ウエディングベルは二度鳴らす 24

司サイドのお話からつくしちゃんサイドのお話を経て・・・

ここからいよいよ!

レイのアレデスカ?

公平君いるからな~

もしかしてここでF3が!

ないない(;^ω^)

「動くな、しばらく俺の好きなようにさせろ」

もぞもぞと胸の中でうごめくつくしの動きがぴくんと止まって俺の胸の前で指先をぐっと握りしめた。

「それなら少し力を緩めよ」

腕の中で凝った声はムッとしてるようで、はにかんでるようにも聞こえて俺の胸の奥をくすぐる。

力を緩める手加減はできそうもない。

とにっ!

お前は俺を喜ばせる天才だよ。

突然俺を司って呼んだり・・・

ホテルの部屋にお前から誘われるなんて・・・

すべて予想外。

このトキメキは自分が部屋にお前を連れ込むよりドキドキしてる。

人の目なんて気にするな。

お前と俺がどれだけ愛し合ってるかを見せつけたい気分。

特にあいつにな。

つくしを抱きしめたまま視線をすっと松岡のほうに動かした。

俺たちには背中を見せて回した松岡の視線は、ウエディングガーデンに設置された100インチの大画面の画面。

そこに映し出されてる映像は主役の二人から俺たちに切り替わってる。

タキシードもウエディングドレスも着てないはずの二人にカメラは付け。

これに気が付いたらつくしのやつは卒倒するな。

「ねぇ・・・さっきから、わーとか、きゃーとか、騒がしくない?」

騒がれてるの俺たちだよ。

そのまま伝えるはずはない。

「気にすんな」

つくしの視線を胸元に押し付けるように頭を抱く。

時々深くはくつくしの息が小さくシャツを震わせる。

その感触もくすぐったくて気持ちを高揚させる。

「あの男の人・・・道明寺様だよね。

つくしを迎えに来たってこと?」

ざわめく会場。

テーブルの間を動くホテルの従業員もさっきから足を止めてちらちらとみられてる。

視線の合って慌てて会釈する従業員。

焦った表情と驚きの表情は入れまじっと俺たちを眺めてる。

俺がここにいても何の不思議もねぇと気が付いてるのはどのくらいいるのだろうか。

「そうだよね。

つくしも結婚したばかりだもんね」

「アツアツじゃないの」

聞こえてきた招待客のざわめきにぴくりのつくしの耳が動いた。

俺を押しのけるように牧野の腕もぐっと伸びる。

胸元から離れた表情は俺を通り越してくるりとあたりを急速に見渡して、そして俺を見つける。

「このくらい慣れろ」

「慣れろって・・・

道明寺が突然やってきたからでしょう」

司から呼び方がまたもとに戻った。

あれって一回きりか?

「もう、司って呼んでくれないのか?」

ムッとした表情の前に花が触れ合うほどの距離に顔を近づける。

「あんまり近づかないでよ」

抵抗にならないか弱さで腕を伸ばして俺との距離を伸ばそうとするつくし。

照れ臭そうに赤く染まった頬。

今はまだ腕の中にいるままのあいつを離すつもりはない俺。

「行くぞ」

こんなとこ他人を祝うよりも大切な二人の時間を無駄にしたくない。

身体を反転させたまま握った牧野の腕を離さないように出口に向かって歩き出す。

「あっ、ちょっと、公平ごめん」

振り返って松岡に声をかける牧野にあいつは軽く手を上げて合図を送る。

その松岡のそばに数人の人影が並んで俺たちを見送っていた。

「もう、公平が質問攻めになってるよ。

あとで謝んなきゃ」

「俺がまたあいつにお前を会わせるわけねぇだろう」

「あのね、会わせないって言っても司法修習はまだ終わってないから、修習所で会うんだか無理」

俺を喜ばせたと思ったら今思い出さなくていいことを思い出させてくれる。

落ち着いたはずの不愉快さがむくっとまた芽を出しそうだ。

「俺の前であいつの名を出すな。

いや、思い出すのも禁止だからな」

開いたエレベーターの中につくしを押し込んで、殴る勢いで最上階のボタンを押す。

「どこ行くつもり・・・」

エレベーターの奥、壁に背中を張り付けたままつくしが小さくつぶやく。

「自分で誘っといて、どこ行くかもねぇだろうが」

「あっ・・・」

つくしの唇が発音の形のまま固まって動かなくなった。

俺に渡したカードキー忘れたとは言わせねぇからな。