PHANTOM 27

この後何かが起こるとしたらなんだろう・・・

邪魔をするとしたら誰?選手権!

堂々一位を獲得するのは西田さん!葉っぱコンビ!

意表をついて甲斐君!

それとも公平とかいかが?

司が喜ぶ甘い恋人の時間のご褒美も捨てがたい。

でもいちゃこらは『迷うオオカミ~』で書いちゃったばかりですしね。

毎日でもいい?

連続だとどのくらいかけるのだろうか・・・(;^ω^)

どんな高級料理よりも数百円のハンバーガーを頬をほころばせてパクつく女。

「おいしい~」

その言葉も窓際の席に座って3度聞いた。

「食べないの?」

「食っていいぞ」

遠慮のない勢いで伸びてきた手はまだ包装をといてない俺のチーズバーガーをUFOキャッチャーのアームのようにガシッとつかんだ。

窓に映るつくしの顔も食欲旺盛。

「ついてる」

口元に伸ばした指先が救ったケチャプソース。

ぺろりと舌でなめて見せた俺にドキッとした表情で慌てて口元を確かめる。

「もう、ついてねぇよ。

しかし、うまそうに食うよな」

道を隔てた向こう側には別なバーガー店。

どちらも客足が途絶えることはない。

安いが人気の秘密ってことを理解したのはこいつと付き合いだしてから。

1円とか10円の安さでものを選ぶ感覚はいまだに理解できないところ。

それでもこいつの好きなようにやらせてるのは、ホント、嬉しそうな表情をこいつが見せるから。

ファーストフード店に入ったのは何か月ぶりだ?

俺一人じゃ絶対にいらないけどな。

「今度、お持ち帰りで買ってきて」

そんな無謀なお願いを俺にしたことをすっかり忘れてるだろう。

俺も忘れてたけど。

忘れてたといえばこいつを追いかけていた原因。

「そろそろ、出せ」

つくしの目の前に上に向けて差し出した手のひら。

考え込んむ瞳がじっと俺の手のひらを見つめてる。

「だせって、もう食べちゃったもん」

手のひらから上げた顔は舌を出して口の中を俺に見せる。

「じゃねぇよ」

一度やるって言ったものを取り返すようなこと俺がするか!

「俺が見たいのは、お前が俺に渡さないと守っていた封筒」

「封筒・・・?」

すっかり封筒のことは忘れてるって表情が数秒続く。

「ラブレターだよ」

「ラブレター!」

高めに頭の先から出たようなすっとんきょうな声。

自分の声の大きさに驚いたようにつくしが両手で口をふさいだ。

もう遅いって。

周りの客が振り返ったのはほんの一瞬。

直ぐ様「いらっしゃいませ」の声と注文を受ける店員の声が聞こえる店内の日常の騒がしさに戻る。

「あっ・・・ラブレター・・・ね」

つくしの目の前で手のひらを数度上下させて催促する俺に途切れがちな声と遠慮がちに見上げた瞳。

「実は、これがラブレターじゃなんだよね」

はぁ?

思ったよりがっくりした感情でわかる俺のショックの度合い。

「まあ、ラブレターっていえばラブレターといえなくもないんだけど・・・」

どっちなんだ!

煮え切らない態度に苛立ちを隠せなくなった。

「お前、俺をバカにしてるのか?」

テーブルの脚を軽く蹴ったつもりなのにテーブルが震えてカチャリと聞こえた金属音に冷気が籠る。

「危なっ」

ガシッとつくしが抑え込んだのは倒れそうなジュースの入った紙コップ。

チャプンと揺れてコップから飛び出したジュースの飛沫はわずかにテーブルの上を汚した。

「それじゃ、あれはなんだ。

離婚届じゃないことは分かったけどな」

「チケット」

「なんの?」

「来週から始まる舞台のなんだけど、すごくおもしろくて即日完売の人気のある舞台なの

ほら、いつか道明寺と~*×♪БФ~~~~~~~~~」

やたら饒舌にチケットの説明を受けた繰り返すつくし。

そんな説明は耳から抜けて頭の中をほとんど素通り。

聞いちゃいない。

チケットって・・・

あの封筒をこいつに渡したの松岡だったよな。

あいつ、俺の目のまえでつくしを誘ったのか?

こいつが俺に隠そうとしたのも・・・

だからか・・・

ほかの男に誘われたら断るだろうが!

つーか、まず人の嫁さん誘わねぇよな。

ほかのやつ誘えつーの。

松山とか甲斐とかつくしの事務所の所長の岬とか。

ついでに千葉とか相葉に西田もつけるぞ。

「殴り倒しとけばよかった」

「殴るって・・・」

誰を!

そんな表情で目を真ん丸につくしが見開いて俺を見つめた。