迷うオオカミ 仔羊を真似る 11

この物語の影の主役は間違いなく西田さんです。

となると・・・。

この方の坊ちゃん日記も気になるところです。

あとはF3の登場はあるのか!

つくしの真似ならしっかり牧野の特徴をとらえて真似しちゃう司よりうまい類。

シェーカーを振る姿は抜群に様になるあきらくん。

あきら君の作ったカクテルに酔いながら総ちゃんの熱いまなざしで口説かれるなんて最高だなぁ。

これじゃ終わんないよ~~~~~。(;^ω^)

「なんのつもりだ?」

「代表の秘書のつもりですが・・・」

ホテルロビーで、とぼけた顔で俺を出迎えたのは西田。

相変わらずの表情の読み取れない澄ました顔はおもしろくもなんともない。

親父ギャグのほうがまだ笑えるぞ。

「俺の視察場所に牧野がいるのが偶然だなんて言って俺を笑わせるなよ」

静かに低い声を唇からゆっくりと吐き出す。

道明寺系列のホテルでバイトを雇うってこと自体が怪しいんだよ。

しっかりと教育を受けて配置されてるはずの従業員。

夏休み短期集中のバイト生を雇うわけはない。

それに結局視察なんてできてねぇし。

俺は牧野の代わりにウェーターをさせられて、興味もねぇ女に口説かれた。

それに牧野が怒って、拗ねて、見せたジェラシー。

あんな牧野も悪くない。

あいつおとなしく俺が迎えに行くの待ってっかな。

「代表、何かいいことでも?」

「何でもねぇよ」

俺の頬のゆるみの理由は気が付いてるのに気が付いてねぇ態度。

この後忙しくスケジュール入れてるとかあったら殺すぞ。

「この後は7時からホテルのレセプションの予定が一つあるだけです」

俺の殺気を感じても脅える様子は皆無の西田の冷静な声。

まだそれまで3時間はある。

「それまでは、まじめに視察してください」

ホテルのプールで俺はいつもよりマジに仕事してたぞ。

俺の反論なんて聞いちゃいない態度で西田は他人を決め込んだような顔で俺の横を通りすぎる。

お前がいると俺の正体がばれる確率は格段に上がる。

道明寺代表の俺のそばには必ずいる西田。

西田は入国審査の職員みたいなもの。

こいつの前を通らなきゃ俺には行き着けない。

だから今日は俺から離れたところでこいつは目を光らせてる。

「レセプションにはつくし様を同行されますよね?」

馬の鼻先にたらされた人参的な響き。

ここで嬉しそうに返事なんかするかよ。

「別に、どうでもいいけど。

あいつを無理させるなって言ってた割にはいろいろやらせるんだな」

西田が言葉に詰まるところを一度は見て見たい。

「内緒で働かれるより目の届くところにいてもらうほうが代表も落ち着かれるのではないかとの配慮です」

その配慮の中に俺の仕事のノルマを上げるって嫌な計算を絶対してるだろうが。

「西田、俺に本気で視察させるつもりあったのか?」

「もちろんです」

俺の横を通りすぎた数歩先で西田が足を止めた。

コツンと靴音を立てた足元がぴたりと合わさって止まる。

そこにある空気がぴたりととまったような妙な緊張感。

西田の次の言葉に聞き耳を立ててる俺。

「まさか、代表があんなにうまいとは意外でした」

うまいって・・・なんだ?

それ・・・

視察に関係あるか?

少し落ちた西田の肩がわずかに上下して震えてるのが見えた。

「接待が得意とは・・・

日頃の坊ちゃんからは予想もしてなかったので・・・」

「あれは、俺が牧野のやってることを真似しただけのことだぞ

あんなの簡単だろう」

思惑を隠して裏を書く商談を進める普段の仕事と比べたら簡単じゃねぇか。

「代表のストーカーも役に立つことがあるとは思いませんでした」

誰がストーカーだッ。

「コホッ」

小さな咳払いのあともわずかに肩が震えてる。

西田にしたらすげー笑ってるんじゃねぇの?

声をかみ殺してるのか笑い声は全く漏れてこねぇ。

今のお前は俺を褒めてるのかけなしてるのかどっちだよ。

「つくし様のことはお任せください」

そのまま振り返ることもなく西田流の型にはまったピンと背筋を伸ばした歩き方でホテルの奥に消える。

きっとまたどこかで俺のこと見てんだよな。

視察しろっていうんなら視察してやろうじゃねぇか。

西田が満足する以上の結果を見せつけてうならせてやるよ。

「司、何してんだ」

西田のいなくなった方角を睨みつけてる俺に聞きなれてる声。

「お前らこそ何してんだ?」

「何って、仕事にきてると思うか?」

思わねぇよ。

ラフな服装に総二郎とあきらの横にはさっきナンパしたって感じの女を連れている。

少し後ろのほうに類もいるのが見えた。

「牧野はいないの?」

あいさつもなしに牧野の姿を確認する類。

お前らに牧野がどこにいるのか教える気はさらさらない。

「俺は仕事で来てるんだ」

「その格好でか?」

スーツを脱いでこいつらよりラフな夏の装いの俺。

ポロシャツに細めのスラックス。

ついでに同じユニホームの職員がちらほら。

牧野の代わりの手伝いから着替えさせられて、その後、私服に着替えるの忘れてた・・・。

「そうだ、たまには下々の仕事つーのを経験しないとな」

「司がか?」

驚くというよりは冗談いうなの笑い声が響く。

いるだけで目立つのに、楽しそうな笑い声は注目浴びすぎだ。

この状況じゃ俺のことがばれるのは時間の問題だ。

ここから内緒の視察なんてできるわけねぇよ。

こいつらと一緒に時間をつぶすか・・・

どたどたと地響きが響くような騒然さがホテル内に響く。

慌てて俺たちの元に走ってくる支配人の姿が見えた。

拍手コメント返礼

りり 様

支配人が出てきたら司ももうお忍び視察は無理でしょうね。

このあとはムフフな予定♡