迷うオオカミ 仔羊を真似る 13 (完)

昨日はちょこっと創作意欲が落ちてると書いちゃいましたが、そのあとたくさんの励ましメールをいただきました。

何事もなく平穏無事に過ごしておりますのでご心配おかけしたことを申し訳なく思ってます。

ただ単に去年までは書かなきゃ眠れない日記みたいな感覚で書いてたんですね。

今年は春にバタバタと忙しくて一か月ほどはほぼ更新が途絶えてしまいました。

花男の二次を書くマスターさんも増えてきたのでしぼちぼちでも大丈夫かって気になったんです。

半分はやめてもいいかなって本気で思っていました。

常連さんとの某所での楽しいやり取りがなけれフェードアウトしてたかもしれません。

でもね。

花男に興味ない方が見たり聞いたりしたらどうしようもないやり取りがおもしろくて楽しくてしょうがないのです。

もち某アイドルグループの話題でも盛り上がってます。

今回はPWのやり取り一度だけの方からも大丈夫ですかとメールをいただいて感激してます。

大丈夫です!

夏の暑さにも負けずに頑張ります。

毎日の更新は無理だなぁって感じながらもマイペースで頑張て6周年を目指します

「司が牧野の代わりに働いたって、本当?」

「ちょっとだけどね」

首を少し襟元にひっこめるような仕草で類からわずかな距離をとろうとする牧野。

そのくらいじゃ大した距離はとれねえぇよ。

「トラブルはなかったんだ・・・」

疑わしい目つきで総二郎とあきらが俺に視線を送る。

「それがね、すごく慣れてて愛想よくて、失礼しましたとか、御用があればおよびくださいとか言っちゃってさ」

用がなくても呼ばれてたけど。

最後のセリフはほぼ独り言で唇を噛む。

俺のことほめてるようだがほとんど愚痴にしか聞こえねぇ。

「司、俺たちにも頼む」

からかい気味のあきらの声

「俺はもう終わったんだよ」

誰がお前らに飲み物持ってくるかっ!

「それなら、牧野に頼むか」

「でも、もう忙しそうに働いてるよ」

俺らの視線の先で忙しそうにテーブルの合間を歩き回ってる。

「牧野見てるとさ、ほっとするよな」

「あの人なっこい笑顔はこっちの警戒心も解きほぐすからな」

「あれを本当に司が真似たのか?」

また疑わしい目が俺を見つめる。

「あそこまで、間抜けな顔してねぇぞ」

そう言いながら俺の一番見たいあいつの無垢な笑顔はそこらじゅうにふりまかれてる。

振り向いた牧野が今日一番の輝く笑顔を俺に向けた。

「牧野さん、こっちはもう上がって、エステのほうに行ってくれってさ」

エステですか?」

カウンターから出てきた高松。

エステの理由がわからきょとんとした表情を見せた牧野。

ちらりと俺のほうに向けた表情は納得の言ってねぇって表情。

「行けば、わかるから」

高松の視線をなんとなく感じてる。

あいつ・・・

まさか・・・

牧野がエステに行く理由はこれからの始まる予定のレセプション。

その会場に俺は牧野をパートナーとして同伴するつもりだ。

牧野の準備は西田がぬかりなく進めてるって思う。

「道明寺、そう言うことだからあとでね。

じゃぁね」と俺たちに言い残して牧野はホテルの中にかけていった。

あいつ、これから自分が全身綺麗に磨かれるって分かってっかな?

じたばたしてるあいつを想像すると自然と笑いがこみあげる。

「先ほどは失礼しました」

対等な物言い丁寧に変わって高松が頭軽く下げる。

「お前、西田の部下か?」

「西田さんはあなたですよね?」

類や総二郎、あきらと一緒にいる俺を見てぜんぜん驚いてねぇやつ。

俺のことを最初から知っていたとしか思えない。

「何か御用がありました。およびください」

俺の問いかけには答えるそぶりも見せず高松が仕事に戻っていく。

西田がなんの警戒もなく牧野をバイトにさせるはずがないってことか。

「あいつ・・・誰?」

「ここの授業員じゃねぇの?」

あとで西田にしっかり報告させなきゃな。

「それより、しばらくお前ら俺につきあえ」

今日はとことん付き合ってもらうからな。

牧野の準備ができるまで。

「すごい・・・昼間の雰囲気とは全然違うね」

色づいた原色のいくつもの光が重なって、プールの水の中に浮かぶ幻影。

噴水で変わる水のラインが鮮やかな水の花火となって闇の中に光の絵画を描く。

「今、泳いでも楽しそうだよね」

ガラスの透明な壁の向こう側を見つめながら牧野の表情が輝いてるのがわかる。

「お前、プールより、こっちの料理じゃねぇの?」

会場のテーブルに用意されたホテルの料理長が腕を振るった料理が並ぶ。

レセプション会場は新しく改築したホテルの印象を鮮烈に印象付ける大事な場だ。

牧野の腰に回した腕に感じる温もりと肌の感触。

もっと感じたくてもっと寄り添うようにと腕の力を入れてしまう。

「どうして、あなたがここにいるのよ!」

聞こえた不愉快なヒステリックな高い声。

目の前にいたのは昼間、牧野をさげすんで乱暴に扱っていた女。

「何か、問題でもあるのか?」

俺としては静かな対応。

これ以上牧野に何か言ったら抑えようがない。

牧野の腕が俺の上着をギュッとつかんで上目づかいに俺を見てる。

ダメッ!

