桜の舞う季節に
なかなか更新できずに申し訳ないです。(^_^.)
卒業に入学のお話を書こうと思いつつ書けずに時間だけが過ぎていく~。
何とか一話はお届けしたいということで、今回は双子ちゃんの入学式のお話をUPしました。
「走ると転ぶぞ」
校内の桜は満開。
桜の花びらが落ちてくるのを追いかけてご機嫌な笑い声をあげてはしゃぐ舞と翼。
淡いピンクの花びらは風に揺られてひらひらと舞い落ちて手でつかめそうでつかめなくて小さな手から零れ落ちる。
つかめなかった花弁はそのまま地上に落ちて、その花弁は無となってまた別な花弁を小さな姿は追いかける。
飛び跳ねたり、座り込んだり、手を伸ばしたりさっきから動き回って落ち着かないちっせぇのが二つ・・・
俺の前に飛び出したつくしはさっきからカメラのレンズをはしゃぐ子供たちに向けてる。
こいつが一番楽しそうだ。
ちっこい二つの陰に交じるもう一つのちっこい影。
あっ・・・一人、増えた。
「司が子供の心配してるとは思わなかった」
俺の横に肩を並べてそうつぶやくのか子供のころからの悪友、美作あきら。
こいつのとこの長男坊と舞と翼は同級生。
ついでに幼稚園のころから同じ英徳に通ってるところも俺たちと一緒。
「花びら追っかけてどこが楽しんだか・・・わかんねぇよな」
「お前の影響じゃないことは確かだよな」
俺からつくしに視線を移したあきら。
お前んとこの嫁さんもつくしとおんなじようなものだろうが。
「子供らしくて無邪気でいいじゃない」
俺たちの声が聞こえたのかつくしが振り返って笑顔を見せる。
英徳じゃ澄ました子供が多いから大人並みに行儀がいいやつが多い。
冷めてるって言ったほうがいいのか・・・
子供らしくねぇのが多いんだよ。
桜ではしゃぐ俺たちを遠目で見ながら通り過ぎていく親子が何人いたかわかってるか?
「舞、ついてる」
舞の髪の毛に付いた一枚の花弁。
つま先を伸ばしながら背伸びして伸ばした指先は薄い花びらを大事そうにつまみ上げて舞の手のひらの上に置いた。
「ありがとう」
にっこりと笑った横顔。
手のひらをゆっくりと大事そうに閉じて花びらを手の中に閉じ込めた舞。
その横で舞の手に腕を伸ばした翼。
指先を無理に開こうとちょっかい出してる。
「佑君、さすが美作さんの子供だよね」
その言葉の後に「翼、舞をいじめないの」なんて言いながらつくしは俺に視線を向ける。
翼の行動は俺のせいかよ。
翼の攻撃から逃げる舞。
その二人の間に入るように佑が腕を伸ばす。
「佑も俺とおんなじ運命か・・・」
「はぁ?」
「司が無謀なことするたびに俺は心を砕いてきたからな。
翼のほうが親父よりはましだろうけど・・・」
あきらっ!
ため息つくんじゃねぇよ。
ムッとした俺にくすっと笑みを浮かべるあきら。
「早いよな。あいつらも小学校だぞ」
「そうだな」
目を細める俺たちの視線の先には相変わらず桜の花びらと遊んでるちっこいのが3つ飛び跳ねていた。