フリージアを黄色の花束で

単純なお話を書いてみようと思いついて始めた色シリーズ。

第五弾まで続いちゃいました。

さて今回の色は黄色

五感のなかで聴覚と関係が深いのは黄色だとか。

明るい声やよく通る音のイメージ。

希望・元気・活動的・明朗・愉快

つくしちゃんを主役で書いてなかったとここで気が付きました。

黄色をつけた題名どうしようと悩んで考えたのが花言葉

黄色のバラの花言葉 友情・献身・可憐・美・さわやか・あなたを恋します。

小輪の黄色いバラは笑って別れましょうって意味もあるみたいです。

フリージアは無邪気。

どちらにしようか悩みつつ今回はこのタイトルに決めました。

「コホン」

みんなの視線を集中させたことを確認して道明寺が一つ咳払いをする。

「俺は、牧野と結婚する」

道明寺の言葉に一瞬部屋がシーンとなった。

白々した空気を身近で体験。

笑いが起きないお笑い会場。

「知ってる」

花沢類は最小限に唇を動かした。

「今更?」

西門さんの呆れ顔。

「俺たちを呼びだした理由がそれ?」

美作さんには珍しくムッとした感情が顔に出てる。

私も3人と同意見。

帰るわ

そんな感じに3人の視線が一気に道明寺から離れる。

「バカ、ちげーよ。

俺の話を聞け」

力を入れて自信満々に結婚宣言なんてするからみんなが引いたのを道明寺は気が付いてない。

「俺たちも大学を卒業して忙しい日々を送ってる。

仕事が忙しくて牧野にもなかなかかまってやれない。

いつも寂しい思いをさせて悪いと思ってる」

道明寺が私を熱く見つめるから心がざわついて落ち着けなくなる。

忙しいのはお互い様だって思ってる。

大学の勉強に道明寺家の花嫁修業。

西門さんに茶道の指導を受けるのもその一環。

司法試験も一応受けた。

あとは合否の結果を待つだけ。

会う約束が破られるのはいつも道明寺からで、寂しくないって言ったら嘘。

がっかりする気持ちを押し殺して明るく頑張ってって言葉を返す。

こうやって昼間一緒に道明寺と過ごせるのは久しぶり。

二人で過ごすたわいない時間はあっというまに過ぎる。

雑誌の特集を見ながらいつ行けるか分からないスィーツのお店に二人で行くことを夢見てる。

道明寺のそばでそんなことを想像するだけでも楽しくてしょうがなかった。

じゃれあって触れる道明寺の指先の感触がいつの間にか甘い刺激となって身体を熱くさせる。

肌に触れる道明寺の吐息が体中の細胞をざわつかせて落ちつけなくなる。

ソファーの上で感じる道明寺の重みが心地よく私を誘って道明寺の背中にしがみつきたくなる。

そんな時だったんだよね・・・

美作さんが現れたの。

たぶん、がっかりしてるのは道明寺より私かもしれない。

それに、せっかく二人で過ごせるって思ってたのに、みんなを呼んでいたのは道明寺だった。

ちょっぴり拗ねたい気持ちもあるんだけどみんなが揃うのは久しぶりでF4の中で自然と溶け込んで調和する4人の姿を見るのも好き。

贅沢だよね。

「たまには俺たちの記念日をみんなで賑やかに楽しもうと思ってだなお前らを呼んだ」

道明寺の言葉に頭の中に疑問符が数個は浮かんだ。

記念日・・・

何かあったっけ?

誕生日とかクリスマスとかは年末年始を挟んでバタバタで過ごすことが多いけどまだ先の話。

プロポーズされた時期とも違うし・・・

初デート?

これは道明寺を待たせてエレベーターの中に閉じ込められて散々だったこの日とも違う。

初キスは・・・

静さんパーティーの偶然の事故。

こけた私と重なって道明寺の唇が私の唇の上に落ちてきたマンガみたいなキス。

私のファーストキスの思い出のこれを記念日って言われたらヤダ。

でも確かに忘れられない事件ではある。

「本来なら、誰にも邪魔されず二人だけで祝いたいところなんだが、

お前らも祝福してだろうから招待してやったんだ」

感謝しろの態度で道明寺が胸を張る。

だから!

その記念日が思いだせない。

なんの記念日・・・?

やな予感がしたのは3人の意味深な表情。

まさか・・・

初エッチとか・・・?

えーといつ?どこで?誰と?

誰とは道明寺に決まってる。

動揺しまくって思いだせない。

どう考えてもこの月じゃないんですけど。

冷汗が出てきた。

「俺がお前に惚れた日」

「惚れた日?」

私と花沢類、西門さん、美作さんの声が重なった。

え?

そんなの覚えてる?

いつ好きになったかなんて覚えてる人いるのか?

道明寺と私は気が付いたら好きになってたって感じじゃないの?

「初めて、お前が俺をぶん殴った日。

あの一発で俺は目覚めた」

それは、忘れかけてた遠い記憶。

英徳の食堂でF3だけじゃなくたくさんの生徒がいる前で思いっきり道明寺の頬をグーで殴った。

できるならあの記憶は消去したいと思ってるのに!

道明寺には記念日なんだ・・・。

「ブッ」

拭きだした笑いの声は3つ。

西門さんに美作さんに花沢類まで声を殺して笑ってるよ。

「司に手を上げるやつが英徳にいることにあの時は驚いたもんな」

西門さんが感心したって目で私を見る。

「俺らも、確かにあの時牧野に惚れた」

そんな言葉を言った美作さんが今度は声を出して笑い声を上げてる。

「惚れても、無駄だ。俺のもんだからな」

グイッと私を引き寄せた腕がわたしを道明寺の胸元にコマのように巻き戻す。

右腕はあと数センチ力を入れたら首もとを絞めつけて息ができなくなりそう。

腰に回された左腕。

手のひらはもう少しずれたら下腹部の下に触れそうで・・・恥ずかしい。

「とらないよ」

花沢類の柔らかな微笑みがますます私の頬を熱くした。

拍手コメント返礼

エメラルド様

目撃者の多かったこの場面、日にちまで記憶して記念日にしてるのは司君だけでと思います。

西田さんとたまさんは知ってるのでしょうか?

知ってたら面白いなぁ~

りり 様

こんなことまで記憶に残してる司君。

これからさき365日記念日になりそうですよね。