ANSWER 22

どうして舞を助けたのが佑じゃないのよ~~~

そんなジレンマが聞こえてきそうな・・・(;^ω^)

21話のお話で恭介君が主役級に躍り出てきました。

負けてられない佑君。

さぁ、次は君の番だ!

でも舞がそばにいないのよ~~~

佑君のそばにいるのはたぶんもう一人の彼女さ♪

「危ない」

舞だけを見ていたはずなのに・・・

よろけて目の前に飛び込んできた姿はこれ以上動けないというように立ちすくんで微動だにしなかった。

天井から崩れ落ちてくる破片はだんだんと大きくなり頭上に降り注ぐ。

彼女をかばいながらとっさに飛んでいた。

倒れこんだ俺が移した視線の先で滝のように粉々に崩れ落ちる壁。

舞をかばうように胸の中に押し込めてるあいつの背中に容赦なく落ちて舞い上がる噴煙の膜で見えなくなった。

「大丈夫か?」

「はい・・・助けてもらって・・・ありがとうございます」

遠慮がちないさな声。

涙くんだ瞳は痛みのためなのか恐怖のためなのか・・・

震えてる彼女を慰めるようにそっと肩に腕を置く。

「今は、驚いて痛みとか感じないかもしれないから、

ゆっくり身体を動かして怪我してるところがないか確かめよう」

「・・・っ・・・」

轟音が過ぎ去ったあとの静けさ。

身体を動かすとギスギスと体中が痛む。

手足が自由に動かせるだけまし。

立ち上がって見渡す周りには難を逃れた人々が確認できる。

これ以上ショッピングセンターが崩れ落ちそうな気配はない。

翼は槇に寄り添って肩を抱いている。

「恭様・・・」

はっと思い出したように本城が不安な声を上げた。

舞と大内がいたその場所は崩れた瓦礫の山。

ここが大きな爆音の発生個所だとわかる崩れ方。

賑やかなショッピングセンターの姿はどこにもない。

「舞!」

足を数歩踏みいれただけの距離なのに・・・

そこは運命だけではかたずけられない別世界は広がっていた。

「舞は?」

異変に気が付いた翼がそばに駆け寄ってきた。

「たぶんあの辺だと思う」

最後舞を確認した場所。

フロアーを飾っていたイタリア調の柱のオブジェがいくつも重なりあって倒れてる。

その周りを埋め尽くす瓦礫。

「佑、お前なにぼっとしてるんだよ」

強い口調の翼ががれきの山を取り除くように座り込む。

「バカ、よせ。

もし舞たちが下敷きになってたら、素人ががれきを取り除こうとして崩れたら危ないんだぞ」

直ぐにでもがれきを取り除きたい気持ちは翼と一緒だ。

「だからって、何もしないでただ見てるだけなのかよ」

「舞は大丈夫だ」

大丈夫じゃなきゃ困るんだ。

どうしてあの時、舞に手を伸ばせなったのか、後悔は果てしない。

がれきの下にいるはずの舞のそばに一緒にいてやりたい思い。

今の俺には何もできなくて無力。

名前を声がかれる限り呼んで舞の声が聞こえないか耳を澄ませる。

どんな小さな声でも聞き逃さないから。

返事をしてほしいと舞の名前を呼び続けた。

直ぐに警察と消防士の到着。

現場から遠ざけられる黄色いテープ。

重傷者から運ばれていく現場。

俺も応急処置だと頭に包帯を巻かれた。

頬にこびりついた血のりの渇きが随分と時間を経過したことを告げてる。

「早く助けろよ。

あそこにまだ舞がいるんだ」

手当てをしてくれてる相手にどなる声。

自分の怪我なんてどうでもよくて病院にという言葉に抗ってる。

何度もあの下にいる舞を助けろと叫んだ声。

シェパードを連れた数人が、がれきの山に向かっていくのが見えた。

シェパードの甲高い鳴き声と「いたぞ」の声。

どのくらいの時間を要したのか・・・

瓦礫の下から助けられた舞。

そして大内。

重なるように倒れこんで見つけ出された二人の姿は、確かにあいつが舞を守ってくれていた。

直ぐに運ばれた担架に乗せられて運ばれる舞と大内。

翼は直ぐに姉弟だと舞に駆け寄る。

「佑、大丈夫だぞ」

少し離れたところにいる俺に向かって翼が叫んだ。

直ぐに舞のところに行きたいのに足が動かなくて・・・。

顔を見て、息をするのを確かめてほっとしたいのに舞を見るのが怖くて・・・

ごめん、

君を守らないといけないのは俺なのに、あいつで・・・

無事ならいいんだ。

そうつぶやく声が強がりだって思える。

「佑」

俺を気遣うように何度も呼ぶ翼の声。

「一緒に行くぞ」

翼とすず3人で乗り込んだ救急車。

大内のほうには本城が付いている。

「舞、安心して眠ったみたいだ。意識もしっかりしてるし怪我も軽症だってさ」

「ほら、間抜けな顔で寝てるぞ」

少し土埃で汚れてるだけの頬は血色もいい。

無邪気に寝てるだけの様子の舞は小さいころのまんまの寝顔を見せてる。

「とんだ、災難だよな」

「本当にこれくらいでよかったよ」

舞の寝顔が俺たちを安心させてくれてる。

「君たち、両親に連絡したいので連絡先教えてもらえるかな?」

未成年の僕らにマニュアル通りの対応を見せる救急士。

「あっ、自分で連絡入れます」

やばいと翼が表情にそう浮かべておかしそうに笑った。

病院は大騒ぎになるかもな。