PHANTOM 1

新作連載開始です。

PHANTOM (ファントム)

思い出すのは戦闘機。

米国戦闘機F4の愛称なんですよね。

いつかはこの題名を使ってのお話を書いてみたいと思ってました。

韓国のドラマでも同じ題名のお話ありましたよね。

私は見てないんですがストーリーは全く別物だと思います。

ファントムの意味は 幻影。幻。幽霊。

さて今回のお話はまさか幽霊が出てくるとか?

暑い夏に向けてピッタリなお話に!

違いますから~~~~~~。

「どうして・・・

こんなことになっちゃったのかな」

小さくつぶやいて吐く息はため息となってテーブルの上の薄い紙を揺らした。

何度も話し合いを持ったはずなのに・・・

いつも話は平行線で・・・

ペアーグラスの所有まで互いが主張して譲らない。

好きで・・・

好きで・・・・

大好きで・・・

離れたくなくって・・・

ずっと一緒にいたくて・・・

永遠に一緒にいよう。

誓ったはずなのに・・・

目の前の紙は無記入のままで私を悩ませる。

苦手なんだよな。

離婚裁判。

そしてもう一度私は頭を抱え込んだ。

今回の依頼者は30歳の年の離れた夫婦。

財産目当てだとの噂が気にならないって感じでお似合いに見えてたんだけどな。

夫妻と知り合ったのは道明寺の仕事がらみ。

知り合って1か月もしないうちに離婚調停を依頼された。

仕事を選ぶ権限のない新米には振り当てられたらハイとうなずいて、何事も勉強だと頑張るしかない。

「新婚のつくしちゃんには荷が重いかな?」

からかい気味の笑顔でぽんと玲子さんに肩を叩かれた。

ここ連日昼休みが近くなると最上階の執務室から降りてくる道明寺。

「昼くらい一緒に食事しろ」

朝も夜も一緒でしょ!

それに社員食堂に道明寺がいるもんだから最近の食堂の混雑ぶりはゴールデンウィークの遊園地のレストラン並み。

待ち時間であきらめる社員も少なくない。

道明寺が事務所にやってくるのは楽しみにしてるのは玲子さんも一緒で、「新婚だからしょうがないか」とか言われて、恥ずかしくてしょうがないんだから。

「でも、うれしいよね」なんて玲子さんに言われると言い返せないから本当に困る。

今日の昼も言われちゃったもんな。

仕事が終わって道明寺が帰ってくるまでの時間を利用して今日の話し合いの結果を整理しながら睨んでいる離婚届。

あの二人・・・

まだ愛し合ってるって思うんだけど・・・

本当に別れたいのかな?

そんなことを考えながらまたため息が増える。

ドアの開く音で道明寺が帰ってきたことに気が付いて思わす目の前の離婚届を鞄の中に隠すように押し込んだ。

「お帰り」

これ以上にできないであろう笑顔を道明寺に向けて明るく笑みを作る。

私が落ち込んでたら道明寺が心配しちゃうもんね。

意外と私の変化には鋭くてどきっとしてしまうことがある。

私のことしっかり見てくれてるんだって思うと一気に熱が上がる気がする。

「お前・・・変だぞ」

「変?」

両手で思わず顔の輪郭に触れる。

「顔じゃねぇよ」

ムッとした表情の道明寺に頬に当てていた手のひらをはがされた。

「何でもないよ」

「そうか?」

納得してない表情で道明寺がじっと私を見つめて視線を外さない。

仕事のことは守秘義務があるから話せない。

「本当に、何でもないから」

道明寺とこれ以上視線を合わせられなくなって、背中を向けることしかできなかった。

これ以上追及しないでと拒む意味を込めながら。