迷うひつじを惑わすオオカミ 29

台風の影響はいかかでしょうか?

我が家はカーポートの屋根が2枚ぶっ飛んでました。

そのくらいで済んでよかったんですけどね。

一コマ劇場の塚原さん

パワーアップしてると思うのは私だけでしょうか?

強がってる代表もかわいいな。

執務室のドアを閉めて戻る秘書課。

「大丈夫だった?」

心配というよりも興味津々な表情が私をいくつも見つめてる。

秘書課のおねェ様が代表を怖がる理由が私には理解できないの~。

「あの、遅くなりました」

私から遅れること数分

やっと、牧野つくしが戻ってきた。

ホント、気がついてないのね。

嫌がってる代表の前に出ても表面的に愛想良くされるだけなのになぁ。

本当に鈍感。

「牧野さん」

一気に秘書課のみなさんが牧野つくしに駆け寄る。

そうよね。

秘書課の方はみんな知ってるわけよね。

牧野つくしが、代表の婚約者だって事。

もうすぐ、その頼る表情を向ける相手は私に変わるんですよ。

教えてあげたい。

「早く代表の御側にお願いします」

お姉さま方に背中を押されるように牧野つくしは執務室に消えていく。

代表に投げられたものが牧野つくしに直撃しなきゃいいけど。

私に投げたように当たらない配慮を見せるとは思わないもの。

「ガチャリ」

秘書課のドアが開いて入ってきたのは木崎君。

「あれ、塚原さん・・・まだいたんだ?」

いるにきまってるでしょう。

代表が私のことを熱く見つめてるのよ。

まだいたって失礼しちゃうな。

「木崎君、牧野さんを頑張って慰めてやってね」

木崎君の肩をポンと叩いて励ます私。

きっと泣いて、執務室から牧野つくしが飛び出してきちゃうから。

その時は木崎君の出番よ。

「あのさ、塚原さん何言ってるの?」

ホント、

何も見えてないのね。

「私に任せて」

困惑してる表情が理解できる表情に変わる場面を見せてあげるからね。

木崎君♪

「お前、俺の秘書だよな?」

「あのね。ただのセミナーの見学で来てるだけなのに何も出来るはずないでしょう」

唇が・・・

触れた唇の熱さが今も私の唇に残ってる。

言葉を発する唇の動きに艶めかしく艶やかさを感じてしまってる。

思い出すな!

「なんか、顔赤いけど?」

どうしたと覗き込む表情のわざとらしさ。

自分が何したか思い出せ!

「なんでもない」

そんな言葉が言えるはずない。

「コーヒー」

「え?」

「コーヒーくらい入れられるだろう?」

コーヒー・・・

さっき食事の後食べ損ねたデザートまで思い出した。

「どうして、今コーヒーなのよ」

「このまま一緒にいたらまた俺が押し倒したくなるとか思わねぇの?」

「今のお前、なにしてたか丸わかりの顔してるからな」

道明寺の指先が私の髪に振れて弄ぶように梳き上げる。

髪を伝って指先の熱が首筋をかすめてくる。

触れられてるのか触れられたないのかの微妙な感触はくすぐったさで胸の奥を疼かせる。

その感触から逃れるようにわずかに引いた身体。

数ミリの身体の動きを感じ取った道明寺がちいさくククッと笑みを零した。

こいつ・・・

絶対遊んでる。

今までの仕返し?

仕返しするんだったらお義母様でしょ!

「コーヒー入れてくるから」

バタバタと道明寺の前から逃げ出した。

バタン。

ドアを背中に一息大きくつく溜息。

ガタンと私のため息に反応するように秘書課の先輩方が一斉に席を立った。

私の様子に興味津々なのは丸わかり。

代表の機嫌どうですか?

目がそう訴える。

一人二人じゃなく秘書課皆が同じ答えを求めてる。

「あら、牧野さん、そんなに焦った顔してどうしたの?」

心配してると言うよりはなぜかにこにこと機嫌がいい塚原真美。

それは、私が失敗したと期待してる表情。

この子も今一つつかめないんだよね。

「大丈夫、コーヒーを頼まれただけだけだから」

「あら、コーヒーなら私が」

コーヒーメーカーの前進む塚原さんを慌てて遮ったのは秘書課の一人。

「ここに、コーヒーあるから、牧野さんお願い」

私に押しつけたコーヒーカップは二つ。

「え~、コーヒーを持っていくなら私が」

「あなたはいいの!このコピーお願い」

「え?またコピーですか?」

「コピーくらいしか出来る仕事ないでしょうよ」

「先輩~もしかして私に妬いてます?」

「焼くわけないでしょう」

塚原さんにイラッとした声が飛んでる。

「隠さなくても分ってますから」

この場合いくら私でも秘書課のみなさんに同情心がわきがって来る。

塚原さん・・・

本気で、思ってるんだ。

私に化粧室で言った「代表が私のことを選んでも恨まないでね」

その思い込みが現実味を帯びている。

「コーヒーお願いします」

秘書の切実な声は私に道明寺のところに早くいってくださいと訴える。

「それじゃ、失礼します」

両手にコーヒーをもつ手はドアの前で立ち止まった。

ドア・・・

開けられない。

コーヒー渡すならトレーに載せて渡さないか?

たぶん秘書さんもいっぱいいっぱいで、慌ててた?

「どうぞ」

あっ・・・

「ありがとう」

ニッコリとドアを開ける機転を利かせてくれたのは木崎君。

今ここで一番落ち着きを見せてるのは木崎君の様な気がしてきた。

拍手コメント返礼

メガネちゃん様

1コマ劇場だけでも楽しめると言ってもらえてうれしいです。

喜んでいいのかしら?

西田の姿見えませんね。

どこに行っちゃってるのかしら?

登場した時は・・・

理子 様

親がニヤついてるときって、子供は敏感に反応しますよね。

ついでの我が家の娘は泣きそうになる私の顔をニンマリと覗き込んじゃいます。

「なにニヤついてるの?」

これが結構恥ずかしい。

花男子大好き 様

もう誰でもいいから止めて~~~~~

そんな気分いなりそうなポジティブ思考の持ち主。

ある意味幸せかも~

still・・・ 様

どんな手を使っても二人の間にはわり込めないのよ~

何時気がつくんでしょうね?

かえまま 様

お見舞いありがとうございます。

そちらは台風大丈夫でしたか?

暴風域に入る前の方がすごかったんですよね。

今年はあと何個台風が来るのでしょうね。

最後にやってくるガツンを楽しみにしてる方多いですね。

ヤッパリ司君に頑張ってもらわないとな。

みわちゃん様

コマ劇場楽しんでもらえて嬉しです。

そうですよ、秘書課のおねェ様方ももっと頑張らないとね。

代表の機嫌直りませんよ~。

木崎くんにも頑張ってもらいましょう。

なる 様

うんうん、確かに幸せな思考の持ち主ですよね。

このままの方が塚原さんは幸せでしょうね。

さて、幸せ指数はどこまで上昇してドツボに落とされるのでしょうか?

それは何時?~

アーティーチョーク 様

KYもここまで来ると尊敬できそうな気もします。

妄想するのは結構ですが周りを巻き込んじゃだめですよね。

このオメデタさはどこまで続くのでしょうか?

私も分からなくなってきましたよ。(;O;)

ルイ坊 様

想像以上に濃くなって忘れられないキャラに仕上がってます。

『ないしょ~』の加川さんより強烈なキャラが出来るとは思ってなかったなぁ。

ですよね。

そろそろぺちゃんこにする用意しなきゃなぁ。