PHANTOM 26

離婚の危機に焦っていた司君は今いずこ?

つくしの持つ封筒は離婚届がラブレターに変換されて、たぶん熱烈なものを想像中になってるのか・・・

でも封筒の中見は婚約時代に外国で一緒に見た舞台のチケットですから~~~。

チケットのこと忘れてる雰囲気がするのは私だけかな?(;^ω^)

路上で抱きしめられるの今でもすごく恥ずかしい。

人の目を全く気にしない道明寺は自分の思ったままに行動するからこんなこともしばしば。

手をつなぐとか、腰を抱くとか、そんなカップルはちらほら見られる。

でもね速足で歩く人がちらほら見てるってわかる中抱きしめられてるのは私たちだけ。

道明寺の胸元に顔を押し付けてる格好の私と私の肩に感じる道明寺の吐息。

この状況じゃ抱き合ってるのが世間で名の知れた道明寺司だと気が付く人はそこまでいない気がするからそのままおとなしくしてる。

下手に騒いだら道明寺の顔がまるわかりだもの。

でも・・・

デートって何よ。

そういえば最近二人で街の中を歩くってこともなかったよね。

トクンと聞こえた道明寺の心臓の音。

「仕事は忘れろ」

「俺が忘れさせてやるよ」

「これでも帰りたいか?」

三段階のセリフで丸め込まれた気がする。

道明寺に会社で追われたときよりも心臓がドキドキしてる。

どうしたら私が離婚を考えてるって思えるのだろう。

高校を卒業して婚約した。

大学を卒業して結婚した。

何年も一緒の時間を過ごしてる幸せな記憶。

毎日一緒のベッドに抱きあって眠ってるのに、今道明寺に抱きしめてるだけでこんなにドキドキしている。

私と道明寺が別れるなんて絶対ありえないって思えるのに。

私が離婚を言いだすなんて思ってた道明寺になんとなくムカついてきた。

離婚届の勘違いをした言い合いは私が悪いって結論で終わったことを蒸し返したくなってきた。

「お前、悩んでねぇよな?」

腕の力を抜いた道明寺はそのまま私から離れてわずかばかりの距離を置いた。

ガードレールに腰を下ろして車道に背中を向けた姿で私を見つめる真剣なまなざし。

「さっき、お袋が言ったこと気にしなくてもいいからな」

お母様が私に代わりを務めてもらいたいって言った。

私はそれにご期待に添えるように頑張りますって答えた。

道明寺はそんなことを私に求めるなって感じで乱暴だけど道明寺なり私を守ってくれたんだって思う。

だから私も頑張るって答えたんだけどな。

「今までお前が頑張りすぎるほど頑張ってるのを見てきてっからよ。

お袋の無茶ぶりにつきあってたらつかれるだけだぞ」

「俺は今のお前で満足してんだから、これ以上頑張る必要はないって思ってる」

道明寺の語り掛けるような声。

道明寺が腰を掛ける薄汚れて色あせてるガードレールが別物に輝いて見える。

「頑張りすぎて俺と結婚したこと嫌になってねぇかとか疲れてねねぇかとか考えたりして・・・

今回も変な勘違いしたようなわけだ」

わけだって、最後の威張った言い方が道明寺らしい。

笑いたいのに泣きたくなる気持ちは道明寺のぶっきらぼうな声もジンと心に沁みこんでくるから。

「それは、それでプレッシャーなんだけど」

足を一歩踏み出して道明寺に歩み寄る。

伸ばした腕に気が付いた道明寺の指先が私の指先をなぞるように触れる。

そっと撫でるように触れる指先の温もりはそのまま道明寺のやさしさが沁みいるよう。

目じりの下がった道明寺の顔の照れくさそうな顔。

「俺以上に愛せってプレッシャーなら与えても文句ねぇよな」

照れ臭そうな表情は一瞬。

横柄で傲慢で自信に満ち溢れてる道明寺に戻った。

「なんだか、おなかがすいてきたかな」

「今食ったばっかだぞ」

「あんまり食べてないの知ってるでしょう」

思いっきり明るい笑顔で道明寺を腕をガードレールから立ち上がれと引っ張った。

拍手コメント返礼

りり 様

まだ勘違いが継続中。

つくしちゃん司が望むラブレターを書くことができるのか!

もうすっかりわされてたりするかも~。