迷うひつじを惑わすオオカミ 30
Pwの御連絡
本朝8時までに申請された方は返信してます。
届いてない方は再度ご連絡をお願いします。
さて今回の一コマ劇場。
どこまで妄想はUPしてるのか。
「塚原、本当に大丈夫か?」
肩に置いた私の手に照れる様に木崎君が遠慮がちに外す。
私の手に触るのを躊躇う様な仕草を見せながら触れた木崎君。
ヤッパリあなたの心も私は迷わせてしまってるのかしら。
ごめんなさい。
今の私には代表の事しか頭にないの。
「ねぇ、今何か床に落ちる音がしなかった?」
「何も聞こえないけど?」
代表の部屋から聞こえたのよ。
確かに物が床に転がる音。
もしかして転がったのは牧野つくしだったりしてーーーーー。
ドアが開いて代表につまみ出せる牧野さん。
大丈夫かしら?
「代表のことはあなたは気にしなくていいから」
「それ、コピーでもしてきて」
私の両脇に付いた秘書課のみなさんに無理やりに代表の部屋の前から遠くに追いやられちゃう。
駄目よ~
ダメ、ダメ!
直ぐに代表が私の名前を呼んじゃうと思うから。
仕事不手際で秘書課のみなさんが責められるようなことになったら私泣いちゃいます。
「騒がしいですね」
コホンと咳ばらいが響く秘書室。
ピタリと静まりかえる空気。
「仕事に戻って下さい」
私の周りからも蜘蛛の子を散らす様に秘書のみなさんが自分のデスクに戻る。
「セミナーの体験はそろそろ終わりです」
無表情のまま冷静な声は西田室長。
えっ?終わりって・・・
まだ、牧野つくしは代表の部屋にいますけど?
まだ代表は私に告白してないんです!
室長の袖口を握って熱く見つめる。
「何か?」
私の御願いはこの人には通じないらしい。
私っておじさまより若い人向きなのよね。
私の魅力が伝わらないのは遊びを知らない様な人には無理なのよね。
「本気で言ってるのか」
その声に思わず全身がビクンと揺れる。
コーヒーがカップの中で揺れてこぼれそうになった。
まだ私、何も言ってないけど・・・
デスクを背にして革張りの椅子は窓側に向けられてる。
そこから聞こえてきた声は静かな怒りに満ちた声。
「どうして、ここで相手の言い様に扱われてるんだ。
こっちの条件をすべて飲ませろ。
出来なければ戻ってきてもお前の椅子はないと思え」
気分次第で相手を殴っていた時とはまた一味違う迫力。
椅子が正面を向いてガチャリと受話器を置いたままついたため息。
受話器から離れた腕で頭を支えこんでもう一度息を突く。
デスクの表面が息でかすかに曇る。
それは怒りを鎮めよう努力する道明寺の姿。
何時も怒りを爆発させるだけの子供じゃなかったんだね。
今の道明寺には私には分からない重圧や責任があるんだって思う。
「コーヒー」
コトンとコーヒーのカップを道明寺の前に置いた。
立ち上がる湯気を見つめだけの無言の道明寺。
その瞳がフッと緊張を解いたように笑った。
「何時から見てた?」
「道明寺が怒鳴って電話を切るあたりからかな」
「能力のないやつのしり拭きさせられるのもストレスがたまる」
しり拭き?
「もしかして・・・ 尻ぬぐいって言いたかった?」
見つめあったままの数秒の間。
道明寺の目が私を小ばかにした表情を見せる。
言い間違いは道明寺HD代表になっても変わらないらしい。
そして自分の間違いは棚に上げて私に本を読めと言っちゃうんだからなぁ。
「お前さ、PCは使えるよな?」
「まあ、一通りは大丈夫だけど」
「それじゃ、このテープを文字に起こしてくれればいいから」
「うん・・・」
道明寺から渡されたボイスレコーダー。
再生で聞こえてきたのは道明寺の声。
途絶えることのなく聞こえてくる道明寺の声はすんなりと私の心の奥に染み入ってくる。
私のわからない専門用語が飛びかう事務的な声。
それなのに道明寺の声だって思うたびにドキとなる。
数名の入り乱れた声の中からも道明寺の声だけが優先的に聞こえてしまう。
「出来るか?」
「道明寺が私に真面目に仕事をさせるって思わなかった」
「口実を作ってるだけだ」
「こんなのお前でなくてもほかの誰かにやらせればいいわけだし」
ボイスレコーダーを握った道明寺の腕が軽くそれを投げ上げる。
止める間もなくボイスレコーダーは床に転がってガシャンと大きな音を立てた。
「まあ、別にお前を俺の側に置いておいても文句言うやつはいないだろうが、
お前が落ちつけないんじゃないかと気を使ったんだよ」
今の私はそれよりボイスレコーダーが壊れてないか、そっちの方が気になる。
「塚原と一緒だと疲れるだろう?
