PHANTOM 5(西田さんの坊ちゃん観察日記)

こちらのお話はドタバタ感があるすぎなような・・・

どうしようもないばかげたお話を書いてるとクールで大人の司君が恋しくなります。

どこにいるのかな?

きょろきょろ♪

探さないで~~~~~~~。(笑)

今回久々の西田さん目線のお話となります。

陶器のコーヒーカップから香り立つ芳醇な香り。

私が自ら厳選してブレンドしたコーヒー豆。

ドリップ式のコーヒーメーカーから抽出される液体。

特注のコーヒーメーカーはコーヒー本来の風味を最大限に引き出すゴールドフィルターを採用してる。

満足するコーヒーを代表にも味わってもらいたい。

そんなことがささやかな満足感を私に運んでくれる。

代表には珍しくコーヒーのお代わりの催促。

豆の違いにやっと気が付いてくれたのだろうかと少しうれしい。

「代表、お持ちしました」

デスクの上に置かれたコーヒーカップ。

皿の上のカップには口をつけてないのがわかる白いままの縁と減っていないコーヒーの量。

冷めたから飲めないなんて言いだすんじゃないでしょうね。

この豆が一体いくらするかご存知ですか!

この切り札はつくし様に有効でも代表には葉っぱで頬を叩かれた程度の衝撃を与えることもできないはずだ。

「先ほどのコーヒーも飲まれていないようですが?」

コーヒーの香りが湯気で広がる暖かいコーヒーを代表の前に差出し冷えきったコーヒーはトレーの上に引き上げた。

「・・・」

無言のままの不機嫌な色合いのままの鋭い瞳。

ちらりと睨んだような目つきでトレーの上の冷めたコーヒーを手に取り一気に飲み干してトレーの上にカップを戻す。

ガチャンと皿が大きく音を響かせる乱暴な置き方。

このカップもいくらかご存じで?

最近私もつくし様に感化されてる気がしてきた。

これで満足かの無言の威圧。

今日は朝から不機嫌でしたが・・・

ますます増強てるような気がした。

「つくし様には会えなかったんですか?」

就業時間内に代表がつくし様の事務所を代表が尋ねると迷惑だといいながらうれしいと思ってる本音がちらりと見えるつくし様の反応は微笑ましい。

思ったことを遠慮なくポンポンと言い合いするお二人を目撃した社員の評判も上々。

「代表も仕事以外だとガキなんだな・・・」

「奥さんと一緒にいると代表がすごくいい笑顔見せるのよね」

近寄りがたいといった感想は親近感に書き換えられている。

まあ・・・呆れられる前に私がおとめしてる現状をそろそろお二人に認識させる必要はあるが・・・

「お前に関係あるのか?」

ドスの効いた脅し。

その辺のチンピラが息巻いての威嚇よりはもう少し迫力あり。

チンピラに毛の生えた程度。

まだ本気の怒りの頂点までは70%の不足。

「悩み事でも?」

悩みがあっても私ごときに代表が話すとは思いません。

大体悩む前に速攻で動いて解決させるタイプ。

解決できないのつくし様がらみ。

「もし・・・これはあくまでも過程だぞ。俺の話じゃねぇからな」

念を押せば押すほど自分のことだと白状してるようなものです。

「突然離婚届を見つけたらどうする?」

「・・・・・」

「おい、聞いてるのか?」

「・・・なんとも、予想外の展開なもので・・・」

「だろ?ねぇよな?

あいつが俺と離婚したいとか思う自体おかしいよな」

「代表の話じゃないのでは?」

「・・・お・・うっ・・・そうだ あきらの話」

美作様は御結婚は決まってるようですがまだ結婚してません。

「離婚届を渡されたのですか?」

「いやあいつが・・・あきらがな、婚約者が持ってるの見つけただけ」

坊ちゃんがつくし様が持ってる離婚届を見たってことですね。

気が付かないふりをするのもつかれるものだ。

つくし様の仕事柄離婚届の一枚や二枚持っていてもおかしくないと思うのですが・・・

「そうですね。

離婚に関しては夫が気が付かないうちに妻がちゃくちゃくと準備を進めて、いきなりり離婚届けを突きつけるって話も聞きますからね」

代表をすぐに安心させるのは面白くない。

つくし様が離婚する気がないのは誰が見てもわかります。

代表を愛されてますから。

「心当たりはないのですか?」

「ねぇよ」

ないから困ってると焦りの表情からはもう完全に美作様をダシにしてることは抜け落ちてる。

この調子では仕事にならないですね。

数時間ほどほっといても仕事に支障はなかったはずの今日のスケジュール。

「話し合われたほうがいいのでは?」

「今アイツは仕事で外出中だ。帰ったらここに来ることになってる」

笑いをこらえるのには慣れてないのですから・・・

これ以上坊ちゃんと話してると吹き出しそうだ。

「つくし様の話をただ黙って、否定することなく聞くことが大事ですよ」

「黙って・・・うなずくだけだな?」

笑いをかみしめるように唇に力を入れるのを隠すようにうなずく。

もうだめだ・・・

「失礼します」

今の私の異変に気づく余裕は坊ちゃんにはないので助かった。

執務室から出てきてガチャリとドアを閉める。

「室長どうかしましたか?」

部下の一人が怪訝な表情で私を見た。

「何でもありません」

気持ちを落ち着かせるようにゆっくりと自分のデスクに戻る。

さて・・・

つくし様がここに現れた時に私は何をするべきなのだろう?

黙って暖かく見守らせていただきます。

しかし・・・

坊ちゃんの勘違いを知った時のつくし様の反応が見ものだな。