PHANTOM 2

一枚のうす~い紙からまたまた巻き送る珍騒動。

婚姻届けの次ぎが離婚届って・・・

この二人ならあり得ると思うのはなぜでしょう?

さて今回はどんな勘違いとトラブルが起きるのか!

久々に道明寺HD本社ビルを舞台に物語を進めてみたいと思っています。

黙って悩むのは俺らしくない。

感情のままに追求すればいいだけのこと。

生まれてからこの方躊躇したことなんて一つもない。

あいつのこと以外なら。

あーーーっ

たくっ!

俺をここまで悩ませるもの。

それはつくし、お前だよ。

俺の視線を避けるように狼狽えて隠したものはなんなんだ?

守秘義務

弁護士の仕事ならそれも仕方ないかと一度は納得した。

が・・・

あの後・・・

もう寝るって俺に背中を向けてさっさと寝息をたてていた。

お帰りの笑顔のあとの抱擁とキス忘れてるだろうがぁぁぁ。

あいつをそうさせたのはなんだ?

一緒のベッドに寝てのこの孤独感。

無視されてるような喪失感。

イラッとした。

こいつ・・・なんか隠してる・・・。

俺の勘がぴぴっと何かに反応してる。

俺に隠し事すること自体も許せねぇ。

おかげで寝れなかったんだからな。

朝起きたらあいつはとっくの昔に出社してた。

まるで俺を避けるように。

今から確かめてやる!

ガタンと大きく音を立てて引いた椅子から俺は勢いよく立ち上がった。

俺の前で今日のスケジュールを読み上げていた西田が不愛想な顔の眉間に眉を寄せる。

「どうかしましたか?」

その声は椅子に座れと促す態度でつぶやかれてる。

「何か悩み事でも?」

「これが悩んでるように見えるか?」

「機嫌がいいとはお世辞にも言えませんので」

西田がお世辞を言ってるとこ見たことねぇぞ。

「あいつ・・・なんか、俺に隠してるんだよな」

「つくし様がですか?」

感情の読めない能面な顔はここまで事務的な表情を一ミリも崩さずに俺を見てる。

「隠し事のない夫婦が本当にいると思いですか?

多かれ少なかれ胸に秘めて言えないことの一つや二つあるものですよ。

それも・・・

つくし様が相手してるのが代表ですからね・・・」

なんだよ。

その・・・俺に原因があるような言い方。

西田も思うとこがあるって雰囲気。

お前は言いにくいこともずばずば俺に言ってるだろうがぁぁぁぁぁ。

「俺はあいつに隠し事なんてねぇよ」

だからあいつにもそうしてほしいし、そうであってほしい。

あいつが悩むことは直ぐに俺がとりはらってやるつもりだし、あいつが悩む姿は見たくねぇしそのためなら何でもしてきたつもりだ。

あいつが俺に笑いかける表情は俺を幸せな気分になれる。

ただそれだけ。

この俺様がすげー安上がりな男になってんだぞ。

「昼休みになると代表が現れるから落ち着かないとか・・・

ついでにほかの従業員もざわついてますが・・・

依頼者が男性と不機嫌だとか・・・

あっ、つくし様の指導者が男性なのも嫌でしたよね?」

指を折るように次々と遠慮なく思いつくことを口にする西田。

「坊ちゃんのわがままは宇宙1でしょうからねぇ」

つくしに同情するって言葉で締めくくる西田。

その辺はあいつも俺に遠慮なく突っ込んでくる。

俺が言うことに負けてねぇし。

それを悩むことはねぇって思う。

暇ができると事務所に顔を出す俺に最初は驚いてたあいつも迷惑とかは言いながらはにかんだ笑顔を見せる。

「いい加減にして」とか言いながら案外昼休みの社員食堂で俺と過ごすの楽しんでる。

おかずを取り替えっこしたり、セフレサービスで並んでおかずを選ぶ俺の面倒をかいがいしく見てくれてる。

嬉しそうに俺の世話をやいてるぞ。

あっ・・・

セフレサビースって俺が言ったらおかずを落としそうになってつくしの顔が真っ赤だったが・・・

あいつの同僚も即座にその場から離れていった。

あれがダメだったとか?

「威圧的に迫っても本音はなかなか聞き出せないものですよ」

「お前なら聞き出せるんじゃねぇの?」

俺と西田の視線がぶつかって数秒の間を作る。

「ご自分で対処してください」

何も聞いてないの態度くるりと背中を向けて西田が俺の前から立ち去る。

やっぱ、ここはつくしに聞くしかない。

早く納得できなきゃ仕事に集中できそうもない。

あいつのあの態度一つでこうも落ち着けなく自分が情けない。

椅子に深く腰を掛けてもたれた背中。

大きく息を吐いてもう一度俺は椅子から立ち上がった。

西田も俺を邪魔する気はねぇよな?