何言いだすかわからねェやつみたいだしな」
道明寺の視線はボイスレコーダーに捉われることなく秘書課につながるドアの先を見つめてる。
「そう言えば塚原さん、コーヒーを道明寺に自分がもっていきたかったみたいだよ」
「あのさ・・・道明寺?」
「なんだ?」
「塚原さんが勘違いしそうな事を言ってないよね?」
「はあ?」
ギロっと道明寺の目つきが鋭くなる。
吊り上った眉に焦りを覚える私。
「塚原さんが代表は多分あなたの事なんて何とも思ってないとか、代表が私のことを選んでも恨まないでねとか私に言って来たし・・・」
「本気で言ってんじゃねェよな」
さっきの電話先で怒られていた社員のビビる気持ちが分る。
「俺がお前以外の女を相手にするわけねェだろう」
「あんな、バカな女の言葉を湯呑にすんじゃねぇよ」
湯呑・・・
それ鵜呑みだよね?
道明寺の不機嫌な声に笑えない。
「シメる」
地響きを鳴らす様に床を踏み鳴らして歩く道明寺。
「道明寺、疑ってない!道明寺のことは信じてるから!」
思わず腕にすがりついた私。
その私を物ともせず道明寺は引きずって秘書室のドアを開けた。
拍手コメント返礼
いの 様
お久しぶりです。
>スーパーハードポジティブな塚原さんのコメントにグフットなってしまいました。
確かにスーパーですもんね。
木崎君の正体もそろそろ気になりますよね。
メガネちゃん様
そうなんです~。
コマ劇場もそろそろ佳境です。
このコマが終わるのはさみしいような気もしますが・・・(^_^;)
みわちゃん様
湯呑にすんじゃねぇ。
しっかりJ君で頭の中で再現してもらいながら書いてます。
まあ、本当はここは鵜呑みと間違わずに司に言わせた方がいいところなんですけどね。
ここで笑を求めてしまう私って・・・(^_^;)
bunta 様
ドキドキしてもらえてうれししいです。
ここからもう一段階面白くなるといいんですけどね。
なる 様
>ダメよ~ダメダメ! お前がな。
この頂いたコメに笑っちゃったじゃないですか~。
トドメの時間まで秒読み開始ですよ~
お見逃しなく!!
アーティーチョーク様
司の機嫌を最優先するのなら結果は決まってますよね。
つくしちゃんを有効に使うに決まってますもの、西田さんがね。
Gods & Death様
丁度駐車場の横が空き地になってるので風向きによっては被害に遭ってるんですよね。
毎年一枚は飛ばされてます。
一度剥がれると弱いみたいですね。
塚原さんタイプの対処法。
次の獲物をあてがうのが一番かと思うんですよね。
かよぴよ 様
『シメる』
キャー!
言ったね司君♪
でも本当にシメられるのぉ~と思ってるところがあるんですよね。
しっかり司君シメちゃってよね~。
>早くみたいけど、塚原さんいなくなっちゃうのはなんか寂しいですねぇ…って、塚原さん気に入っちゃったのかも♪
私も同感です。
ルイ坊様
連日のUP喜んでもらえてうれしいです。
このままと行きたいところなんですけどね。(^_^;)
ミントン 様
被害はカーポートだけで他は大丈夫ですよ。
あの風の中パタパタいい出した屋根が車を傷つけると対処に追われた時は怪我するかもと少し不安でしたけどね。
司がいつものように切れただけじゃ塚原さんに効果があるか微妙ですけどね。
ゆきこ 様
シメる日が近づいてきましたよ~
ということは塚原さんの出番も終わりなんですけどね。
この物語の最期まで登場させたいきもちがあるんですよね。(笑)
>木崎くん、あなたの大物な感じ、まだ気になる〜!
>木崎くん、あなたまだ本性現してませんよね?
>ひー様、どうですか?
お楽しみに♪
mizuta 様
まさかの連続UPに皆様が喜んでくれてる事を感じちゃってます。
連続って久し振りですものね。
塚原さんが顔色を変えてくれると楽しんですけどね。
理子 様
本当にソロソロ目を覚まさせないとなぁ~
ガツンと一発司くんにここはお見舞いしてもらって!
シメてもらいましょう!