我慢してと必死な形相。

俺よりこの女のほうが今にも食いつきそうだけどな。

「問題って、おおありでしょう。

ここはあなたたちが来るような場所じゃないんだ・・・か・・・ら・・・」

ようやく俺が誰だか気が付いたようで、血の気が顔から引いてくのがわかった。

「どうかしましたか?」

騒ぎを聞きつけてやってきたのはフロアーマネージャー。

「気分が悪くなったから帰るそうだ」

本当に倒れこんだ女はフロアーマネージャーに抱きかけられるように会場の外に運ばれていった。

「脅かし過ぎなんじゃないの?」

「俺はなんもしてねぇけど」

女が消えてった方を心配そうに眺めてる牧野。

「お前、自分にされたこと忘れたのか?」

「忘れたわけじゃないけど・・・

もっと我儘で、自分本位で傍若無人なやつ一人知ってるし」

「誰だよそれ!」

「お前だろ」

俺の肩に腕を置くようにして乗っかってきた総二郎。

傍若無人て・・・俺か?

「昼間、牧野にクレームつけてたってあの女だったんだ」

「もう二度と、華やいだとこに出てこれないんじゃねぇの?」

「手加減しろよな」

いつの間にか俺たちの周りには類も総二郎もあきらも集まって高校時代を思いだす。

「確かに、司と比べれば、たいていのことは我慢できるよな」

「司の場合は気分次第でどうなるか分かんなかったし・・・」

「次元が違うだろう」

「一緒になって私をいじめてたのは忘れてないから」

和気あいあいと話してるその中心は凶暴な俺の話題。

そこまでひどかったか?

否定できねぇか。

「お前ら、これ以上俺たちの邪魔するな」

これ以上こいつらといて牧野が昔のことでグダグダ言いだして迫れれたらたまらない。

「抜けるぞ」

「え?でも?道明寺主賓でしょう?」

「婚約者のいる俺よりあいつらのほうが気になる招待客のほう多いんだから大丈夫だ」

「それじゃ・・・わかった」

照れくさそうにほほ笑んだ牧野が俺の手をギュッと両手でつかむ。

「行こう」

「おう」

牧野が俺を引っ張って会場から離れて・・・

って・・・

俺らが今日泊まる部屋はそっちじゃねぇよ。

ミュールを脱いで裸足になった牧野は靴を片方づづ左右に持ってプールサイドを歩く。

わずかにそよぐ風が水面に浮かぶ月の形を漂わせる。

「昼間の雰囲気とはまた違うね」

「まるで、昼間見た道明寺と今の道明寺みたい」

「俺は、俺だろう?」

牧野の横に肩を並べて一緒に眺める水に映る月。

「それはそうなんだけどさ・・・」

「道明寺が、ほかの人にやさしくするのを見て、胸がモヤついて落ち着かなくなるんだもん。

なんだか、道明寺と一緒にいすぎて欲張りになってるっていうか・・・我儘になってるって思った」

「それって、俺を好きだからだろう?」

視線を下げた先で大きく見開いた瞳が俺を見つめる。

少し揺らいだ瞳。

照れる色合いを浮かべてわずかに開いた唇。

「お前の欲張りや我儘なら全部受け止める自信あるけどな」

指先が牧野の頬にそっと触れる。

「道明寺・・・」

え・・っ!

おっ!!!

華奢な肩に腕を回した途端揺らいだのは俺の瞳。

「うっ」

水しぶきを上げた俺たちは水面に映った月を壊すように重なって落ちた。

「もう!今日に二度目」

ずぶ濡れの俺たち。

髪の毛からしずくが牧野の鎖骨に落ちて流れる。

「今回は、下着透けてないから」

怒ったと言葉じゃなく牧野が手のひらですくった水が顔を狙う。

今更濡れても大したことじゃない。

「牧野・・・」

もう一度水をかけようとした腕をつかめて引き寄せて抱きしめる。

黙りこんだ口元。

見つめ合った瞳はどちらからともなく瞼を閉じた。

このお話の番外編『西田さんの坊ちゃん観察日記』はこちら

限定記事まで行くつもりだったんですが・・・ (;^ω^)

ひとまず終わりということで・・・

あとは夏の終わりに期待してお待ちくださいませ~~~~~~。

拍手コメント返礼

m 様

おとなしい司よりアツイ司のほうが確かにドキドキしちゃいますよね。

寂しいって気持ちも分かります。

この後は俺様な司で~

やなぎ 様

お久しぶりです。

いや~うれしいですね。

ただいま花男二次も盛り上がっていますのでそちらに負けないように自分のペースを保ちながら続けていけたらと思っています。

りり 様

今回はほかでは見れない司を想像して接待までさせちゃいました。

片膝ついて「お待たせいたしました」なんて言う司を西田さんが見ていたとしたらどう評価するんでしょうね。

西田さん日記はこの後で~♪

アーティーチョーク 様

何とか書き終わることができました。

まだmだ書き足らないんですけどね。(;^ω^)

高松さんの正体微妙にまだ隠れてますよね。

誰なんだろう?

この疑問は次回解決♪

miho 様

コメントありがとうございます。

スィーツにたとえてもらえるだなんてうれしいです。

別腹で満腹感を味わってもらえるように更新していきますね。