ネイビーブルーが素肌を溶かす

色シリーズ第3弾をお届けします。

って、いつからシリーズ化?

今回は青。

空や海の色でもある青は気持ちを静め、心を落ち着かせる平和、誠実。

すばらしいリラックス感とヒーリング感をもたらし、人々をひきつける。

今回ネイビを選んだのは、ブルーのつく題名考えて『ネイビーブルー』の曲が浮かんできたんですよね。

失恋の歌なんですけどね。

原作の中で類もあきらもつくしに総ちゃんは更に失恋してますよね。

つくしも静さんを思う類に切ない思いはしちゃってる。

あっ・・・司だけ失恋してないんだった・・・。

さて今回の青から連想する主人公は・・・続きからどうぞ

「絶対に来い」

絶対をつけなくてもお前からの呼びだしは絶対だろう。

そんな不満は小さいもの。

来いといわれれば都合をつけて集まるのは俺たちの習性。

これはいったいなんなんだろう。

そんな思考は小さいころから排除されてしまってる。

昔から俺たちは傍若無人なあいつが気になってしょうがない。

何しでかすか分からない不安は恐怖じゃなくハラハラと見守る兄貴の気分。

できの悪い弟を持った気分のほとんど親心。

俺たちがつるむ中心には今も昔もあいつがいる。

司の中心は牧野だけどな。

牧野とまた、なんかあったか?

気軽な気分で司の呼びだしに出向いた。

「やっぱり、お前も呼ばれてたんだ」

「なんだ、総二郎も呼ばれてたんだ」

司の部屋のソファーに座る3人。

司とあきらと牧野。

なんとなく感じる違和感。

司とあきらが隣同士に座って牧野が二人に対座してる。

いつもなら牧野の横には司が張り付いてバリアーをはる。

そうじゃないからなんとなく感じた違和感だと気が付いた。

やっぱ牧野と喧嘩?

司はあきらから顔を背けて不機嫌な表情を浮かべてる。

牧野は牧野で俺が来たことに驚いて焦って視線を膝の上に置いた指先に落とした。

牧野も大人しすぎるだよ。

なにかあったな・・・

こんな時は司を怒らせるに限る。

危なくなったら牧野が安全ピンになるから俺も安心。

ほどほどの状況を作りだせばそれでことは足りるはず。

「牧野、昨日は疲れなかったか?」

「大丈夫」

牧野の横に軽く腰を落として話しかけた。

ゆっくりと動いて上がった顔はいつもよりほんのりと赤い。

「でも、痛かったろう。

無理やりだったし、やりすぎたんじゃないかって反省してる」

昨日の夜、庭の離れの茶室。

白くゆらゆらと揺れる白湯から立ち上る白い湯気とオレンジの淡い光が作りだす和の静粛の時間。

お茶を点てる茶筅の音だけがわずかに響く茶室で牧野がグゥと唇を噛む。

「そろそろいいか?」

俺の声に声にならずに唇だけわずかにウンと動いた。

震える指先が助けを求めるように俺の腕に助けを求めるようにしがみついた。

牧野の指の感触が今でも肌に残る。

「最初はね。

でも西門さんがしっかりリードしてくれたし、それに初めてなわけじゃなかったから・・・」

「あっ・・・」

異様な殺気に牧野の唇の動きが止まった。

「道明寺には関係ないから気にしないで」

「関係ないってなんだよ。

それにお前、昨日は総二郎と一緒だったんだよな」

すでに司は妄想の世界。

あの会話は聞きようによっちゃ危ないぞ。

俺がわざと司をそっちに誘導したようなものだけど、牧野はうまく話をのせたの気が付いてない。

あきらは、あきらで俺の意図を理解したうえでやりすぎるなと唇を小さく動かすのが見えた。

「だって、昨日は茶道の指導だったもん。

それは道明寺も知ってるよね」

「なんで、茶道で、疲れたとか、大丈夫とか、痛いとか、無理やりとか言ってるんだ!

「総二郎!お前牧野を襲ったんじゃねぇだろうな」

怒りの放出30%で司の中に蓄え続けるマグマ。

少し薬が聞きすぎたかな・・・

苦笑気味な俺と口を押さえこんだあきら。

「なんてこと、言うのよ!」

俺の横で牧野が吠えた。

「もし、西門さんと何かあって、次の日道明寺と平気で会えるはずないでしょう」

司の爆発以上に巨大な威力。

牧野のエネルギーはすべてそれに放出された感がある。

「よくそんな想像できるね」

「だってお前が痛いとか、リードとか、はじめてじゃないとか・・・」

狼狽える司が見られるのも牧野がいればこそのレアな展開。

さすがに昨日は3時間のぶっとうしの練習。

茶会の主人として客をもてなす。

牧野もこの役ができるまで随分頑張ってきたのは俺も保証する。

不安がる牧野にプレッシャーに負けないようにと作法繰り返す。

必死で練習する牧野に俺も付き合った。

なかなかまじめな弟子なんだよ。

正座はまだ苦手みたいで、しびれた足は相当痛くて俺が助けなきゃ俺が牧野の下敷きになってた。

助けるためだったが牧野にしがみつかれことは内緒にしておく。

「あのな、今度お前んちで茶会を催するんだろ?

そのための練習だよ」

「それに大事な親友の婚約者の前に牧野は大事な俺の弟子だから

それを裏切るようなことはしないていうの」

司の身体から力が緩んで筋肉が弛緩していくのがわかる。

「紛らわしいこと言うお前が悪い」

口をとがらせて不満を漏らす司は。

相変わらず自分は悪くないって責任を俺に振ってくる。

まあ、今回は俺も遊びすぎだけど、こんなにすぐつられるって思ってなかったよ。

「欲求不満・・・」

笑いを漏らす声の中から聞こえたあきらの言葉。

「司・・・俺のせいで欲求不満だから、しょうがないんだよ」

腹まで押さえてあきらが「プッー」と吹き出した。

「美作さん、それ以上しゃべらないで!」

怒ってるのか泣きそうなのか、必死な牧野が俺の隣にいた。