ANSWER 23

恋の行方はここからどう動くのか。

舞ちゃん次第って気もしないではないですが・・・(;^ω^)

ただいま舞ちゃんたちが運ばれた病院は大騒ぎとか?

「ただいま、私は爆発のおきた現場に着てます。

突然の爆音とともにショッピングセンターに響き渡った悲鳴。

この大きさで死者が出なかったのは奇跡としか言いようがありません」

聞きなれたアナウンサーの声。

テレビのスイッチを入れればどこのテレビ局も同じ内容の同じ場面を流してる。

視聴者からの提供だというそのビデオちょうど赤い火柱と黒い煙が窓から立ち込める瞬間が移しだされてる。

爆風によって飛び散るガラス窓の破片。

本当にこのくらいの怪我で済んだのは奇跡としか言いようがない。

打ち身と擦り傷程度。

それでも腕には白く巻かれた包帯とかすかに頬に残る擦り傷。

骨折してるんじゃないかと思うくらいに身体を動かすとずきんと痛みが走る。

「身を挺してかばってくれた男の子に感謝しなくっちゃね」

点滴の落ちる速度を調整しながら看護師さんがベットの上でほんの数分前に目覚めた私ににこやかに話しかける。

「タスクってうわごとで呼んでたけどその名前があの彼なのかな?

彼も足を骨折はしてるけど心配いらないから」

危ないって叫んで私のもとに駆けつけようとし佑は目の前で忽然と消えた。

私をかばってくれてたのは佑じゃなくて大内・・・先輩・・・

大内先輩も助かったんだ・・・

それじゃ・・・

佑は!翼は!すずは!それに薫子さん。

けが人多数・・・でも死んだ人はいないって言っていたニュース。

私たち全員無事なんだよね?

私のそばに佑がいないのが不安で心配になってどうしようもない。

身体の痛みなんてどうでもよくて、ベッドから下りて直ぐにでも探し出したい思い。

必死に起こした身体は思いとは裏腹に鉛のように重くて自由にならなくて言うことを聞いてくれなかった。

テレビの中じゃ事故か事件かいろんな憶測が飛び交ってる。

見つめていた画面の中に映りこむ人影。

「よかった。無事だったんだ」

頭に怪我をおってるとわかる包帯を巻いた佑は疲れ切った表情で私を見つめてた。

「ごめん、守れなくて」

そうじゃない、佑が声をかけてくれたからがれきの下敷きにならなくて済んだんだと思う。

「佑も怪我してるんだから、無理しちゃだめだよ」

「大したことないんだ、おおげさなんだよ」

ベッドの端に腰を下ろした佑がそっと私の手をつかむ。

「痛むか?」

「少しね」

心配してる不安そうな表情で佑が私を覗き込む。

「翼は?」

「あいつはぴんぴんしてる。一人で運を全部使い果たしたんじゃないか」

佑がクスッと表情を崩したことにホッとした。

「ここにいたんですね。美作君、大丈夫ですか?私をかばったためにこんな怪我までさせちゃって、ごめんなさい」

薫子はどう償えばいいのでしょう」

今にも佑の前に膝をつきそうな勢いで本城さんが飛び込んできた。

佑が私の前からいなくなったと思ったら、本城さんを助けたんだ・・・。

私は大内先輩に助けられるし・・・。

これが反対ならよかったのにね。

私をかばってくれたのが佑ならもっと私は安心できたのかな?

先輩、冷静で意外にやさしくて今回ちょっぴり見直した。

ちょっぴりじゃなくて私の先輩に対する認識は大いに変わった気がする。

冷たいんじゃなくて愛情表現が下手なんだと。

案外いい奴なのかも・・・。

「道明寺さんも大丈夫?痛くない?」

素直に心配してくれてる本城さん。

真剣なそのまなざしには全く曇りがない。

「こんな時は謝るんじゃなくてありがとうの言葉でいいんじゃないか。当たり前のことをしただけだから。

それより君の大事な恭様が隣の病室にいるから行ったほうがいいんじゃないか?」

佑の指先に力が入って私の手のひらをグっとつかみなおした。

それは何か思いを伝えるような、訴えるような熱を私に送り込んでくる。

佑こそ気にしなくて、謝んなくていいって思うよ。

目の前で怖がってる相手をほっとくような佑じゃないってことは分かってるから。

「恭様には追い出されちゃいました」

表情をわずかに曇らせた本城さん。

こんなに心配してる本城さんを冷たくあしらったんだろうな大内先輩。

「帰れ」って一言しか発してない気がした。

「でも、また行ってきますから。

冷たくされるのは慣れてますから」

にっこりと笑顔を作ってガッツポーズの本城さんはそう言って病室を出てった。

「何とかしてやりたい。なんて思ってないよね?」

「えっ?」

「今、本城さんけなげだなとか、かわいそうとか思ったんじゃないかと思ったんだけど」

じっと私を見つめる佑の澄んだ瞳。

まっすぐに見つめられると落ち着かない気持ちになる。

「翼、お前が付いててどいうことだ」

廊下に響く怒鳴り声。

制服のネクタイを引っ張られた翼は子ヤギの様だ。

「翼のせいじゃないでしょう」

パパの後ろからたしなめるママの声。

「お前もいたのか」

私のそばにいた佑に鋭い眼光のパパ。

慌てて佑の手のひらから自分の手のひらを抜き取った。

パパに気がついたかな?

「舞、無事でよかった」

パパの視線を遮るようにママが私を抱きしめてくれた。