ANSWER 24

院内騒然。

道明寺総帥登場。

たぶんこの後にはあきら君だけじゃなく総ちゃんも類もお見舞いに駆けつけてくれるはず。

病院前でテレビ中継していたカメラは事故よりF4の中継に切り替えるとかあり?

ジュニアたちは目を引くイケメンだし話題性は十分。あとは駿君だけが足らないなぁ。

「佑 君も怪我しちゃってるじゃない。無理は禁物よ」

「司も怖い顔してないで無事を喜ばなきゃ。親友の息子でしょう」

「あきらの息子ってだけならいくらでも可愛がってやるぞ」

可愛いがるって言葉の中に脅しの意思が宿ってる。

最近威圧的言葉にも慣れてきた気がするのは喜ばしいことなのだろうか。

「あのね、大人げないから」

「お前、誰に向かって言ってんだ」

「私の最愛の人」

満面の笑みにぐっと言葉に詰まった気まずい表情が見つめ合う。

道明寺つくし 舞の母親にして道明寺総帥夫人。

人のいい明るい笑顔はその場をすぐに和ませてくれる。

舞の性格の大半はこの母親から受け継いでるって思う。

道明寺総帥を黙らせることができる唯一の女性、いや人間。

何度目撃してもすごいって感動してしまう。

「澪の次は弟がいいな」

さっき睨まれてへこんでたった思ったのは俺の勘違い。

腕を背伸びをするように伸ばして頭の後ろで翼は腕を組む。

翼の親をからかうような態度、実の親とはいえあの道明寺司だぞ。

穏やかな俺の親父でもからかうような場面は出くわしたことがない。

「ここにいたのか」

トントンと形だけの開いたドアの壁をノックする父さん。

「もう、心配したんだから」

その後ろでは母さんが今にも泣きそうだ。

「寝てなくていいのか?」

「大丈夫、痛みもないしね」

「でも3針縫ったって聞いたわよ」

確かめるように伸びてきた母さんの指先はそっと包帯の上から傷に触れる。

「イタッ!」

「やっぱり痛みあるじゃない」

「それは母さんが触るからだろう」

僕の声にくすっと笑みを浮かべたのは舞。

「本当にみんな助かってよかったよね」

「翼だけ最強の強運持ってるって証明できたし」

「あのな、俺は俺ですずを守ってんだ。

偶然何も俺たちの上には落ちてこなかっただけだろう」

「強運じゃなくて悪運かもしれないぞ」

父さんはなぜかいたずらな笑みを浮かべて翼を見てる。

「舞が怪我して翼がかすり傷一つ負ってないなら、司に怒鳴られたんじゃないのか」

「さすが、わかってるな。

同じ子供なのに反応が違いすぎて、俺がぐれたら全部父さんのせいだから」

「お前が重傷だったら俺が看病してやったぞ」

ぐれるんならぐれろの突き放した言葉を付け加えても温かい親の情が垣間見える関係。

この親子関係が最悪になることは今も未来もないって思う。

「それは辞退します。どうせなら母さんのに看病してもらいたいに決まってるよ」

「つくしは澪の世話で疲れてんだよ」

「相変わらず何かといちゃってんな」

「おい、あきら、誰がいちゃついてんだ」

「自覚ないのも相変わらずかぁ」

涼やかなオーラで入り口に立つたのは花沢のおじさんと西門のおじさん。

やけにその後ろが煌びやかに見えたのは病室の前に群がる熱気の影響。

F4勢ぞろい。

それも誰でも簡単にはいれる警備の薄い病院内。

色めき立つ女性。

看護師を含め病院内は女性の職員が多いからなおさらだ。

「牧野から泣きそうな声で連絡をもらった時は心配したけどね」

落ち着きかけた舞の父さんの眉間に寄せる眉が吊り上がる。

「お前、類に連絡したのか?」

F4の中でもこの二人の関係は特別なんだと父さんが言っていたことを思いだした。

「だって・・・不安だったんだもの」

「俺だけに連絡入れれば十分だろうが!」

「司を待ってる時間が長くて、落ち着かなくて、なんとなくね・・・

心配事はいろんな人に聞いてもらったほうが安心できるって言うじゃない」

「本当に無事でよかったよ」

場の空気を変えるように父さんが危うい空気の中に自ら入り込む。

「佑 、まさか病室大部屋にいるとは思わなくて探したんだぞ」

「多くのけが人が運ばれてきたからね」

「特別室に変えるとか気を利かせなくていいから。どうせ一泊の入院みたいだし」

二人部屋に大内と俺。

病院サイドとしては同じ高校の制服を着ていたということで気を利かせてくれたらしい。

どうしてあいつと一泊同じ部屋に泊まることになったのか。

不思議な因縁を感じていた。

今は個室に移るよりその部屋にいることのほうが大事に思えてならなかった。