ANSWER 20

手をつないで教室に戻っていった舞と佑。

置き去りにされた薫は恭介とどうなった?

そんなコメントをいただいてます。

このまま新しい展開をぶっこもうと思ってましたが、ちょっとこの二人に視点を当てて書いてみようと思います。

最近確実に恭介君ファンが増えてます。

佑君やばいぞ~

ファイト~。

「あの・・・迷惑ですか?」

小さくつぶやく恭介に向けられた声にはその大きさには似合わない強い決心が宿るように聞こえた。

「迷惑。

・・・って、言っても、君には響かないよな?」

まだいたんだと卑下する恭介の視線は薫子を一瞥しただけで人影のいなくなった廊下の先を見つめてる。

「一緒に帰ればよかったのに、迷子になんじゃねぇの?」

迷子の言葉を発した恭介がしまったと顔をゆがませる。

こいつ・・・

本当に方向音痴だった。

自分の屋敷で迷うどうしようもない奴。

初めて薫子の屋敷に父親に連れていかれたのは小1の頃。

庭の池のところで鯉を眺めてる薫子に気が付いた恭介が子供の好奇心で声をかけたのが初めての出会いだった。

黙ったまま座り込んで鯉を静かに眺める薫子に何がおもしろんだと恭介は思ったものだ。

ほっといて帰ろうと思った頃、泣き顔になった薫子が恭介の袖をつかんだ。

「薫子、お部屋がわからないの」

わからないって、ここの家の子だろ?」

「おじいさまのおうちは久しぶりだから・・・」

たぶんその時、初めて恭介は薫子の声を聞いた。

人に興味を持たれるのがうざいと思う恭介はまとわりつく薫子から早く解放されたくて速足で池のそばから離れた記憶が今も残る。

その数年が自分の結婚相手だと言われても顔も思い出せなかったのが現状だった。

そして今・・・

目の前には「どうしましょ」と言いながら哀願するように薫子はきらきらとした瞳を恭介に向けていた。

とにっ。

ほっとけばいいんだ。

校内の中は迷ってもどこにでも自分で聞ける相手はいる。

絶対俺が助けるって思って疑わない瞳。

かるくあしらって振りほどけばいい。

「自分でさっき来た道だよな?」

「来た道を戻るだけだぞ」

「薫子は恭介様のお姿だけを探してましたから・・・」

桜色染まる頬を両手でさわりながら薫子は長いまつげを伏せて顔を下に向ける。

今、ポッとなってる場合じゃねだろう。

飽きれたまま恭介はため息をつく。

下級生に告白を受けてる構図。

さっきから同級生の視線はそんな興味で二人を見つめてる。

「あの子かわいそう、振られちゃうよね」

「でもクールさがいいのよね。

モテるのに実際さ、恭介君、誰とも付き合ってないものね」

教室の中から聞こえてくる女子の声のほうがウザったく恭介は感じてきた。

このまま噂の種にされるのはごめんだ。

「こい」

教室から漏れる噂話に悲鳴が混じってざわつくのは無視するように恭介は薫子の腕を強引につかんで教室の目指して歩き出した。

下級生の教室には滅多に上級生が近づくことはないがこのクラスは特別。

道明寺翼と舞、美作佑。

この3人見たさに生徒が集まる。

相変わらずの賑やかさ。

恭介たちより先に帰りついた舞と佑は教室の中。

「教室に自分で帰れるようになるまで二度と俺の教室には近づくな」

「わかりました」

二度と来るなと念を押した恭介に薫子は嬉しそうな笑みを浮かべてる。

「今度はしっかり道を覚えます」

薫子に遠回しな言い方は通じない。

下手な希望を薫子に植え付けたことを恭介は悟ったのだった。