ウエディングベルは二度鳴らす 番外編1

おはようございます。

今日のうちに書きあげようと思ったいちゃこら。

時間がなくて断念しました。

我が家は今日から連休突入です。

「わ~広い」

扉を開けた先にはシャンデリアの淡い光に照らされたリビングが広がる。

あのなっ。

そろそろ慣れろよ。

スィートルームに泊まるのはこれが初めてじゃねぇし。

結婚する前から俺んちに泊まってる。

無駄に広い家に住んでいるのにこの反応。

22歳までの社宅生活からはなかなか抜け出せないのもあいつらしいといえばあいつらしい。

一気にエレベーターの熱が抜けていく。

気をそらされたのはわざとじゃねぇよな?

すぐに復活させっけど。

3つの寝室は必要ないスィートルーム。

開いたドアの先に見えるダブルベット。

4人は寝れそうなビックサイズ。

これからの俺たちの夜は、そこから始まるはず。

期待してる俺は思春期のガキ並にワクワクしてる。

この部屋のキーをあいつから渡された時点で地に足がつかなくなって舞い上がってる。

天国に連れていくのは俺で連れていかれるのはあいつのはずで・・・

そう簡単に気が途切れることはない。

あいつの抵抗はいつものことで、そして、すぐに俺に流されて受け入れるパターンもわかってる。

無駄なことだと心のつぶやきながらもそれを楽しんでる俺がいる。

視線の先でつくしをとらえながら眺めながらくるくると変わる表情を楽しんでる。

なにも驚くことがなくなったあいつがようやく落ち着いたようで部屋の隅から俺のもとに持ってきた。

リビング中央にはつくしが弾けるはずもないグランドピアノ。

その上には艶やかな花束が置かれているのに同時に気が付く俺たち。

花束の中のメッセージカードを手に取ったつくしが強張った表情を浮かべる。

「この花束・・・」

言葉を遮るようにカードを取り上げた俺。

花束の差出人はあいつらの連名。

総二郎、あきら、類。

結婚おめでとうの文字。

これ!

わざとだろうッ!

二人の熱い夜に・・・

俺の手元を覗き込んでつくしが小さな声で文字を読み上げて真っ赤になった。

『俺たちこのホテルのバーで飲んでるから』

追伸の文字が続く。

『司がうざくなったら俺たちいることを思い出してほしい』

俺じゃなくこのメッセージはつくしに向けてのもの。

あいつらなに誘ってんだ!

「花沢類たちこのホテルにいるんだ。ちょっと、行ってこようかな?」

「本気か?」

焦った表情を見せるつくしを凝視する俺。

「昼間迷惑かけたし、このままだとからかわれそうだよね」

あいつらは迷惑だって思ってねぇし楽しんでるって思うぞ。

ここで俺たちがあいつらのもとに行ったらそれこそあいつらの思う壺!

行くつもりも生かせるつもりもねぇよ。

それにお前が恥ずかしいとか思うことを予測してあいつらが花束なんて送ってきたって思う。

そして俺がお前をあいつらのそばに行かせねぇってことも。

喧嘩腰に強引に威圧的な言葉でこいつを制したら絶対つくしは俺には向かうよな?

見下ろしてる俺になんで?の不機嫌になりかけた表情が俺を見つめてる。

今は、感情を落ち着けて冷静になるのが先決。

俺も成長したもんだ。

つくしを眺めながら穏やかな感情が胸の奥に流れ込む。

俺をお前から誘っておいて置いていくのかよ。

まて・・・

何かおかしくねぇか?

どうして・・・

あいつら・・・

俺たちがここに泊まるって知ってたんだ・・・

冷静になるとそんな疑問がふと浮かんだ。

このホテルの部屋のキーをつくしが持っていたことに俺が気が付いたのはついさっきのことだ。

「なぁ、今日ここに泊まること誰かにしゃべったか?」

固まった表情はほんの一瞬でぶるぶるとと顔を大きくつくしが横に振る。

「なんで、あいつらが俺たちがここにいること知ってるんだ」

「どうしてだろう・・・」

切れの悪い声。

あいつらにこれ以上邪魔させねぇけど。

「なっなによ」

一人掛けの椅子に腰を下ろして、頬杖をつきながらつくしの姿を上から下まで眺める俺。

それはまるで品定めをするような感情。

「誘ったのお前だよな?」

冷ややかに発した声はこの部屋から一歩も出すつもりもない感情。

「それは!

・・・・そうだけど・・・」

一瞬何か言いかけた声はそのまま喉の奥に押し込んでつくしが認めた。

そうだよ。

お前が誘ったんだ。

つくしの腕をとって引き寄せた華奢な身体はそのまま俺の膝の上に座るように位置を変える。

「もっと誘えよ」

耳元を滑る唇はそのままつくしの頬に触れる。

逃げるように浮き上がった腰。

もぞっと動くたびに生まれる刺激は官能的に雄の部分を刺激する。

何かに気が付いたような表情は瞳を潤ませて俺を見つめる。

「キス

しろよ」

俺からじゃなくつくしからのキスの催促。

それくらいじゃまだ誘ったことにならないけど。

牧野の両手がゆるゆると動いて俺の頬を挟み込む。

どちらから近づいたかわからないままに唇を重ねた。