グリーンラベルは艶やかに

色シリーズ第二弾!

このお話は昨日の『レッドアイ~』からの続きとなります。

緑の意味は第一弾で書きましたが、人の受ける印象。

安心感、リラックス効果、鎮静作用、やすらぎ、平和、自然的 だそうです。

これに当てはまるのはF4ではあの男性ですよね。

ということで続きからどうぞ♪

コンコンと響くノックの音。

何の反応も帰ってこないドアの向こう側。

いるはずだよな?

「入るぞ」

ガチャと開いたドアを一歩踏み込んだ俺が見たのはソファーの背もたれからちょっとだけ見えたクルクルの見慣れた頭。

俺の気配に気が付いて頭を上げたのは司。

瞬きもしないままに目を合わせること数秒。

ボタンを外してはだけた胸元。

紅潮した頬。

少し乱れた前髪。

いつもと違う部屋の空気と司の姿。

さすがの俺も凍り付いた。

牧野が来てたんだ・・・

ここでほかの女を想像できないは牧野一筋の司を知ってるから。

牧野が来てるなら教えろよな。

今回は教えなかった司も悪い。

だからってここで慌てて帰ったら絶対気まずい思いをするのは牧野だ。

司の場合はいいとこを邪魔されたと怒鳴られば済むから気が楽く。

司の身体が後ろに揺らいでムクッと起き上った小柄な身体。

「悪い、取り込み中だとは思わなくて」

牧野が振り返る前に俺から先に回れ右。

「なにもしてないから!」

焦った声のあとにズドンと何かが床に落ちた音が響く。

たぶん・・・司だな・・・。

何もしてないって言われても、事を始めてたったことは理解できる。

牧野の服がまだそんなに乱れてないとこを見ればもう少し早く来てればこの災難を回避できたってことだ。

どっちにしても司に恨まれることには変わりないだろうけど。

「しかし、助かったよ」

「何がだ」

すげー目で司が睨んできた。

「あられもない姿をしてるのが司で。

胸をはだけてるのが牧野だったら俺は死んでた」

俺の言葉に牧野の視線が少し下がって食い入るように司の胸元を凝視。

真っ赤になった顔のまま高速で動いた腕は襟元を掴んでピシッと合わせる。

そしてうつむく顔。

表情は見えなくてもいたたまれない気持ちになってる牧野は容易に想像できる。

「見てなくても、今の俺はお前を殺したい気分だよ」

「あのな、俺と約束したの忘れて牧野を引っ張りこんでたのは司だろう」

今思いだしたったって「あっ」の声が司から漏れた。

「約束してたの?」

グンと首をもたげた牧野の頭頂部が司の鼻先をすれすれに通りすぎる。

俺の代わりに頭をぶつけてやればよかったんだよ。

思わずそう思った。

「あっ、お茶でも用意してくるね」

ソファーから立ち上がった牧野は明らかにこの場を逃げしたいって態度。

上気した頬につややかな唇。

乱れた髪を整える仕草。

そこから漂うほんのりとした色気を牧野から初めて感じた。

俺のほうも赤くなりそう。

牧野が出ていったドアを眺めながらため息をついたのは司と同時。

そのまま司の横に腰をドスンと下ろした。

「牧野が来てるなら、言えよ」

「あいつが突然来たんだよ。

なんか、おいしいスイーツの店ができたから一緒に行きたいとか言ってきて。

たくっ、電話で済むのに突然来るから・・・」

俺からそっぽを向いて不機嫌な声。

なんら不愉快さがにじんでなくて口元はわずかに笑っていて不機嫌を装ってるって直ぐにわかった。

突然やってきた牧野がうれしかったって感情は隠せてない。

「まあ、司も今まで牧野には随分待たされてたからな。

襲いたくなる気持ちも分からなくはない」

「襲ってねぇよ」

全力で否定しなくても本気で思ってないから。

「司、女性にはやさしく、根気よく、丁寧に、ムードをつくる。こんなとこで昼間から発情したらダメじゃないか、司君」

ソファーの上を軽く右手でポンポンと示す。

「あきら、お前、我慢できなくなったことってねぇの?」

ない

今までの俺なら迷うよことなくそう答えられたって思う。

今までの俺なら冷静に気軽に自分の感情をことなくつきあえた。

司と付き合う牧野を見ていて、いつの間にか牧野惹かれてる自分がいた。

気持ちを告げることもないまま長く閉じ込めてた感情。

牧野じゃなきゃ誰と付き合うのも一緒。

そんな気持ちを開かせて今の俺の心を絞めてるのは葵で・・・

一緒に暮らしててもなかなか手が出ないんだよな。

今の俺なら司の待たされる気持ち理解できるって思う。

抱いたら・・・

たぶん・・・

俺も夢中になって手放せなくなるって思う。

「俺も早くそんな気分にさせてほしいよ」

「最近、お前も苦労してるよな」

恋愛で司に同情されるのは悔しい気もするが、葵との関係は新しい発見があって飽きなくて面白いんだよ。

俺の今での恋愛経験が通用しないただ一人の相手。

お前の牧野と似てるぞ。

「そんな、気分てどんな気分なの?」

お茶の準備をしたトレーを持って戻ってきた牧野。

落ち着きを取りもどしたいつもの明るい牧野の笑顔。

それ説明したらまたさっきの牧野に戻ることは必然。

「言葉じゃ教えられない気分てやつだ」

含みを持った笑みを浮かべた司がにんまりと俺を見た。

実践は俺が帰った後でしてくれ。

この設定は「下弦の月~」お話に重なってます。

あきら君とオリキャラ葵ちゃんの恋のお話の始まりはつくしへの思いを断ち切るところから始まるんですよね。

1話は司がパーティー会場で自分とは離れてるつくしを守るF4の場面からの始まりでしたが主役はあきらくん。

私のお気に入りのお話の一つでもあります。

拍手コメント返礼

ずんこ 様

お久しぶりです。

おかげ様で元気に過ごしています。

一気読みしたほうが楽しめると書き終わるのを待ってくださる方も最近多いんですよね。

そして久々にきましたとコメントいただけることがなおさらうれしいのです。

色シリーズもう少し楽しめそうです。