DNAに惑わされ 38

こんばんは、夜の更新は久々です。そしてこのお話も久々です。(;^ω^)

駿君を早く高校卒業させて大学生の二人を書きたいという思いが・・・

高校生の恋バナは舞と佑君で十分だと思い始めてます。

ささっと書いて終わらせたい・・・。

「どうして、俺を置いてくの」

泣きつくという表現がおおげさに感じられないような態度で蒼が僕の胸にしがみつく。

悲壮感が漂うの声だけ、涙は出てないし・・・

やっぱ大げさ。

鮎川の腕を引いて二人でいったのは美術室のドアの前。

すぐに知らない美術部員が僕らの前を通り過ぎて美術室の中に行っていった。

なんとなくどちらからともなくこぼした笑み。

笑いあった時間はほんの数秒。

ほんの少しの時間を過ごせば教室に残ってる生徒はいないはずだった。

その時間を考えながらほんの少しの時間を鮎川と過ごす。

テレビのドラマの話。

見たい映画。

好きな曲。

鮎川の親父さんがいまだに僕を使いたいといってるとか・・・

それは丁寧に断る。

何でもないたわいない会話。

そのまま一緒に帰る約束をして教室に戻った。

教室に戻ってすぐに目の前に現れたのは蒼。

そしてこのおげさな素振りを見せて僕と鮎川の仲を引き裂かれた。

「あれから、俺はどれだけ大変だったかわかるか?」

知るわけないよ。

聞かなくてもわかってるはずの蒼。

どうやらその大変さをすぐにでも僕にしゃべりたいらしい。

「青葉から何か言われた?」

自分でもわかる不機嫌さであいつの前から鮎川をさらってから30分は経っていない。

「あいつは自分の家が金持ちだって自慢話しかしないから大したことない。

逆に笑えるし・・・

青葉が相手してるのが道明寺財閥のお坊ちゃんだって知ってるからな」

そこのとこだけは人の悪い笑みを浮かべる蒼。

「言わねぇから、心配するな」

僕にまで蒼はほくそ笑む。

「そんなこと大したことじゃない。

あのあと俺はクラスだけじゃなくほかのクラスの女子にまで取り囲まれてだな!」

そのあとの言葉をのむ込むように蒼は目に腕を当てて泣く。

これも本当に泣いてないってことがわかる猿芝居。

どこまで僕は蒼に付き合ったらいいんだ?

「一人くらい俺に回せよ~」

回せよって・・・

「どうして、お前だけモテるんだ」

「蒼も女の子に人気あるだろう?」

休み時間とか結構蒼の周りは男子も女子も集まってにぎやかだ。

蒼のおかげで僕の友達も増えてるといって過言じゃない。

「あのな、俺の場合は面白いとか話しやすいとか・・・そんな次元なの。

それに駿と友達になりたいってやつも多いしな。

彼氏にしたいってとこまでいなかなか行かないんだよ」

責めてるようで実際は僕に対する嫉妬はないってわかる愚痴。

うらやましいとか言いながら棘がないってわかるのは蒼の明るい性格。

ムードメーカー的気質。

男子には僕より絶対人気があるって思う。

女子にも案外、蒼を好きだって子はいるって思う。

僕が女子なら蒼はいい奴だって思うから。

ちょっと待て・・・

もし僕が女の子だとして・・・

蒼を彼氏にしたいって思うかな?

・・・・

・・・・・・

その考え方がおかしいだろう。

そう考えたら気持ち悪くなった。

蒼が女の子だったら・・・

じっと見つめる僕の視線の先で蒼がきょとんとした表情を浮かべてる。

鮎川じゃないと無理だ。

僕の感情は鮎川にしか動かないって思う。

「蒼・・・ごめん・・・」

「ここで素直に謝るなよ」

女子に責められたことを謝られてるって勘違いしてる。

そうじゃないど・・・

ここはあえてそうしておこう。

「モテてもなぁ・・・

好きな子に好きになってもらえないと意味ないし・・・」

「駿・・・お前な、その顔と性格の良さで言うなよ~。

全校の女子が落ちる」

がしっと両肩を蒼に掴まれた。

「俺も、落ちた」

げーーーっ

抱きつくな。

そのまま背中に蒼の腕が巻き付く。

羽交い絞め状態。

「きゃー、蒼君ずるい~」

聞こえたのはいないと思っていたクラスメート数人の女子の声だった。

「二人で帰ろうなんて思うなよな」

耳元でにんまりと聞こえた声。

この後クラスメート数人でファーストフード店に僕と鮎川は連れ込まれてしまった。