細かい芸。

わたしには御見通しよ。

木崎君なかなか可愛いじゃない。

「来いよ」

力強く私の腕を引っ張って秘書室をでた。

きゃー

強引。

ここから私をすくい出して欲しいって分ってくれてるじゃない。

木崎の評価、うなぎ上り。

着てるスーツも良く見れが仕立てが良くてオーダーもの。

腕時計も有名ブランドの限定品。

道明寺司とまではいかなくてもそこそこいいところのお坊ちゃんじゃない。

牧野つくしの方がいいなんて男。

私からフッちゃう。

あとからいい寄ってきても遅いから。

連れて来られたのは広々とした窓から地上が見渡せる休憩所。

窓に沿って作られた備え付けのカウンター。

自動販売機もあるけどそれより入れたてのコーヒーが飲みたい気分。

ここで差し出されたら真実、木崎君のこと好きになってもいいよ。

カウンターに座る様に押し付けられた身体を半身回して木崎君に最高の微笑。

「なに、カン違いしてるの?

あのまま秘書課にいるのは君は場違いだ。

それと代表の二の舞になりたくないから先に言うけど君の事好きじゃないから。

って言うかはじめから興味も無い。

俺が興味あったのは牧野つくしだから」

「 男を捜してるなら会社訪問しないほうがいい。真剣に探してる人間には迷惑だ」

「これ飲んだら帰れ」

コトンとカウンターに置かれたコーヒーの缶。

そのまま置きざりにされた。

私はこんな百数十円のジュースを飲ませられるような安い女じゃないわよ。

とに!

ほんと女性の価値分ってないんだから。

女性を見る目ないんじゃないの?

こんな会社二度と来るもんですか。

「イタッ」

カウンターにうつ伏した拍子にオデコ打っちゃったじゃない。

こんな仕打ちヤダッ!

「ちょっ」

木崎が塚原を部屋から引っ張って強引に連れ出すのが見えた。

最初からそうしろよ。

ゆらりと俺の横で牧野の身体が揺れる。

「どこ行くつもりだ」

目の前を通り過ぎようとする牧野の腕を掴んで引き寄せた。

「どこって・・・」

気まず様子で俺から視線を逸らす牧野。

「警備室に行ってビデオの画像を俺より先にどうにかしようなんて思うなよな」

「あのさ、まさかなんだけど・・・防犯カメラって道明寺の執務室にもある?」

「なんで?」

「なんでって、さっき自分がデスクに私を押しつけたの誰よ」

最低限の音量で俺の耳先で喉から絞り出苦々しい声。

「お前、心配事増えてねぇか?」

「増やしてるの誰よ!」

焦ったり、怒ったり、落ちこんだり忙しいやつ。

もう笑いをこらえるのも限界に近い。

「西田、この後の仕事はキャンセルしろ」

「キャンセルって、西田さんを困らせてどうするの」

西田より先に牧野が食いついた。

「それが、西田の仕事だ。

だよな、西田」

視線を送った先で西田が承知しましたと了解の意を俺に伝えてる。

西田ができないといい出せない態度を俺が見せればいいだけのこと。

「心配するな、執務室にはカメラは置いてないから」

執務室のお前より秘書室でのお前の方が意外とすげーぞ。

「見せてやるよ」

牧野を引っ張って秘書課を後にする。

最上階から一つ下のコンピュータールーム。

奥まった部屋の入り口は関係者以外立ち入り禁止の区域。

パスワードで制限された入り口。

開ければこのビル全体の心臓部といえる精密な機械とコンピューターが並ぶ。

いくつもならぶ画面。

数秒おきに切り替わる画像。

その中に休憩室で一人うつ伏してる塚原が映し出された。

「泣いてないよね?」

「あいつが泣くたまか?」

さっきまで怒鳴りつけたた相手を心配する必要ねぇだろう。

「なに、笑ってるのよ」

「別に、笑ってねェよ」

牧野から視線を外ししてこの部屋の責任者に向けて頬を引き締めた。

「秘書課の30分前からの防犯ビデオの記録出せるか?」

「ハイ直ぐに」

直立で素早い返事。

カタカタとキーを操作する音が響く。」

「待ってください」

焦った牧野の声が操作の指先を止める。

「ここで、見るって何考えてるの」

真赤に熟れた顔が切実。

「あの映像を消去してください」

「規定で数週間は保存することになってます」

「そこを何とかお願いします」

借金を返すの待ってくれと取り立て屋に食い下がってるような牧野。

「その、映像は俺が保管するから、映像を落としたら後は消去してくれ」

出来上がったDVDはそのまま俺が受け取った。

俺の手から牧野が奪い取ろうと手を伸ばす。

「心配すんな、後で見せてやるから」

「見なくていい。渡してよ」

「駄目だ」

「駄目じゃない」

「言ったろう。もう一度言えって」

振り上げられた両腕は俺の指先で拘束して身動きがとれないのに抵抗をやめない強気なやつ。

「あきらめが悪いな」

牧野の腕を下におろして俺の腰に巻きつけた。

「ちょっ」

「なんだ?」

「なんだって、くっ付きすぎでしょう。まわりの目を気にしてよ」

「秘書課よりギャラリー少ねぇぞ」

「数の問題じゃないから」

「あいつらは画面見てるのが仕事だから大丈夫だ」

「私が大丈夫じゃない」

俺から離れようともがく牧野を手放したくないのにわざと力を緩めて抵抗を見せる牧野で遊んでる俺。

「ついてこなきゃ俺一人で見るぞ」

牧野を離して廊下に出る。

「待ってよ」

焦ってる声が閉まりそうなドアの隙間から漏れて聞こえた。

拍手コメント返礼

mizuta 様

まさか木崎君が最後に塚原さんをやり込めちゃうなんて、意外と爽快な感じにしあがったと思ってます。

あはは、公平くんの二の舞にはしないですよ。

そこにはしっかりとしたオチを用意しております。

司の鐘はいつやり止むでしょうね。(笑)

なる 様

警備の緊張感まるでなくなってるでしょうね。

そして別な緊張感がコンピュータールームを侵食中。

イチャイチャカップル早く追い出したいだろうなぁ。

木崎のキャラもここにきて浮上してきた感じがします。

みわちゃん 様

塚原劇場まだお願いしますってリクあるんですよね。

ある意味今度は私が泣かされてるぅ~(笑)

>さあさあ、司とつくしのカメラ映像攻防戦はどうなるか?

それはもち大きなアメがまっている♪

メガネちゃん様

帰ってきた一コマ劇場。

真実の復讐

なんてやつ~用意できたらいいなぁ~

ソロソロ木崎君の正体♪

次週明らかに!!!

ゆきこ 様

いつもこれで見納めと思って書いてるのに次回を期待されちゃってるんですよね。

ここからどう復活するかが見ものになるのかな。

絶対この性格変わらないだろうしなぁ。

>2人でコンピュータールームへ。ここで働く人たち、目のやり場に困りますね(笑)横でイチャコラ、落としてる数分前の画像ももちろんイチャコラ。

ここで被害をこうむってるのはつくしちゃんじゃなくいつもは機械相手の社員さんですよね。

早くでて行ってくれないかなあ・・・

って目くばせ中。

アーティーチョーク 様

この状況に陥っても復活する塚原さんを見たいような気がします。

後は木崎君の正体がこのお話の楽しみになるのでしょうか?