DNAに惑わされ 50
このお話も50話の大台に乗りました。
うっ・・・
終わるきっかけが見つからない。
そろそろ二人の関係を深めたい夏が真美氏登場で遠ざかった気がします。(/_;)
謝れって・・・
誰でも会えるわけないって・・・
このお方はって昔の時代劇の決め台詞を連想させる。
土下座をする必要のない相手は僕の父親。
頭を抑えるなッ。
父親譲りのくせっ毛はくじゃくじゃにされたら後が大変なんだぞ!
さっきから必死で笑いをこらえていた鮎川の目は今にも涙を流しそうだ。
「もうだめかも・・・」
僕の肩に手を置いて背中に鮎川の額がコツンと触れた。
僕の正体がもうばれるっていうよりは笑いが我慢できない意味のダメ発言。
今この状況で状況が今一つ呑み込めてない僕の両親。
状況を十分に把握しているのは僕と鮎川の二人だけ。
青葉の父親は顔色を無くし、その血行を奪ったように朗らかな青葉の母親。
出会ったころから母さんにべたぼれの父さんがほかの女性に興味を持つはずがないのは小さいころから二人を見てる僕が保証する。
僕のことに気が付いてないのは青葉の母親も青葉と一緒だと気が付いた。
ほんとまっすぐ一線しか目にいらないってとこ似てるよ。
それは僕と父さんの容姿が似てる以上のかもしれない。
自分でばらしたほうが精神的に楽かもしれない。
「あのな、この人僕の父親だから」
驚くというよりは間の抜けた表情を青葉が見せた。
フッと口角を上げてつく溜息。
「おい、駿」
駿ッて・・・
いつもはおいとかお前って呼ぶことが多いやつ。
呼んでも今まで道明寺だったろう。
ポンと両肩におかれた青葉の手のひら。
それは落ち着けとでもいうような見下げられてる感じ。
「苗字も一緒だからって無理するな。
お前、結構この人に憧れてんだろう。
だから見た目も似せてるんじゃないのか」
似せてるって・・・
耳元で僕にしか聞こえないような小さな声は自分の考えを確信してるように憐れみと同情を同期させた笑みを浮かべてる。
似せてんじゃないぞ!
生まれ持ったものだ!
もう・・・
別にいいかな。
青葉の好き勝手に思わせていても大した弊害にはならないだろうしな。
あきらめの境地に落ち至ったのは父さんと母さんの未だに変わらないいちゃこらぶりを見せつけられて以来の気がする。
気が付くと僕を気にするように見つめていた父さんの視線は今は母さんに集中。
「相変わらずなのね」
にっこりと笑う母さんの目は笑ってない。
「もう、牧野さんも変わらないわよ私には負けるけど」
その変わらないは見た目じゃない気がする。
父さんは父さんでこめかみに青筋が立ってるし・・・
母さんを卑下する態度を見せる相手には人一倍敏感で残虐。
「駿、司たちの一緒にいたんだ」
僕の隣に並ぶように現れたのは美作のおじさん。
「ねぇ、大丈夫なのかな・・」
助けを求めるつもりで眺めた美作のおじさんは余裕のほほえみ。
「心配するな。あれは牧野の手だから」
「手?」
「ああ、牧野が司より先に攻撃したほうが害は少ない。
司も牧野を慰めに回るから意外と早く型が付くんだよ。
あいつら昔からの知り合いみたいだし大丈夫なんじゃないか」
ほっとけって態度も美作のおじさんだから安心できる。
「せっかくだから二人で楽しめよ」
ウインクしてにこやかな笑みを浮かべるおじさんに周りの女性の熱は一気に上昇したのが見えた。
鮎川はどうだろう・・・
気になるのはいまだに若い子も憧れるF4の伝説は色あせてないから。
鮎川は・・・
まだ笑ってた。
こんなに無邪気に無防備に笑う鮎川を見てると自分の胸も躍るような感覚に包まてる。
君が笑うならピエロにだってなれる気がするよ。
「駿君探したんだから」
きゃききゃぴと聞こえた声は顔の下で止まって右手にドスンと感じた重み。
「河合・・さん・・・」
映画で共演した河合香住。
「やだ、他人行儀に呼ばないで香住って呼んでくれないかな」
V字の胸元から見えた胸のライン。
いまその膨らみはギュッと僕の腕に押し当てられてる。
そこから腕を抜こうとする僕に離さないの意思表示を見せる河合さん。
「さっきも、彼女と一緒にいたよね」
ちらりと河合さんが鮎川に向けた視線。
「誰?」
訪ねた声は聞き取るのがやっとの小さな声。
「彼女ですけど」
河合さんの声より一回り大きな声はいつもの鮎川の声よりわずかに低い。
にっこりと微笑みを浮かべたその奥に青白い炎が見えた。
拍手コメント返礼
りり 様
ここはびしっと司かつくしが息子だといわなきゃ伝わらないような気がします。
駿君ただいま青葉どころじゃなくなってるでしょうけどね。
アーティーチョーク 様
どうしようもないあほな脇役がいるから盛り上がるわけですが・・・(;^ω^)
将来の発展は望めそうもないですけどね。