Perfect dungeon 19

西田さん!どうして邪魔するの~~~~。

・・・と、司の味方に動いた方が今回はどれだけいるのか(^_^;)

西田さんを押しのけてつくしに詰め寄る坊ちゃん。

見たかったのになぁ。

*

「どけ!」

言いかけた俺の肩を抑え込むように西田の腕が動く。

スーと降りた助手席の窓。

ぼんやりと浮かぶ影に差し込む月明かり。

俺を見つめる眼差しは、やり返す強さと傷つきやすい儚さを同居せてる。

意思の強さをみせる輝きが薄れて不安げな瞳。

俺のことを気が付いてるわけじゃねェのか?

その疑問が俺の胸の奥で影を落とす。

「早急すぎます」

「つくし様はまだ代表に気が付いてる訳じゃありません。アルフ王子に坊ちゃんを重ねてるだけです」

俺の疑問を悟ったように西田が俺の視線を遮る。

サングラスを外した俺を牧野から隠して身体の位置を微妙にずらす西田。

西田の行動を皮肉る様に口角をわずかに上げて漏れる笑み。

俺の行動を阻む悪役にピッタリとはまってる。

牧野が向きを変えて助手席のシートに身体を預けるように深く坐り直したのが分かる。

あいつがもう一度俺を見ることはないらしい。

最初に仕掛けたのは俺。

その主導権が今は西田に握られてる。

西田が俺を押しとどめたんじゃない。

牧野の憂いげな表情が俺を切なくさせただけだ。

あの時は牧野を悲しませるのもしょうがないと思っていた。

貪欲に会社のことだけを考えてとった行動。

仕事で認められて、今の地位をもっと確実にする。

それがこれからの俺たちを幸せにするって思ってるのも本音。

牧野にプロポーズして、牧野が俺を受け入れて有頂天になり過ぎていた。

分っていたはずなのに・・・

牧野が俺のために流す涙はそんなに軽いもんじゃない。

砂漠の中にポツンと取り残されたような孤独。

手を伸ばせばお前を抱きしめられる距離の中で感じてる。

苦しい胸の奥を抑え込むように握りしめていた胸元。

シルクの肌触りの中で指に触れる金属。

牧野に贈ったファッションリングのペアーの片割れ。

見られたらまずいと指にはめずに隠す様に銀の鎖を通して首に付けてる。

俺と言いあいして不安げな表情で土星のネックレスを牧野の親指と人差し指が転がしていたっけ。

以外に落ち着くもんだな。

お守りみたいだ。

「西田・・・」

「自分で決着付けないとな」

小さくなる牧野をのせた車を視線が追う。

「なあ、もし、牧野が俺のことを気が付いていたらおまえはどうした?」

西田の横を通りすぎて一歩前に足を動かして立ち止まって暗闇に続く車道を見つめてる。

あいつの姿が見えるわけじゃないのに外せずに車の虚像を探してる。

自分がこんなに諦めの悪い奴だとは思わなかった。

「第2、第3の手は考えてるものです」

さらりと事もなげな声。

音域の幅も見せない冷静な声。

「俺がここでばらしても何の問題もないって事じゃねェか」

西田の能面につばを吐き捨てる気分のイラッつき。

「ご自分で蒔いた種はご自分で刈り取られた方が面白いですよ」

面白くもない顔が面白いとつぶやく。

わざと俺を怒らせてるんじゃねよな?

西田を見てるとムカつきが収まりそうもない。

「わざとらしく最初に動いたやつが誰かわかったらすぐに教えろ」

西田に体当たりするつもりで牧野を追いかけて飛びだしてきた屋敷の玄関に向かう。

「くそッ」

ドン!

ガシャ!

「テッ」

八つ当たり気味にけり上げた花壇のブロック。

痛みを逃がす様に片足で跳ね上がる。

両脚をついて指先に感じる鈍い痛み。

俺の痛みより牧野に感じさせた痛みの方が胸をえぐる。

仰ぎ見た夜空に輝く星が見えた。

3等星の消え入りそうな輝き。

それよりも今の俺の方が哀れに思えてきた。

次に牧野と見つめあったら俺は自分を抑える自信がない。

お前を抱きしめたい。

流れ星を探しながら小さくため息がこぼれた。

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拍手コメント返礼

aimi 様

UP後すぐの速攻拍手ありがとうございます。

宝くじで300円が当たった気分くらいのうれしさは有りますか?

せめて年賀はがきのお年玉、切手くらいはあると嬉しいです。

この後の展開もう一絡みありますのでお楽しみに♪

Gods&Death 様

司君かわいそうですが、おっしゃる通りつくしを心配させた代償ですもんね。

ここからが本当の闘いがはじまる!!

映画の予告じゃないですよね。(^_^;)

チューリップ 様

今までで一番惹かれるとコメントをいただきうれしいです。

そう言われると続きをすぐにUPしたくなるわたし。

今日の予定は・・・